Thermal Conductivity Analysis by Laser Flash Method

Kazuya HOSONO, Tosinori DOZONO
Japan Ultra-high Temperature Materials Research Institute, 573-3 Okiube, Ube, Yamaguchi 755, Japan


ABSTRACT

Recently the laser flash method is applied to analyze the thermal diffusivity of multilayer specimens[1]ー[3]. In most cases, analysis is performed under the condition that the unknown parameter is thermal diffusivity of one of the layers only and all other parameters are known. Two methods of analyzing thermal diffusivity and volume heat capacity(ρc) of one of the layers have been developed. Both methods anali-ze thermal diffusivity and volume heat capacityof one of the layers by seeking the minimum of the least-squares function of eq.(8),(9). One is the cooling time constant method and the other is the direct method.The former uses the cooling time constant for deciding the biot nu-mber and seeks the minimum under 2 independent variables (thermal diffusivity and volume heat capacity) and the latter seeks the minimum under 3 independent variables(thermal diffusvity,volume heat capacity and biot number).
The laplace transformed theoretical temperature of the specimen's rear surface is given eq.(1)-(7). Theoretical temperature data were pro-vided using inverse transformation theory (FILT)[5]. Theoretical data were made for 3 layers specimen and the total thickness is kept 3mm.
Fig.1 and Fig.2 show the errors of α,(ρc)and h of 2nd layer and 3rd layer, using the cooling time constant method in case of biot number 0.001. Fig.3 and Fig.4 show the errors of α,(ρc) and h of 2nd layer and 3rd layer, using the direct method in case of biot number 0.001. Fig.5 and Fig.6 show the relation between amount of data and the errors of α,(ρc)and h of 2nd and 3rd layer, using direct method in case of biot number 0.01. These results show that 2nd or 3rd layer's thermal diffusivity and volume heat capacity of 3 layers specimen can be analyzed using newly developed methods.

NOMENCLATURE

T :theoretical rear surface temperature
E :measured rear surface temperature
P :laplace transformaion variable
α,c,k:thermal diffusivity, density, heat capacity and thermal conductivity of i-th layer △Li:thickness of i-th layer
L:thickness from the front surface to the bou-ndary between i-th layer and i+1th layer
h0,h1:biot number of front and rear surface
t0 :characteristic time by eq.(10)
Q:laser pulse energy
f(t):normalized pulse wave form
ts :sampling time
n0 :zero data number



レーザフラッシュ法による熱伝導率解析法

○細野和也(超高温材料研究所),堂園利徳(超高温材料研究所)

1.緒言

レーザフラッシュ法を多層材測定へ適用する例が近年見られるようになってきた。この多くのもの[1]〜[3]が多層材うちの1層の熱拡散率が不明、比熱および密度は既知、その他の層の熱拡散率、比熱、密度が既知とした解析であり、熱物性値不明層の熱拡散率、比熱、密度全てが不明とした解析は未だ行われていないと思われる。本報告では、3層材を対象とし第2層あるいは第3層の熱物性値(熱拡散率、比熱、密度)が不明、その他の層の熱物性値が既知として、試料裏面温度を測定して熱物性値不明層の熱拡散率および体積熱容量(密度と比熱を掛けた値)を求める方法に付いて検討した。熱物性値不明層の熱拡散率と体積熱容量が求められれば、この両者より熱伝導率が得られる。

2.多層材理論解

次の仮定をおいて多層材裏面温度理論解を求める。

@1次元熱伝導が成立する。
A各層材は均質であり、測定中熱物性値は一定である。
B各層間の熱接触は完全である。
C最外層表面は温度に比例した放射損失があり、試料表裏面のビオー数は等しい。

層数をn、第i層の熱拡散率をα、比熱をc、密度をρ、熱伝導率をk、厚さを△Lとし、試料表面(第1層)にレーザ光Qf(t)が照射される。この定義より表面から第i層と第i+1層の境までの厚さは(1)式で与えられ、全試料厚さはLnとなる。

(1)

ラプラス空間おける多層材裏面温度の理論解は、(2)〜(7)式で与えられる。ここにラプラス変数をP、表面側ビオー数をh0、裏面側ビオー数をh1とし、パルス波形のラプラス変換したものをQf(P)とする。

T(P)=Qf(P)[exp(rnLn)+γexp(-rnLn)]/ k1(r1+h0/Ln)[(c+dγ)-e(a+bγ)](2)
  = QTj(αi,(ρc)i,h0,h1,P)

ri=√(P/αi) (3)

γ= (rn+h1/Ln)exp(2rnLn)/(rn-h1/Ln) (4)

e = (r1-h0/Ln)/(r1+h0/Ln) (5)

(6)

,i+1は2行2列の行列であり、各要素を次に示す。

(G,i+1)11=(1+kr/kr)exp(-rL+rL)/2
(G,i+1)12=(1-kr/kr)exp(-rL-rL)/2
(G,i+1)21=(1-kr/kr)exp(rL+rL)/2
(G,i+1)22=(1+kr/kr)exp(rL-rL)/2(7)

3.2乗偏差式

 (2)式理論解は、各層の熱拡散率αi、体積熱容量(ρc)i、ビオー数hおよびラプラス変数Pにより計算される。従って独立変数は、熱物性値不明層の熱拡散率、体積熱容量およびビオー数となる。 測定データのラプラス変換およびラプラス変数の設定は、前回報告した方法[4]によった。2乗偏差は(8)式により与えられる。

R=Σ(QT-E (8)

