第29号/1992.1
■年頭所感
通商産業省立地公害局産業施設課長
河野 修一氏
通商産業省工業技術院研究開発官
倉 剛進氏
■地下清掃工場、第2段階の検討にはいる
■NEF海外調査
■新聞記事から
■会員の皆様へのお知らせ
■年頭所感■
通商産業省立地公害局産業施設課長 河野修一氏
新春を迎え、謹んで御挨拶申し上げます。
近年の大都市圏、特に東京を見ますと、業務機能等が過度に集中したこと等が要因となって、地価高騰や住宅難、交通渋滞、廃棄物の処分地不足等の弊害がますます深刻化しております。これらを解消し、真に「豊かなくらし」の実現に向けて通商産業省といたしましては、従来からの施策に加え、新たに業務機能の東京から地方への移転と地方における魅力ある業務機能拠点の形成を内容とする産業業務機能再配置施策を推進していくこととしております。また、オフィスをリゾート地や都市近郊に分散させることにより、ゆとりあるオフィス環境の確保をめざす分散型オフィス等もあわせて推進していくこととしております。
しかしながら、大都市における種々の弊害がますます深刻化している状況にあって、将来へ残す社会資本の整備を推進していくためには、上述の地域振興策に加え、大都市の地下を開発し、立体的に利用していくことがますます重要になってまいります。
このような状況の中で、地下開発、地下利用に関係する幅広い業種から多数の会員で構成されている唯一の団体である地下開発利用研究センターの役割はますます増大するでしょう。今後とも、幅広い分野にわたる会員の英知を結集できるというメリットを活かして、積極的な研究活動、技術開発に取り組んでいただき、将来に向けて調和のとれた都市のための社会資本づくりと新しい生活・文化の創造に貢献されることを希望して、年頭の挨拶とさせていただきます。
■年頭所感■
通商産業省工業技術院 研究開発官 倉剛進氏
平成4年の新春を迎えるに当たり、謹んでご挨拶申し上げます。
地下は宇宙や海洋とともにニューフロンティアとして注目を集めています。特に内外から社会資本の整備が急務とされている我が国では、大都市圏を中心に都市が狭少であり、地下開発は極めて有望な分野であります。しかし、地下利用の歴史は古いものがありますが、現状では都市におけるその利用は限られたものとなっています。大規模な地下開発の促進に当たっては、大都市圏に多い軟岩等を含む軟弱地盤における大空間の構築技術の確立が不可欠です。
このような観点から、平成元年度に工業技術院の大型プロジェクトとして「大深度地下空間開発技術」が発足しました。具体的には、軟岩域における大空間の構築技術の確立のため、高精度地下構造評価、地下空間構築技術、環境制御・防災技術等の研究開発を行っています。平成4年度は本プロジェクトの中間評価を行う年であり、これまでの成果を踏まえ後半の開発計画の取りまとめを行う重要な時期であります。
「地下開発利用研究センター」は地下の開発利用に関係する幅広い業種からの参加のもとに、このプロジェクトの推進、ひいては地下空間の利用拡大に中心的な役割をはたしています。
21世紀を間近に、人類の活動の場は新たな展開の可能性を迎えており、貴センターの役割が重要となって行く中で、貴センターの活動が今後の地下開発技術のより一層の発展に寄与されることを祈念いたします。
■地下清掃工場、第2段階の検討にはいる■
当センターでは、平成2年12月より、清掃工場の地下立地について「地下清掃工場システム委員会」(委員長・平山直道千葉大学教授)を発足させて検討を続けてきた。
昨年5月には平成2年度の報告書をまとめ、いくつかの技術的、法規的な課題はあるものの、実現の可能性があることを明らかにした。しかし、さらに詳細な検討や工期、工費の概算を把握するためには、これらの一般論だけでは不十分であり可能なら場所を特定したケーススタディを行う必要があると結論づけた。
昨今、都市部におけるごみ処理の問題が大きく取り上げられている。特に東京では社会機能の集中化と共にごみ排出量の増大を招き、焼却処理を基本とする適正中間処理の確保が必要になっている。現在でも可燃ごみの約2割が焼却できず埋立てられ、その結果として海面埋立て処分場の短寿命化を招き新たな処分場建設が社会問題化している。
それらの抜本的な解決を目指し、東京都は平成3年10月に今後の清掃工場建設計画を発表した。
その中で、平成7年までに可燃ごみの全量焼却ということに対応するため3工場を建設し、その後安定的な焼却体制の確立に向けて清掃工場未設置区を中心に平成22年度までに7工場の建設を計画している。この計画の中で千代田区については丸の内3丁目の旧都庁第2、第3庁舎跡地を候補地として想定しており、この地区の周辺環境や高度利用すべき地区であるという観点から世界でも類のない完全地下式の清掃工場を検討することになり、当センターは東京都と共同でケーススタディを行うことになった。
ケーススタディ自体は平成3年度に基本調査、平成4年度は計画調査として、平成4年度中にケーススタディを完了させる予定である。また、必要な確認実験等は平成5年度に行うことを計画している。これらの推進体制としては現在までの委員会と作業部会をそのまま運用していく形とする。
