地域開発に資する低温地熱発電の可能性調査研究

1. 研究期間

平成23年6月〜平成24年3月

2. 委員長

海江田 秀志 氏 (財)電力中央研究所 地圏科学領域 上席研究員

3. 参加機関

主査企業:(株)ダイヤコンサルタント
東京大学、(独)産業技術総合研究所、地熱技術開発(株)、電源開発(株)、富士電機(株)、(株)大林組、(株)ダイヤコンサルタント (7社)

4. オブザーバー

経済産業省国際プラント推進室、経済産業省産業施設課

5. 補助事業の概要

(1)事業の目的
従来の地熱発電は対象地域が自然公園との重なりや温泉への影響の懸念などの社会的要因に加え、開発コストに比してリスクが高いことから新規の立地が進んでいない。そこで、自然公園等の規制がなく既存の温泉からも離れた地域を対象に、120℃以下のいわゆる「低温地熱」の利用ができれば、再生可能な自然エネルギーとして、地球温暖化対策やエネルギーの安定供給に貢献できる。本研究では、従来、地熱地域として着目されていなかった低温地熱地域における地熱エネルギー利用の可能性を検討し、「低温地熱発電」用途の資源量評価、モデル地域を選定したシステムの概念の構築、建設・運用コストの検討および環境影響評価を行う。

(2)実施内容
平成22年度の調査研究では、低温地熱(70〜120℃の熱水)存在地域の調査、低温地熱に適する発電方式に関する調査を行った。文献調査により国内でこれまで地熱資源地域として着目されておらず、かつ、比較的低温の地熱資源を期待できる地域を対象に地熱資源賦存量の検討を行った。この結果に、電力需要や代替電源の必要性などの社会的要因を加味して、都市部に近い仙台南西部と離島である隠岐島後の2地域を選定した。また、低温地熱での利用に適した発電システムについての調査と課題抽出を行い、必要とする湯量は多いものの、バイナリー発電システムが有力な候補とされた。
こうした結果を踏まえて、平成23年度調査では、以下の事項を実施した。
1)モデル地域の選定、地熱資源量の評価、モデル地域の評価、課題の抽出
2)低温地熱発電システムおよび熱利用の検討
3)低温地熱資源の採取方法・発電方法、低温地熱資源の利用方法の検討
4)農業事業、陸上養殖事業事例の整理
5)経済性・事業性の評価

図1 低温地熱資源を用いた温熱ハウス・植物工場事業の概念

6. 予想される事業実施効果

地域振興の観点から熱利用の可能性を検討することにより、温室による地域特有の農産品の栽培、介護施設等の温浴や給湯、および養殖漁業などが候補として挙げられる。植物工場を想定することによって、事業性を見込むことが可能なモデルを提示できる。


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