第185号/2005.2
■九州地区における二酸化炭素削減の可能性に関する調査研究第3回委員会開催・視察報告
■土壌環境汚染計測モニタリング機械システムに関する調査研究 講演会報告
今年も恒例の当協会の新年賀詞交歓会が、1月5日(火)午後3時30分より、東京全日空ホテル「プロミネンス」において、官庁、大学、賛助会員企業の役員の方々等800名を越えるご出席を頂いて盛大に開催されました。
開会にあたり、エンジニアリング振興協会を代表して増田会長(三菱重工業椛樺k役)より次のような挨拶がありました。
「昨年の景気は、鉄鋼・電機・自動車等の基幹産業が過去最高益を記録するなど全体として回復傾向にあったが、その後の円高・原油高・消費低迷もあって政府の月例経済報告や日銀の景気認識で景気回復に鈍化傾向が見られるまま年を越した感がある。
当協会が発表した「エンジニアリング産業の実態と動向」における調査結果で、エンジニアリング産業の本16年度の国内受注見通しは、前年度比3.7%増、海外については11.7%増となり、長い停滞を抜け出し直実に回復していることが数値で裏付けられた。近年の海外を中心とした高度化する事業展開に伴い各会員企業の多様化に応えるべく、挑戦を続けるエンジニアリング産業界の代表団体として、より実践的でダイナミックな活動が出来るよう真剣に取り組みたい。」
また来賓を代表して奥田真弥経済産業省製造産業局次長より、次のようなご挨拶を頂きました。
「ミクロの産業政策が極めて重要という認識をもとに昨年作成した新産業創造戦略をベースとして、制度整備と技術開発支援を実施し、国際的に日本が最高水準にある環境面での競争力、これを日本ブランドとして積極的に国際展開していくことが重要である。当協会は、業種横断組織としての強みを有している。これを是非、日本企業の国際展開に活かして欲しい。」引続いて広瀬理事長(東洋エンジニアリング椛樺k役)の乾杯の音頭により、懇親会が始まり、多くの方々の談笑の輪がいたるところで花開き、盛会のうちに午後5時に閉会となりました。
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来賓挨拶 奥田製造産業局長
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交歓風景
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■九州地区における二酸化炭素削減の可能性に関する調査研究■
−第3回委員会開催報告・視察調査 −
この調査研究は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)から地下センターが受託して進めているもので、九州地区において二酸化炭素排出源に近い二つの地区を想定し、排出される二酸化炭素を地中貯留する可能性を探り、その具体性と事業性の検討を進めているものです。
平成16年12月14日(水)15時から新日本製鐵株ェ幡製鐵所総合センター会議室にて、第3回委員会が開催されました。 製鐵所や発電所などの排出源から出た二酸化炭素を地中貯留する場合をシミュレートして実施への可能性を検討しています。
この調査研究では、「リモートセンシング」と呼ばれる人工衛星が撮影した画像を使用した地質構造解析を利用し、地表面の断層精度を向上させるなど地下深部の地質を検討し、地質構造を評価しています。
本委員会では、内陸部への地中貯留の二次検討が説明されたのち、海底部への地中貯留の可能性については、再検討をすることとなりました。当調査研究は、3月初旬にはまとまり、新たな展開を探ることになります。
今年に入って発効される京都議定書の二酸化炭素削減は、地球規模で動き出すわけですが、一歩先駆けて調査研究を進めているものです。
今回の委員会では、製鐵所の実際と北九州市が進めるエコタウンを視察調査して見聞を広め、より具体的な調査研究となるべく委員や関係者は、熱心に視察しました。
八幡製鐵所 |
