第36号/1992.8
■就任の挨拶
通商産業省立地公害局産業施設課長
加藤裕之氏
通商産業省工業技術院大プロ研究開発官
増田優氏
■分科会報告書
■会員の皆様へのお知らせ
■就任の挨拶■
通商産業省立地公害局
産業施設課長
加藤裕之氏
就任に当たり一言ご挨拶申し上げます。
最近、東京近郊に立地する中小企業の間で、地下工場の建設が隠れたブームとなっているそうです。自宅等の地下に工場や倉庫を作り、騒音等のトラブルから開放されて、従来の営業や情報の基盤を維持しつつ事業活動を拡大していけるということで、近い将来1兆円市場を見込んでいるとのことです。
バブルが崩壊し、地価の急騰も終わった今、一時ほど地下空間の利用が宣伝されることはなくなりましたが、逆に現実は着実に進んでいると言えましょう。日本全体の7%足らずの可住面積しかない東京圏に1/4以上の人間が生活している実態を顧みると、このような動きはむしろ必然であり、より進んだ本格的な地下空間利用の実現が強く望まれていることの証圧といえましょう。
平成元年度に始まった貴センターの研究開発も、今年度の中間評価を経て、来年度にはいよいよ実証段階に入ると伺っております。大深度地下空間は、エネルギー貯蔵施設から物流・輸送施設、地下研究・製造施設等無限ともいえる広がりがあり、我々が21世紀につなぐべき最も貴重なフロンティアということができるでしょう。このような中で、貴センターが幅広い業種の第一線の英知を結集し、革新的な技術開発に取り組んでおられることは極めて意義深いことと承知しております。私共といたしましても、微力ながら貴センターの活動が益々実り多いものとなるよう尽力する所存であります。最後に会員の皆様からの一層のご支援をお願い申し上げ、私の挨拶とさせて頂きます。
■就任の挨拶■
通商産業省工業技術院
大プロ研究開発官
増田優氏
6月23日付をもちまして研究開発官に着任し、「大深度地下空間開発技術」を担当することとなりました。ここに謹んでご関係の皆様方にご挨拶申し上げます。
本プロジェクトは大型プロジェクト制度の27番目として平成元年から開始され、(財)エンジニアリング振興協会、地下開発利用研究センターを中心に機械、建設など多分野のポテンシャルを有する方々の結集により、苦しい予算制約の中、ひとしれず皆様のご苦心ご苦労に支えられて、つつがなく開発が進展してまいりました。そして本年は中間評価の年にあたります。これまで3年間の皆様のご努力の成果をレビューしつつ、今後の開発のあり方について論議させて頂き、良き道を見出していきたいと思います。今春本プロジェクト担当として着任しました窪田、緒方ともども三人で、中間評価に取り組んでまいりますので、ご関係の皆様のお知恵とご協力をお願い申し上げます。
さて今度、研究開発プロジェクトの担当に加えまして、分野別開発官制度ということで、人間・生活・社会を担当することになりました。何分にも初めて設定された分野であり、考えようによっては、無限の広がりを有する領域にもみえます。白地に絵を描く如く楽しくもあり、恐ろしくもあり、多くの方々のご意見を聞きながら、まずは頭の整理からと考えています。産業活動を担う社会人として、家族を持ち市民として多様な日常を過ごす生活人として、そして、いつまでも健康で美しくありたいと願う人間として、皆様の日頃からお持ちの思い、不満、アイディア等をご教示いただければ幸いです。人間・生活・社会の充実のため必要とされる技術基盤が何であるのか、少しでも頭の整理ができ、皆様と認識が共有できればと思っています。皆様の絶大なるご支援とご協力をお願い致します。
■平成3年度分科会報告書■
テーマ名:「リニアモータによる垂直輸送システム実証研究」
本実証研究は平成元年度から平成2年度の2年間にわたる「人・物の高速連続垂直輸送システム」の調査研究成果を踏まえて平成3年度から実証研究に取り組んでいる。平成3年度の研究目的、内容、成果は下記の通りである。
1.研究目的
地下と地上、地下空間内部の人・物の輸送に関する大量・高速・安全化を目的として、リニアモータを応用した水平・垂直連続輸送を可能にするための共通基盤技術化たる基礎技術を開発するものであり、ミニモデルによる実証実験を行う。具体的には
| @ |
大推力リニアモータによる垂直輸送技術の開発 |
| A |
垂直輸送と水平輸送との連続移載方式の研究を検証し、実用化への布石とする。 |
2.研究内容と成果
(1)基礎実験(中間報告)
荷と台車の重量バランス、磁石の垂直力の打ち消し、速度と距離の関係を検討し、推力300kgf、移動距離2mの実験機を設計製作し、実験内容を検討した。
(2)実証実験計画の検討
台車の天地を維持する方式として走行レール支持方式、ガイドレール保持方式の2方式について各部の構造を検討し、スケールモデルの構想設計を実施した。また、この実験装置で実証すべき実験項目を検討した。
