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「二酸化炭素地中貯留」とは
 二酸化炭素地中貯留とは地球温暖化の主要な原因である二酸化炭素を地下水で満たされた隙間が多い地層(帯水層といいます)へ閉じ込めてしまおうというものです。帯水層の上には遮断性の高い地層(キャップロックといいます)があり、閉じ込められた二酸化炭素は長い時間をかけて徐々に地下水へ溶け込んでいき、炭酸水になると予想されます。
 この方法は地球温暖化を抑制するための方策の1つとしてできるだけ早期の実用化が期待されています。




二酸化炭素地中貯留の概念図


研究開発の概要
 この研究開発では、火力発電所や製鉄所などから出ている二酸化炭素を地下の帯水層の中へ安定して閉じ込める技術の確立を目指しています。平成12年度から平成16年度までの5年間のうちで、平成12年度と平成13年度は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究開発、平成14年度からは経済産業省(METI)の補助金交付事業となっています。SECは事業主体である(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)の分室としてこの研究開発に参加しています。
 平成12年~平成16年の研究内容は以下の6つの実施項目からなり、SECはその内の3つを担当しています。

研究開発の内容(平成12年~平成16年)
実施項目 概要 担当
1.基礎研究等 ①基礎実験 二酸化炭素、地下水、岩石の間の反応性などを室内試験で把握する。 RITE
②モニタリング手法検討 実用段階において二酸化炭素の地下での動きを捉える適切な観測方法について検討する。 RITE
③シミュレーション技術開発 地下に入った二酸化炭素の長期的な動きを予測するためのシミュレータを開発して、環境影響評価方法の1つにする。 SEC
④システム研究 二酸化炭素地中貯留の経済性、安全性、社会受容性を検討・評価する。 RITE
2.圧入実証試験 地下に入れた二酸化炭素の実際の動きを予測、観測、分析し、地下での二酸化炭素の動きのメカニズムについて検討する。 SEC
3.地質調査 二酸化炭素地中貯留の候補地点を地質工学的に選定するための適切な地質調査方法、調査結果の評価方法を提案する。
日本の沿岸海域を対象として、候補地点の検討を行なう。
SEC

成果の概要
 SECの担当する3項目(シミュレーション技術開発、圧入実証試験、地質調査)について、平成16年3月までに次のような成果が得られています。
(1) シミュレーション技術開発
  地下へ貯留された二酸化炭素は長い時間の間に徐々に変化してゆきます。その現象をできるだけ正確に予測するための以下の要素モジュールを設計・開発し、二酸化炭素地中貯留用GEM-GHGを開発しました。
 ・化学反応モジュール
 ・地層変形モジュール
 ・水相特性モジュール
 ・2次的物質移動モジュール

仮想モデルによる炭酸塩鉱物(シデライト)の析出シミュレーション

(2) 圧入実証試験
 新潟県長岡市の地下1,100mの帯水層(地下水によって飽和された透水層)を対象として二酸化炭素の圧入を行い、二酸化炭素の地下での挙動の実際を様々な観測方法で把握しました。
 平成14年度までに地質調査、岩石の室内試験などを行ない、その結果を用いて二酸化炭素を帯水層に入れた場合の動きがどのようになるかを予測しました。また、圧入設備・観測設備の整備を合わせて進めました。
 平成15年7月7日には二酸化炭素の地下への圧入運転と観測を本格的に開始しました。平成17年10月の新潟県中越地震においても二酸化炭素の圧入設備に被害はなく、地下の二酸化炭素にも変化は認められませんでした。二酸化炭素の圧入は平成17年1月11日まで継続され、同日正午に最終累計圧入量10,405 t-CO2をもって完了しました。この間二酸化炭素の地中での挙動の現状を把握するための各種観測と将来の挙動予測のためのシミュレーション・スタディを実施しました。今後平成19年度まで、圧入された二酸化炭素の挙動観測を継続します。

 

圧入設備の運転状況(平成15年7月)
弾性波トモグラフィにより画像化された圧入完了後の地下の二酸化炭素(黄緑色の部分)

 


シミュレーション・スタディにより予測された圧入完了後
1000年における地下の二酸化炭素の分布状況(気相飽和率)

(3)

地質調査
わが国で二酸化炭素の地中貯留技術を確立するに際して、地質的側面からのアプローチを行うための基礎資料を得ることを目的として、以下の作業を実施しました。
 ・各種の既存地質資料の収集・整理・解析
 ・地質工学的解析・評価手法についてのプロトタイプ作成
 ・地中貯留候補地点の検討(日本沿岸海域を対象)
 ・地質工学的評価支援としてのGISデータベース作成


GISデータベースの構成概念図



関連サイト
経済産業省(METI)   http://www.meti.go.jp/
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)   http://www.nedo.go.jp/
環境調和型技術開発室のコーナーをご覧下さい。
(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)   http://www.rite.or.jp/

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