これを受けて第1回の「地下清掃工場システム委員会」を平成3年12月16日に開催し、今年度の基本方針等を審議した。特に平成3年度はケーススタディの基本調査として、当該地点の周辺状況、合築等に伴う法規的な検討や地下型の焼却プラント、防災システム、新しい熱利用システム等について調査検討を行うこととした。また、同時に平成5年度に予定する防災を中心とした確認実験についても分科会を作って検討を進めている。
平成3年度地下清掃工場システム委員会
| No. |
職務 |
氏名 |
所属・役職 |
| 1 |
委員長 |
平山直道 |
千葉工業大学 工学部 機械工学教室 教授 |
| 2 |
委員 |
榎並昭 |
日本大学 理工学部 建築学科 教授 |
| 3 |
〃 |
尾島俊雄 |
早稲田大学 理工学部 建築学科教室 教授 |
| 4 |
〃 |
岸谷孝一 |
日本大学 理工学部 建築学科 教授 |
| 5 |
〃 |
木村孟 |
東京工業大学 土木工学科 教授 |
| 6 |
〃 |
鍋島淑郎 |
玉川大学 工学部 経営工学科 教授 |
| 7 |
〃 |
平田賢 |
東京大学 工学部 機械工学科 教授 |
| 8 |
〃 |
浜田康敬 |
厚生省 生活衛生局 水道環境部 環境整備課長 |
| 9 |
〃 |
河野修一 |
通商産業省 立地公害局 産業施設課長 |
| 10 |
〃 |
村田成二 |
通商産業省 資源エネルギー庁 公益事業部 計画課長 |
| 11 |
〃 |
下田昇 |
労働省 労働基準局 安全衛生部 安全課 主任技術審査官 |
| 12 |
〃 |
村上純一 |
建設省 都市局 都市計画課 土地利用調整官 |
| 13 |
〃 |
青木仁 |
建設省 住宅局 建築指導課 課長補佐 |
| 14 |
〃 |
山野岳義 |
自治省 消防庁 特殊災害室長 |
| 15 |
〃 |
内村明博 |
東京都 都市計画局 施設計画課長 |
| 16 |
幹事 |
内藤和章 |
椛蝸ム組 東京本社土木技術本部 理事 技術第二部長 |
| 17 |
〃 |
松見韶 |
NKK 総合エンジニアリング事業部 環境プラント技術部 担当部長 |
| 18 |
〃 |
石塚正太郎 |
東京ガス梶@首都圏部 部長 |
| 19 |
〃 |
矢野禎一 |
樺|中工務店 竹中技術研究所 主席研究員 |
| 20 |
〃 |
皃玉利昭 |
清水建設梶@エンジニアリング本部 副本部長 |
| 21 |
オブザーバ |
福井一男 |
東京都 清掃局 工場建設推進室 技術開発担当部長 |
| 22 |
〃 |
森谷昭司 |
東京都 清掃局 工場管理部 副参事 |
| 23 |
〃 |
森井克義 |
東京都 清掃局 工場建設部 建設担当課長 |
| 24 |
〃 |
松本保幸 |
東京都 清掃局 ごみ問題緊急対策室 技術開発担当課長 |
| 25 |
〃 |
木下政孝 |
東京都 清掃局 ごみ問題緊急対策室 技術開発主査 |
■NEF海外調査■
新エネルギー財団(NEF)では、通商産業省資源エネルギー庁の委託により新型負荷平準化電源の一つである「圧縮空気地下貯蔵ガスタービン(CAES−G/T)発電システム」の実証プロジェクトを、平成2年度より9ヶ年計画で推進している。このプロジェクトには、電源開発梶A北海道電力梶A電力中央研究所および当協会が再委託先として参画しており、平成3年度はパイロットプラント地点である北海道上砂川での現地調査を主体とした技術調査業務が現在進行中である。
今回の海外調査は基礎調査業務の一環として実施されたもので、アメリカにおけるCAESの現状調査を目的としている。
○調査実施期間:平成3年10月13日〜10月24日
○調査団構成:新エネルギー財団 原田信昭常務理事を団長とし、合計14名
○主な訪問先:
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・ |
EPRI(Electoric Power Reseach Institute) |
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場所:カリフォルニア州パロアルト |
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・ |
AEC(Alabama Electric Cooperative,Inc)
CAES−G/T発電プラント |
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場所:アラバマ州マッキントッシュ |
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・ |
BUG(Brooklyn Union Gas Company)および天然ガス高圧地下貯蔵構想サイト(JFK空港サイト) |
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場所:ニューヨーク州ニューヨーク |
○調査概要
(1)EPRI本部