(3)技術課題の検討
| @ |
分岐・合流方式 |
| A |
曲線部での水力 |
| B |
電源制御方法 |
| C |
軽量化の方法 |
| D |
安全について |
上記技術課題について検討し、今後の課題として下記の点があげられる。
@2重系安全装置
安全装置には極めて高い信頼性が要求されるので、安全装置は2重系を構成することが望ましい。
A復旧方法
安全装置により停止した場合、速やかにかつ安全に復旧する必要があり、この検討が必要である。
Bケージどうしの衝突防止
異常現象が発生した場合、最悪のケースとしてケージどうしの衝突事故となる危険性がある。
テーマ名:「大都市圏複合型インフラ大動脈構想に関する調査研究」
1.研究目的
大都市圏において、増大を続けるエネルギー、情報、物流、廃棄物処理等の需要と供給を円滑に機能させるためには、現状インフラストラクチャーを新しい概念に基づいて見直すことが重要である。将来の都市形態のあり方を考えたとき、都市機能の根元的な要素として、インフラストラクチャーの整備を速やかに行う必要があると思われる。
本調査研究は、大都市圏、大深度地下インフラ大動脈構想を具体的に構築し、国あるいは地方自治体の将来の行政計画に資することを目的として平成2年度から開始された。
2.研究内容
本年度の報告書では、次年度への展開を前提として、21世紀のインフラネットワーク、拠点となる施設と地下輸送、大都市圏複合型インフラ大動脈の概念について、対象と機能、構造と規模の検討を行った。
21世紀のインフラネットワークとしては、新しい都市の形態が求められており、大深度地下空間の積極的な活用にも期待が寄せられている。都市レベルでの恒久的環境保全対策の証として、本構想のようなネットワーク構想の実現が望まれる。環境保全型都市が地下空間の活用のもとにその都市機能を発揮することを目標に検討を行う。
3.研究成果
首都圏を対象として、2010年までを一応の目処として、輸送対象物毎に現状と将来計画の調査・分析を行った。その結果、各輸送対象物に首都圏での量(生産、需要、発生、処理)、位置、主要動線をまとめ基本ルートモデルを設定した。
対象と機能は、動線ルート負荷の想定・分析を輸送対象物毎に行い、動線ルートの集約化パターンの検討として、ネットワークパターンT、U、V、ウルトラCの4パターンを検討した。構造と規模は、上記の輸送対象物毎に、負荷量を想定・分析し代表的なルートの断面形状の検討を行った。
テーマ名:「都市部における効率的な地下駐車場システムに関する調査研究」
本調査研究は平成2年度に引き続いたテーマであり、平成3年度の研究目的、内容、成果は下記の通りである。
1.研究目的
平成2年度の地下駐車場の現状と課題を検討・整理および試設計の研究成果を踏まえて、平成3年度は具体的なケーススタディにより、都市部の効率的な地下駐車場システムを提案する。
2.研究内容
(1)平成2年度の試設計における問題点の再整理と解決策の提案
(2)地下駐車場ネットワーク構想
(3)地下駐車場整理の事業手法の検討
(4)具体的ケーススタディ(中野駅北口広場を仮定)
(5)上記(4)項と関連づけた中野通り地下立体化利用構想
3.研究成果
2年間にわたる研究成果をまとめると以下のようになる。
(1)駐車台数としては500台程度の規模が、また構造的には地下二層構造が最も効率的である。
(2)公共地下駐車場と言えども、立地条件によっては今後、自走式だけでなく、大型機械式も適用対象として考慮すべきである。
(3)ネットワーク化は地下駐車場効率化の有効な手段であるが、システムに要する費用の負担・責任の分担等、実現に際しては検討すべき問題が多い。
(4)中野駅北口広場1地下駐車場および中野通り地下立体化構想の提案を行った。
テーマ名:「地下空間の環境シミュレーション解析法に関する調査研究」
本調査研究は平成3年度から始まったテーマであり、平成3年度の研究目的、内容、成果は下記の通りである。
1.研究目的
都市の巨大化、高密集化に伴い、地下空間の有効利用が大きな課題となってきている。地下空間の利用についてはいろいろと検討されているが、いずれにしても人間の活動が関与するものである。
半密閉系である地下空間で人間が活動するためには快適な居住環境が不可欠であるが、この環境を実現するための環境要素として居住性、水によるアメニティ、採光・照明、環境制御を取り上げ、広い観点から評価・解析手法を検討する。なお、本年度は技術調査を中心に研究を行った。
2.研究内容と成果
(1)居住性
| @ |
快適な空間の確保のための空間デザインと居住性(開放感)確保のための手法 |
| A |
地下構造物の床、壁面、天井、階段等の色彩デザインが与える居住性への影響 |
| B |
地下空間において季節感、天候、時間的感覚等を表現する手法及びその表現手法が人間の感性等に与える影響 |
