天然ガス固体化地下貯蔵システムに関する調査研究(要旨)
(平成12年度〜平成13年度)
従来、天然ガスの貯蔵方式としては、LNG又はガスとして、貯蔵タンク、枯渇ガス田へ貯蔵するしかなかった。このような在来方式に対して、天然ガスを人工的に包接水和物の状態(スラリー状態)にして貯蔵する固体化地下貯蔵方式は今後の新しい方式の一つとして注目を集めている。固体化貯蔵方式は、LNGに比較すると温度条件がマイルド(LNGの-162℃に対してせいぜい-30℃)で、かつ1m3あたり150〜170倍のガスを貯蔵できる。
本研究は、天然ガスの固体化地下貯蔵システムについて、その技術的成立性、事業性を総合的に評価するものである。平成12年度は、システム構築に当たっての基本技術を抽出するため、@天然ガスの包接水和物の基本物性に関する調査、A天然ガス包接水和物の製造、搬送、貯蔵技術およびそれらに関連する既往技術の調査、Bシステムの基本概念の構築と課題、キーテクノロジーの抽出、などの調査研究を実施した。
今年度はこの研究の最終年度で、研究の総括を行い、以下に示す成果をあげることができた。
@常圧・低温貯蔵(浅層貯蔵)、高圧・常温貯蔵(深層貯蔵)の2ケースごとに、現状で提案されている各製造方式を基本とした地下貯蔵の概念の提案。
A地下貯蔵システムの概略仕様、システム建設、維持管理コストの評価。
Bシステムの事業性モデルの提案と、経済的成立条件、到達目標の明確化。
C周辺環境への影響、システムが成立できる地質、地盤条件の必要調査項目の明確化。
Dシステムを実現していくうえでの必要調査項目、課題についての取りまとめと今後の提言。
委員長:森 康彦(慶応義塾大学教授)ほか17名
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