EPRIは、約600社の会員電力会社を有すアメリカ最大級の民間研究機関の一つで、送・配電、発電・貯蔵、サービス、環境、電力システム設計、先端技術等の電力事業全般に関わる業務を管理している。CAESに関しても主導的立場にあり、アメリカ全域で適地の基礎調査や電力会社の具体的なプロジェクトについて技術指導を行っている。AECのマッキントッシュCAES−G/T発電プラントについては、全般的な技術協力のほか一部資金助成も行っている。
当日は、マッキントッシュ発電プラントの開発経緯、特徴および運転時の問題点などの充分な情報を得た。一方、NEFが紹介した上砂川パイロットプラントや海洋CAESについて大きな関心を示し、これらについても活発な意見が交換された。
(2)AECマッキントッシュ発電プラント
AECは、16電力会社と4地方自治体の共同出資の発電共同組合で、総需要約1000MW、対象人口25万人である。マッキントッシュは、ピーク・ミドル負荷対応設備として1988年に着工し1991年6月にCAESとして世界第二番目の営業運転を開始したプラントである。
当日は燃焼機のトラブルを調整中で、残念ながら運転状況を視察することはできなかったが、工事内容や設備の詳細、運転実績などの説明を受けた。予定を大幅に延長して我々の質問に対応して戴いたこと、また実際の岩塩コアやプラント設備をこの目で確認した収穫は非常に大きいものがあった。
(3)BUG
BUGは、ニューヨークにある米国最大手のガス会社で、米国南西部からパイプラインにより約360万人の人々にガスを供給している。今後の需要増大に対して実用的かつ経済的なピークシェービング対策として、天然ガスの高圧地下貯蔵を計画中である。
このプロジェクトは、深度約800mの片麻岩中に最大圧力68kgf/uの天然ガスを自然水封方式で貯蔵する構想であり、当日は最有力候補地JFK空港サイトを視察しながら、現地地質調査結果及びF/Sの結果等について非常に興味深い情報を得ることができた。
以上、今回の調査においては訪問先の熱心な対応により多大な成果を得ることができた。また、日本の技術への関心が高く、今後さらに情報交換等積極的に対応する必要を感じた。
最後に、出発当日は台風の影響で成田への行程は悪戦苦闘したが、秋晴れのアメリカ、訪問先の心行き届いた対応が印象に残る調査であった。
■新聞記事から■
○地下の開発・利用(朝日新聞 経済気象台 12月10日)
市街地の地下にトンネル網を作り、無人のリニアモータ−カーなどで貨物を輸送するシステムの構想が発表された。実現すれば大都市の交通渋滞の緩和と自動車排ガスによる大気汚染の改善に大きく寄与するはずである。・・・・・略・・・・・地下は交通のスペースとしてこそ、大いに役立つに違いない。そして、その可能性は大きいのだ。地下物流ネットワークに加えて大深度地下鉄、地下弾丸道路がある。・・・・・略・・・・・より現実的なものとしては、地下立体駐車場がある。それが次々に建設されて路上の違法駐車をなくせば、交通渋滞は相当に緩和されるだろう。だが、巨額の投資を必要とするプロジェクトをだれが推進するのか。そこに難問がある。しかし考えてみれば、景気減速の中で経済活性化の道を探るとなると、こうした社会投資こそ最適である。政府、地方自治体、産業界はこぞって取り組むべきではないか。
○ソ連プルトニウム地下工場(朝日新聞 12月21日)
工場があるのはロシア共和国中央シベリア・クラスノヤルスク近郊の深さ250メートルの地底。3つの原子炉が休みなくプルトニウムを生み出している。戦時に攻撃されても安全なように、トンネルには衝撃波を抑える工夫もある。原子炉のうち、一基は本年7月に運転をやめ、もう一基も一、二年のうちに運転を中止となる予定だが、残る一つは、発電や都市暖房にも使われているため日程が決まっていない、という。
○大阪市、長堀通り地下に駐車場と商業施設を建設(日本工業新聞)
大阪市は、大阪・ミナミの幹線道路である「長堀通り」(東西線)の地下に平成7年度の完成を目指して、商業施設と約1300台収容の大規模な駐車場を建設する。公共施設の駐車場としては、わが国最大級のスケールを誇る。総事業費約550億円で、平成4年夏に着工する予定。
○福井市、都心部に地下駐車場(日刊建設工業新聞 12月27日)
福井市が計画している「駅前地下駐車場誘致事業」が、本年度政府予算案内示で有料道路融資事業として採択された。平成4年度中に着工、8年3月の完成を目指す方針。総事業費は約45億円。
■会員の皆様へのお知らせ■
○サロン・ド・エナ(第133回)開催案内
| 1.日時 |
2月19日(水) 17:30〜20:00 |
| 2.場所 |
当協会AB会議室(4階) |
| 3.テーマ |
「企業の社会貢献活動(企業フィランソロピー)について」 |
| 講師 |
安斎洋一氏(社団法人経済団体連合会 社会貢献部 部長 |
編集後記
新年あけましておめでとうございます。
本年もGECをよろしくお願いします。
「こうすれば生活大国に・私が提案する国家プロジェクト」(朝日新聞 1月11日)の10提案の内、2提案が地下に関係したものでした。専門家でない一般の人達も地下に大いに注目しているのだなあと意を強くしたしだいです。
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