視察した戸畑地区の八幡製鐵所は、広さが約220万坪あり、日本最大の鉄鋼コンビナートを形成しています。日本が世界に誇る最新技術を有し、特に0.2mmの厚さに圧延する工場のラインは目を見張る迫力です。鉄鋼需要の強い現状では、フル稼働の状態で「鉄は国家なり」を実感できるものでした。そこで生産される鉄鋼製品は多岐に亘り、寿命の長いレールや0.15mmの電磁用鋼板など世界で有数の製品が作られています。 (下記写真提供 : 新日本製鐵株ェ幡製鐵所) |
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高炉棟
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熱延工場内
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北九州市エコタウン |
GECニュース10月号でご紹介した北九州市エコタウンも併せて視察しました。 官民一体となって公害を克服した北九州市が進めるこの事業は、既に全国的に知られるところとなり、連日見学者が押し寄せています。エコタウンセンターを訪問し概要説明を受けましたが、エコタウン内では様々な業種のリサイクル工場が、活発な活動をしているとのことでした。 この後、家庭電気製品と産業廃棄物のリサイクル工場を視察しました。 |
エコタウンの概要説明
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家電製品のリサイクル工場
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■土壌環境汚染計測モニタリング機械システムに関する調査研究 講演会報告■
12月17日(金)、福井大学教授 香川喜一郎氏をお招きして、「レーザープラズマ分光法の課題と材料分析技術」というテーマでご講演頂きました。
香川氏は、レーザー分光学の第一人者で、日本物理学会,応用物理学会,日本分光学会,レーザー学会など多岐にわたる活躍をされていらっしゃいます。
今回の講演では、レーザープラズマ分光法について、最新の技術とその動向を詳しく説明頂き、さらに、材料の分析について、わかりやすいお話を聞くことができました。土壌環境汚染計測モニタリング機械システムに関する調査研究委員会では、土壌汚染対策法の施行の伴い、土壌汚染に対する緊急の調査ニーズが増加しているため、これに向けて現地で測定可能、かつリアルタイムの計測判定を行う機械システム技術の実現に向けて、技術的問題点、ブレークスルー、実現可能性を追求しています。
「土壌・地下水汚染処理の技術開発動向とリスク管理」というテーマで、「有害化学物質、土壌・地下水汚染、環境修復」の第一人者で、元環境庁国立環境研究所総合研究官の和歌山大学・システム工学部 学部長 平田健正教授をお招きして、1月24日(月)に当センターでご講演して頂きました。
今回の講演は、地盤地下水専門部会でアンケート調査した結果、平田教授のご評判が最も高かったことから実現したのですが、地下利用推進部会の各専門部会にご案内したところ、多数の参加申し込みがあり、盛況な中での講演となりました。
土壌・地下水汚染処理の技術開発動向とリスク管理、そして自然由来の汚染判定について詳しく解説され、満員となった聴衆は、熱心に傾聴し非常に有意義な講演となりました。
土木学会・地下空間研究委員会が主催(エン振協が後援)する第10回地下空間シンポジウムが、平成17年1月14日(金)9:15〜17:15に早稲田大学国際会議場にて開催されました。参加者は300名程度であり、大盛況でした。
今田徹委員長の挨拶および委員会報告の後、特別講演T「大深度地下利用の潮流−議員立法提案者の願いと展望−」と題して野沢太三氏(前法務大臣)の講演があり、大深度地下利用の提案の経緯、立法までの様々なお話、今後の展望としての大深度地下の事業に関することなどをお伺いすることができました。
引き続き特別講演「大深度地下利用制度の現状と今後の展望」と題して上野宏氏(国土交通省政策統括官)の講演があり、地下利用の動向、大深度地下使用法の概要、これまでにまとめられた技術指針や大深度地下情報システムのなどの紹介が行われました。
