「水素安全利用等基盤技術開発」は、わが国のエネルギー供給の安定化・効率化・地球温暖化問題(CO2)・地球環境問題(NOx、粒子状物質等)の解決、新規産業・雇用の創出、水素エネルギー社会実現等に貢献するため、固体高分子形燃料電池の早期の実用化・普及を目指す「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用プログラム」の一環として、平成15年度から平成19年度までの計画で実施しているプロジェクトである。
当協会はこのプロジェクトの中で下記のテーマを担当し、各社の協力のもとで、研究開発を推進している。

−水素に関する共通基盤技術開発 国際標準・国際協力の研究
15年度成果
1) 国際標準化活動 [ISO/TC197 (水素技術)] の推進
燃料電池自動車用水素燃料仕様について我が国より新規項目としてISOに提案し、WG12として正式に採択され、これを受けて国内ワーキンググループ(WG)を立上げた。また、WG9(改質器)、WG10(水素吸蔵合金)、新規採択案件の水素ステーション(WG11)の各国際規格案を国内WGで審議し、その結果を国際会議にて日本の意見として国際規格案に反映させた。       
2) 国際的協力の推進 [IEA水素実施協定への対応]
Task 16(炭素材からの水素製造)、Task 17(水素貯蔵材料)、新規Task 18(水素実証プロジェクトの評価)の国際会議に専門家委員と共に出席し、研究開発情報の交換を行った。また、ExCo(Executive Committee)総会にNEDO共々参加した。
3) 国際的情報交換などの実施
米国Fuel Cellセミナー、欧州水素展示会等に出席し、各国の水素・燃料電池開発取組みについての最新情報の収集を行った。

 

−水素に関する共通基盤技術開発 高容量水素吸蔵合金と貯蔵タンクの研究
15年度成果
有効水素貯蔵量が5.5質量%以上、放出温度が150℃以下、2000サイクル繰返し後の性能が初期の90%以上の寿命を有する自動車用水素貯蔵材料開発を開始し、可能性のあるMg系合金、Ca系合金について試作し、それらの物性を測定した。
また、WE-NETプロジェクトの成果の一つである3質量%級高容量水素吸蔵合金(MH)について、その製法の改良や電熱特性の改良を試みた。
さらに、高容量MHを安全に活用できる貯蔵タンクの開発を開始し、熱伝導性の向上を目的に炭素繊維混合方法を検討した。
なお、「高容量水素吸蔵合金と貯蔵タンクの研究」は当協会、潟Cムラ材料開発研究所、学校法人東海大学、鞄本製鋼所、マツダ梶A日本重化学工業鰍ェ連名受託で実施し、当協会が代表受託者として取りまとめた。

 

−水素インフラに関する研究開発 水電解型水素スタンドの運転技術開発
15年度成果
1)試験容器への急速充てん試験
急速充てん試験を実施し、ディスペンサー改造に必要な基礎データを採取した。また、最適充てん流量を割り出すことが出来る制御方法を検討した。さらに、冷却装置の消費エネルギー、熱交換器の大きさ等についても検討した。
2)構成機器試験
高圧型ゴム製充てんホースの加圧/脱圧試験を実施し、性能データを得た。また、カプラーの内径を変えて、充てん時間への影響を試験した。
3)水電解装置の経済性評価
圧縮ガスの露点について、圧縮係数を考慮した計算を行った。また、2バンク方式におけるバンクの最適な構成を検討した。さらに、WE-NETプロジェクトで運転した天然ガス改質型、水電解型、オフサイト型の各ステーションの効率を同一条件で試算し、比較した。
なお「水電解型水素スタンドの運転技術開発」は当協会と日本酸素(株)が連名受託で実施し、当協会が代表受託者として取りまとめた。

 
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