2乗偏差式のパルス全エネルギーQによる偏微分式を0とおいてQを求め、(8)式に代入することによりQを削除した2乗偏差式(9)を得、以下で用いる。

R=[Σ(E)Σ(T)-〔Σ(ET)〕]/[Σ(T)] (9)

4.解析法−1(時定数法)

(9)式に与える2乗偏差式の極小値を与えるものとして熱物性値不明層の熱物性値を求める。単層材の場合、時定数を介して熱拡散率とビオー数が特定の関係にあることを利用したが、多層材においても同様に測定データから求められる時定数と理論式から求められる時定数が等しくなるようにビオー数を計算する。本解析方法の概略手順は次の通りである。

@不明層の熱物性値初期値を設定する。
A測定データより次式で定義する特性時間t0に対し て充分大きい時間領域で時定数を計算する。

(ρc)ave=[Σ(ρ△L)]/L
αave=Ln/[(ρc)aveΣ〔△L/(ρα)〕]
=Ln/(παave) (10)

B熱物性値不明層の体積熱容量を複数設定する。
C熱物性値不明層の熱拡散率をニュートン法で求める。
D理論時定数と測定データ時定数を比較し、それが等しくなるまでビオー数を変更し、CD項を繰り返す。
E複数設定した体積熱容量に対して2乗偏差を各々計算し、最小値を与える体積熱容量近傍に次の体積熱 容量を設定する。2乗偏差極小値近傍に到達するま でBより繰り返す。

5.解析法−2(直接法)

本方法は熱物性値不明層の熱拡散率、体積熱容量およびビオー数を各々独立変数として2乗偏差極小値に到達するものである。その概略手順は次の通りである。

@ビオー数を複数設定する。
A熱物性値不明層の体積熱容量を複数設定する。
B熱物性値不明層の熱拡散率をニュートン法で求める。
C2乗偏差を計算して最小値を与える体積熱容量を選択し、その近傍に新たな体積熱容量を設定する。
ビオー数固定条件における2乗偏差極小値近傍に到達するまでB〜Cを繰り返す。
D各ビオー数に対して2乗偏差を計算し最小値を与えるビオー数を選択し、その近傍に新たなビオー数を設定する。2乗偏差極小値に到達するまでA〜Dを繰り返す。

6.検討に用いた理論データ

多層材裏面温度のラプラス空間理論解を時間空間データに変換する必要があるが、FILT理論[5]によった。パルス波形は鋸歯状波(右下がり)とし、パルス幅1ms、サンプリング周期1μsとした。試料裏面温度データは、サンプリング周期10μs、ビオー数を0.001、0.01、0.1の3個設定し、試料全厚さを3mmに固定して各層厚さを種々変更したものとした。各層の熱物性値として次の値を設定した。 1層:α=1.0E−4m/s,c=1.0kJ/(kgK),ρ=1000kg/m 2層:α=1.1E−4m/s,c=1.1kJ/(kgK),ρ=1100kg/m 3層:α=1.2E−4m/s,c=1.2kJ/(kgK),ρ=1200kg/m

7.検討結果

(1)時定数法による計算精度 ラプラス変数はptmin=10、ptmax=50、ラプラス変数の数n=10として解析を行った。ビオー数が0.001のもので不明層が第2層の解析結果をFig.1に、不明層が第3層のものをFig.2に示す。不明層が第2層のものは(第2層厚さ/全厚さ)が10〜90%の範囲で1%より良い精度で熱拡散率および体積熱容量を求めることができた。パルス波形を考慮することにより精度が上がることも確認された。熱物性値不明層が第3層のものは(第3層厚さ/全厚さ)が50%付近で体積熱容量の精度が多少悪くなる領域があることを確認した。他のビオー数に付いても同様の結果であった。 (2)直接法による計算精度 ラプラス変数はptmin=10、ptmax=350、ラプラス変数の数n=10として解析を行った。ビオー数が0.001のものについて不明層が第2層の解析結果をFig.3に、不明層が第3層のものをFig.4に示す。不明層が第2層のものは(第2層厚さ/全厚さ)が20〜90%の範囲で1%より良い精度で熱拡散率および体積熱容量を求めることができた。パルス波形を考慮することにより精度が上がることも確認された。この方法の場合も不明層が第3層のものは(第3層厚さ/全厚さ)が50%付近で体積熱容量の精度が多少悪くなる領域があることを確認した。他のビオー数に付いても同様の結果であった。 (3)直接法におけるデータ量と計算精度 直接法は時定数を用いないので少ないデータ量で解析できることが想定される。ビオー数が0.01で(第2層または第3層試料厚さ/全厚さ)が40%のデータについて、(10)式に定義した特性時間を単位としたデータ量と解析精度の関係をFig.5Fig.6に示す。熱拡散率は少ないデータ量まで1%より良い精度で求められるが、体積熱容量はデータ量が少なくなるに従い熱拡散率より先に精度が悪くなる。

8.まとめ

 3層材試料で第2層あるいは第3層の熱物性値(熱拡散率、体積熱容量)が不明、その他の層の熱物性値が既知として測定した試料裏面温度をもとに不明層の熱拡散率、体積熱容量およびその積である熱伝導率の解析方法を検討し、解析できることを確認した。

REFERENCES

[1]K.B.Larson&K.Koyama:J.Appl.Phys.,39,9(1968)4408.
[2]A.G.Shashkov,S.Y.Yanovskii&T.N.Abramenko:High Temperature-High Pressure,16(1984)93.
[3]早稲田嘉夫,太田弘道,柴田弘幸,渡辺啓二,中島敬治:高温学会誌20,3(1994)104.