その後、パネルディスカッション「動きはじめた大深度地下利用−この10年を振り返って−」が大西有三氏(京都大学大学院教授)のコーディネートにより、野沢太三氏(前出)、斉藤親氏(国土交通省大臣官房技術審議官)、足立紀尚(京都大学名誉教授)、岸井隆幸氏(日本大学理工学部教授)、今田徹氏(東京都立大学名誉教授)、西淳二(元名古屋大学大学院教授)のパネリストによって行われました。午後からは、3つの会場に分かれて、地下空間のあり方や地下の防災・災害やトンネルなどの施工技術に関する31編の研究発表が行われました。
都市の再開発に伴う地下空間の利用や地下空間の防災・避難、最新の施工技術などに関する発表が多くありました。(前田 信行 記)
□第273回サロン・ド・エナ開催のご案内
日 時:平成17年2月16日(水)17:30〜(於:当協会6階C,D,E会議室)
講 師:酒匂 敏次(さこう としつぐ)氏 東海大学 名誉教授
テーマ:海洋開発のフロンティア 〜新しい機会と新しい制約が新しいビジネスを生む〜(仮称)
講演要旨:この15年の世界の動きが海洋開発の世界にも大きな波となって押し寄せてきた。始まりはベルリンの壁の崩壊。40年に及ぶ米ソの冷戦の間に蓄積された軍事技術の一部が民用に開放された。驚くほど鮮明な画像や高い精度の探知技術が海洋の調査や管理、開発や利用に強力な手段を提供することとなったのである。次は国連海洋法条約の成立。沿岸国は自国の経済水域の資源利用に対して、主権的権利を行使できるようになると共に、その環境保全に対して責任を負うことが義務づけられることとなった。このようにして生まれた新しい準国土の資産価値を評価すると共に、それを保全利用するに必要な調査やインフラの整備がこれから海洋産業の新しい需要を生み出すだろう。
本講演では、海洋開発についてのこれまでに至る状況と現状及び今後期待される新しいビジネスについて具体的な事例等を中心にお話を伺う。
(講演終了後、懇親立食パーティがあります。)
会 費 :3,000円(非会員5,000円)(当日受付にて申し受けます)
申込要領:申込多数の場合は先着順で締め切らせていただきます。
*地下センターのホームページ(http://www.enaa.or.jp/GEC/)から直接申込みもできます。
□速報 平成16年度日帰り見学会
平成16年度 日帰り見学会を企画しましたのでお知らせします。
KEK(高エネルギー加速器研究機構)は、電子・陽子などの加速器実験施設を有して高エネルギーや物質構造解析の先端技術を研究しています。そのKEKが、原子力研究所と共同開発する大強度陽子加速器実験施設を東海村で建設中ですが、これがJ-PARCです。その施設群の建設工事とKEKの加速器実験施設を見学し、新しい科学技術を拓く地下技術と未来エネルギーへの接近を計る見学会として企画しました。詳細は、各社の担当窓口へ2月上旬にお知らせしますので、奮ってご参加ください。
日 時 :平成17年3月9日(水)
見学先 :@KEK (加速器実験施設他) AJ-PARC (実験施設群・建設工事)
申込締切:2月28日(月)
定 員 :35名(先着順)
参加費用:5,000円/人(貸切バス代、その他諸費用を含む。但し、昼食代は含みません。)
舌句雑感:今月の話題は、「インド洋大津波」からです。この未曾有の大津波は、多国間に亘る被害を引き起こし、十数万人
の被災者を出して世界を震撼させました。わが国は、素早く支援を表明して豊富な防災ノウハウやシステムなど大きな国際貢 献を果たすことになります。中越地震で被災した人々の影が薄れてしまうのがちょっと気がかりですが・・・・・。 ここでクイズです!?2000年11月太平洋に起きた津波で損害家屋が数千戸ありましたが、被災者がゼロだった国があります。 どこの国でしょう?・・・ちなみに、1998年7月の津波でこの国は、2,500人以上の被災者が出ました。 最近、経済界では「BCP」という言葉が使われ始めました。自然などの被害(リスク)を見越して企業の存続を計る「BCP」を取り入れる企業は、国内企業でまだ20%未満です。いち早く「BCP」「BCM」を取り込む企業は?「継続は力なり」です。 ※BCP(事業継続計画Business Continuity Plan)答:パプアニューギニア。 (GECニュース編集者) |