理事長年頭挨拶(2015年1月)

 2015年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
皆様におかれましては、良き新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

さて、昨年の世界経済は、欧州経済の減速や中国の成長ペース鈍化などの懸念要因はあったものの、米国の雇用環境の改善やアジア諸国の国内外需要に支えられて、緩慢ながらも景気回復の傾向が見られました。IMFの世界経済見通しによると、2014年の実質経済成長率は3.3%、2015年は3.8%と底堅い回復が見込まれています。
一方、シェール革命により米国の原油生産量が増加する中で、OPECが原油減産を見送ったこともあり、昨年夏場以降、原油価格が大幅に下落しています。中東、ロシア、アフリカ等資源国の経済情勢が不安定化しないか、政治情勢、治安情勢とともに注視する必要があります。

わが国経済は、アベノミクス効果の浸透により、長年苦しんできたデフレからの脱却への手掛かりをつかみつつあります。消費税増税影響からの立ち直りの遅れが懸念されていましたが、東京オリンピック関連の整備事業や東北大震災後の復興・除染事業、老朽インフラの整備事業などの需要にも支えられ、企業収益は拡大基調にあり、設備投資は増加傾向にあります。

「この道しかない」と安倍首相は言われ解散総選挙を行いましたが、近年多くの政権が成長戦略を策定し、実行局面で政権交代しているだけに、長期安定政権の下でアベノミクスが着実に実行されることに期待しています。
2015年度は、法人税の実効税率引き下げの開始、エネルギーミックスの策定も予定されており、TPPなどの経済連携交渉の進展も想定されます。日本企業の国際競争力を強化し、エネルギーコストを低減させ、世界経済の成長力を取り込むことにより、わが国の経済成長が加速されるような政策の実現をお願いしたいと思います。
企業としても、事業環境面の追い風をとらえ、着実に収益を上げることにより、雇用・所得環境の改善に反映させることで、景気循環サイクルの好転に寄与することが使命であると認識しています。

エンジニアリング産業について目を向けますと、昨年当協会が公表したエンジニアリング白書によれば、会員企業の2013年度受注実績は、14.6兆円と前年度に比べ19%増加しております。また、2014年度の受注見通しは、対前年度9%の増加となり、特に海外では、石油・ガス、鉄鋼・非鉄金属、通信の各分野でのプラント案件が倍増する見通しとなっています。

エンジニアリング業界としては、新興国・資源国でのエネルギー、環境分野をはじめとする社会インフラ分野において、わが国が培ってきた技術・ノウハウを活用したプロジェクトを創出し、引き続き日本の経済成長の一翼を力強く担っていく所存です。

一昨年、私は当協会の理事長に就任し、会員サービスの充実を図る観点から、従来首都圏中心であった情報発信活動や人材育成事業の地方展開を図ることや、関係省庁・団体との交流会、質の高い講演会の実施、国内の大学・会員企業向けや海外現地法人従業員向けのプロジェクト・マネジメント講座の開催などの取り組みを強化してきました。

また、昨年2月には、協会内に海外危機管理対策の専門組織を設置し活動を展開してまいりました。危機管理は海外展開の基盤として必須であり、本年も官民連携の下、引き続き協会会員各社への危機管理支援活動を継続していきたいと思います。

調査研究事業につきましては、関係諸団体との密接な連携のもと、地熱発電やメタンハイドレート、海洋資源開発など新エネルギー・資源関連での活動にも力を入れ、新たな受託事業を数多くいただいて実行してきました。

当協会へ新規に入会していただいた企業・団体は、昨年度31社、そして今年度は現時点で既に昨年度を上回る27社になり、総会員数は2012年度末154社・団体から現時点で202社・団体と48社増加しています。会員企業数がこのような増加傾向にある業界団体は少なく、手前味噌ながら、会員の皆様に先に述べた諸活動を認めていただいているものと自負しています。

本年も当協会は、引き続きエンジニアリング産業の社会的プレゼンス向上につながる情報発信、人材育成、調査研究等の諸活動を積極的に進めることに注力したいと思っておりますので、皆様方にはこれまでにも増してご支援・ご指導を賜りたいと思います。 本年も何卒よろしくお願いいたします。

2015年1月
一般財団法人エンジニアリング協会理事長

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