SEC 石油開発環境安全センター Home ENAA Top
新着情報 SEC概要 事業報告 SEC News 会員企業・関連リンク お問い合わせ アクセス 協会誌 サイトマップ

事業報告「CCS実証事業の安全な実施にあたって」に対応する検討のうち廃坑方法の検討調査 戻る

1.調査の概要

 CCSの安全性を論じる場合、CO2の漏洩経路として最も可能性が高いのは坑井を経由するものであり、坑井の健全性を確保することは何よりも重要である。従って、坑井の掘削計画や廃坑計画を立案する際には、関連する法規制や技術ガイドラインを遵守することは勿論、各地でベストプラクティスとして認知されている手法やそれらに基づく各社の自主基準等にも目を向け、参考にすることが強く望まれる。
  この事業では、CCSに使用する坑井に関連する法規制等について、最新の情報を収集し整理した。また、CO2を実際に注入している坑井を対象として、その実態を調査した。加えて、近年技術の発展が目覚ましいセメント等の耐CO2製品についても調査した。

2.調査の内容

 日本における技術ガイドラインとして、経済産業省産業技術環境局長の私的研究会である「二酸化炭素回収・貯留(CCS)研究会」が取りまとめた、「CCS実証事業の安全な実施にあたって」の中から「CO2地中貯留を目的とした坑井の掘削・閉鎖にあたっての安全確保」を抽出して記載した。
  また米国では、環境保護庁がCCSのための法規制を検討しており、同庁が公表した法律案を翻訳して記載した。この法律案はパブリックコメントに付され、関係各所との間で調整が進められている段階である。当該法律が公式に成立するのは2010年末~2011年頃と言われているが、2010年1月に実施した米国現地調査の際に、環境保護庁で入手した最新情報も併せて記載した。
  一方で廃坑作業については、各国とも基本的には現行の法規制がCCSにも適用される。日本における法規制の関係分を記載するとともに、その内容が容易に理解できるように必要な解説を加えた。また、CCSに使用する坑井は高傾斜井、大偏距井、水平坑井等となる可能性もあるので、このような特殊な坑井の廃坑基準を定めている英国オフショアオペレーション協会(UKOOA)のガイドラインの中から、該当する部分を抜粋して記載した。

坑井の設計および廃坑の事例:

 CCSに関る団体や会社から、坑井設計や廃坑に関する事例を収集した。特に米国エネルギー省の主導により推進されている、CCS実証プロジェクトFutureGenおよびRegional Partnershipで使用されている坑井については、詳細な坑井仕様を調査した。また、坑井の掘削計画や廃坑計画の策定を担当する掘削専門家にヒアリングすることで、設計思想や社内基準等の情報を入手した。
  加えて、CCSと類似した作業を実施するCO2-EORで得られた知見についても調査し、CCSへの適用を検討した。

CCSに使用する材料、機器等:

 CCSに使用する坑井では高濃度のCO2と接触する機会が多いため、坑井で使用する材料や機器等については、CO2腐食による劣化に注意しなければならない。ここでは、CCSに使用する坑井で採用されているセメント、ケーシング、坑内機器等について調査した。
  また、CCSに使用する坑井で実施することを考慮すべき電気検層として、「地下におけるCO2の広がりを推定するためのもの」、および「坑井の健全性を評価するためのもの」という観点から取りまとめた。

CCS坑井の廃坑事例
CCS坑井の廃坑事例
(出典:MRCSP-FEGENCO No.1 Well Abandonment Program)


PAGE TOP
Copyright(C) 2009 Engineering Advancement Association of Japan. All Rights Reserved.