| C |
各種騒音源が人間に与える影響及び地下空間の居住性を維持するための騒音対策技術 |
(2)水によるアメニティ
| @ |
人間に快適性、憩い、安らぎを与える手段としての水の機能 |
| A |
水の利用に関する方法・技術、地下空間との融合に関する課題及び水利用の周辺技術 |
(3)採光・照明
| @ |
地下空間光環境における心理的・生理的懸案事項と対策 |
| A |
地下空間における採光技術と事例調査及び人工照明の仕様、照明要件、照明設計例 |
| B |
自然採光と人工照明との併用制御技術に関する調査 |
(4)環境制御
| @ |
地下空間におけるいろいろな負荷(吸/発熱、水分放出)に関する空調技術及び各種省エネ・廃熱の有効利用技術に関する調査 |
| A |
地下における微粒子(ダスト)、各種ガス等の発生に対する処理技術 |
テーマ名:「都市ガス地下貯蔵(CGES)システムのF/Sに関する調査研究」
この調査研究は平成3年度を初年度とする2ヶ年の継続研究である。
1.研究目的
このフィージビリティ・スタディは、エネルギーの効率的な利用、環境対策、天然ガスの導入促進、都市ガスの製造供給システムのあり方等、エネルギー政策上必要性の高いCGESシステムを中核とするエネルギー複合供給システムを構築するため、設備技術・貯蔵技術について調査研究及び概念設計、事業性の評価を行い、これを実現していくための課題の抽出及び方策の提言を行うことを目的とする。
2.研究内容
ガス貯蔵・輸送等に係わる国内外の関連技術の動向調査を行い、CGESシステムの周辺環境を把握した。
次に、エネルギー政策へのインパクト・都市ヘのエネルギー供給のあり方等の検討を行い、また、硬質地盤・軟質地盤を対象とした空洞構築技術、ライニング方式・水封方式などの気密性確保技術及びプラントシステムの検討を実施し、CGESシステムの概念及び貯槽のコンセプトをまとめ、CGESシステムの概念設計に必要な基本検討条件の整備を行った。
3.研究成果
CGESシステムの概念の構築にあたり、まずCGES類似施設の現状調査を実施した。
CGESシステムは、都市ガスの日間ピークシェービングを目的とした都市又は都市近郊に設置される都市型CGESシステムと、日間/季節間ピークシェービング・備蓄やCAESシステムへの燃料供給を目的とした大規模CGESシステムに大別される。
都市型CGES及び大規模型CGESの各々につき、目的・設置場所・モデル規模・導管容量などを考慮して、平成4年度の概念設計のための検討対象システムを絞り込み、各検討対象に対応した現実的で魅力ある概略システム図を作成した。
CGESシステムは、分散電源やCAESシステムと組み合わせることにより、電気と都市ガスの負荷標準化を図り、しかも都市ガス(燃料)と電気と熱の3種類のエネルギーを複合的に供給できる魅力のあるシステムである。
テーマ名:「地下式下水処理施設に関する調査研究」
1.研究目的
用地確保が困難になってきている現状を考えて、設置平面積をなるべく小さくして地下に堅型に積層構造で設置し、限られた土地を有効に使うことを目的とする。また臭気や景観上の問題を解決し、下水等からの熱エネルギーが下水処理水を地元住民に還元するアメニティ施設とすることも目的としている。
2.研究内容
(1)基本概念検討
(2)下水処理施設を地下に設置した場合の従来の施設に比べてのメリットの検討
(3)地下式下水処理施設の検討対象地域、対象規模及び下水処理量の設定に関する検討
(4)地下式下水処理施設の処理技術、運転管理技術の検討
(5)地下構造物の構築技術の検討
(6)地下式下水処理施設立地に関する法制度、下水道処理施設の上空利用に関する法制度の検討
3.研究成果
(1)基本処理水量を大都市域、地方都市域で設定した。
(2)処理法については標準活性汚泥法、好気性バイオリアクタ、嫌気性バイオリアクタの3方式を候補としてあげそれぞれの処理方式について概略設計を行った。
(3)下水処理施設の監視体制、維持管理、監視制御システムの現状を調査し、地下式下水処理施設の運転管理技術の検討を行った。
(4)建設技術について、構造的安全性、仮設構造物の本体利用、各種土砂地盤への適応性・施工可能性を検討した結果、地下連続壁工法が最適工法となった。
■会員の皆様へのお知らせ■
○サロン・ド・エナ(第139回)開催案内
| 1.日 時 |
9月16日(水)17:30〜20:00 |
| 2.場 所 |
当協会AB会議室(4階) |
| 3.テーマ |
「外国人と日本人は何が異なるのか」 |
| 講 師 |
Mr.ホリー・シバート川上(学習院大学文学部英米文学科講師) |
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