第10号/1990.6

■佐伯新専務理事、山口新専務理事、池松新常務理事就任

■平成2年度分科会テーマ決定

■地下の最近の話題−新聞記事から−

■会員の皆様へのお知らせ


<>■佐伯新専務理事、山口新専務理事、池松新常務理事就任■

平成2年5月31日開催された第24回定例理事会にて下記の事項が承認された。

@ 昨年9月に(財)エンジニアリング振興協会の付置機関として設置した当地下センターの業務のほか、業務量の増大に対処するため寄附行為の一部を改正して、専務理事の定員を1名増やして2名以内とすること。
A 専務理事の選任については、5月31日付けにて退任する弘津匡啓氏の後任専務理事として佐伯嘉彦氏を、新しく増員された専務理事として常務理事である山口健氏を選任し、併せて地下センター所長を引き続き兼務すること。
また、常務理事として池松正盛氏を選任し、同氏に事務局長を委嘱すること。
(本号2〜4ページに新専務理事及び新常務理事の挨拶を掲載)

■マスタープラン専門委員会■

去る平成2年6月26日開催された第3回マスタープラン専門委員会において、以下の項目の審議ならびに報告があった。

1.地下センターの事業内容の説明について
研究開発テーマ(分科会テーマ)、大深度地下空間開発技術の研究開発(大プロ)、海外調査、等

2.平成2年度各部会報告について

3.平成2年度の進め方について
席上出された主な意見及び確認事項。

○各構想に伴う排出土砂の処理について検討する必要がある。
○基盤技術系部会については利用施設系部会の成果を見ながら平成2年12月にスタートする。
○地下構造物築造にあたり、周辺環境監視用センサーの開発が必要である。
○地球環境を守るため、巨大都市に人口を集中することにより効率的エネルギー消費をはかることが必要であると考えられる。このためには地下空間利用等を含め技術開発が必要である。
○次回は9月末〜10月初めに予定している。平成2年度の中間報告及び基盤技術系部会の進め方について審議する。



■新専務理事の挨拶■

佐 伯 嘉 彦

去る6月9日付で、弘津前専務理事の後を受け、専務理事に就任いたしました佐伯でございます。

就任後わずかの日数ですが、エンジニアリング振興協会の活動に極めて広範囲の分野の業界の方々が参加され、しかも非常にご熱心に活動されているのに深い感銘を受けているところです。同時に協会の活動に対する期待の高さをひしひしと感じ、あらためて私に与えられた任務の重さを感じた次第です。
エンジニアリング産業をとり巻く環境は明るさをとり戻しつつあるようですが、同時に時代は大きな転換期を迎えつつあり、将来の飛躍のための準備を必要とする時期にきているように思われます。

国内的には、個性化、多様化の時代に入って、豊かさを実感できる社会の形成、地域の活性化等による国土の均衡ある発展が課題となっております。国際的には、わが国に期待される役割がますます大きくなっており、経済協力の面でも単なる量的拡充のみならず、その質的充実が問われるようになってきました。
このような内外の諸ニーズに適切に応えるためには、創造的な発想と幅広い知見の結集による新しい総合的なエンジニアリングの構築が求められているように思われます。また、エンジニアリング産業としてもプロジェクトの遂行能力だけでなく、その提案能力も問われる時代になっているように思われます。
その意味で、幅広い分野の方々が結集した頭脳集団である本協会は非常に高いポテンシャルを持っており、相互の交流・協力により、より多くの社会的貢献と業界の強化・発展が可能となると信じております。

私も微力ながら、事務局職員一同と力を合わせて本協会の活動の充実に全力を傾注する所存でありますので、皆様方のご指導ご鞭撻と本協会活動への一層のご支援をお願い申し上げます。

■新専務理事の挨拶■

山 口   健

このたび、はからずも当協会の専務理事に選任され、引き続き地下開発利用研究センター所長を兼務することとなりました。これもひとえに、会員企業の方々のご支援ご協力の賜と深く感謝いたしているところです。
昭和59年4月、常務理事就任以来協会事業の拡充を通じ、エンジニアリング業界の発展に少しでも寄与できればと念願してまいりました。国際協力事業の拡充、プロジェクト発掘事業の予算化等、会員企業のニーズに合わせた事業に微力を尽くしてきたつもりですが、必ずしもご満足いただける成果を挙げるに至っておらず、なお一層の努力が必要と痛感しております。
また昨年9月には、社会的ニーズの高まりを背景に、通産省はじめ多くの関係者のご支援のもと「地下開発利用研究センター」が設立され、所長という重責を担うこととなりました。事業はまた緒についたばかりでございますが、通産省の大型プロジェクト「大深度地下空間開発技術」の研究開発の推進と併わせ各種利用システムの開発等、官・学の指導・支援を得つつ、120社を越える会員企業の力を結集し、今後の地下空間の有効利用開発にいささかなりとも貢献したいと考えております。
今後とも、何かとご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが、旧来にも増してご指導ご支援くださいますよう衷心よりお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

■新常務理事の挨拶■

池 松 正 盛

6月23日付けで常務理事兼事務局長を拝命しました池松でございます。会員各社の皆様には今後大変お世話になることと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
エンジニアリング振興協会では産・学・官の連絡を密にして社会のニーズを先取りし、多方面にわたって活発な活動が進められており、会員各社の多数の方々が参加されて熱心に検討が進められていることに感銘を受けております。
国内社会資本の整備、充実、地球環境問題への対応、国際協力の維持等エンジニアリング分野の重要性がますます増加している時期にエン振協で仕事をさせていただく機会に恵まれましたことは、誠に光栄でありますとともに、その責任の重さを痛感しております。
微力ではありますが、関係の皆様のご意見をよくお聞きして協会業務に精励いたす所存でありますので、ご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げます。



■平成2年度研究開発(分科会)テーマについて■

平成2年度第1回研究企画委員会で審議、絞り込まれていた平成2年度研究開発(分科会)テーマ(日本自転車振興会補助金テーマ)は、下記の通り継続4テーマ、新規2テーマが選定された。 7月中に第1回の分科会を開催できる見通しである。

テ ー マ 新規・継続  研 究 調 査 内 容
人・物の高速垂直連続輸送システム 継 続 平成2年度においては、リニアモーターを応用した高速連続輸送システムの概念設計を行い、構想をまとめる。
大深度地下業務用水再利用システム 継 続 平成2年度においては、水処理施設ならびに個別システムの概念設計を行い、トータルシステムとしてのモデルプランをまとめる
地下空間を活用した地下再開発計画 継 続 平成2年度においては、平成元年度の成果に基づき、都市再開発の基本概念を整理するとともに、ケーススタディーとしてのモデルシステムプランを構築する。
地下利用都市複合エネルギー供給システム  継 続  平成2年度においては、前提条件に基づき、モデルプランの概念設計ならびに経済性の検討を行うこととしている。
大都市圏複合型インフラ大動脈構想 新 規 地下空間を活用し、都市圏に高度に複合化された大動脈(大共同溝)を整備するため、大都市圏におけるエネルギー収支、物流収支、廃棄物発生のパターンと処理・処分の調査、大動脈構想の概念構築、必要な要素技術の検討、大都市圏複合型インフラ大動脈構想の具体的検討を行う。
都市部における効率的地下駐車場システムの開発 新 規 地下に駐車場を建設する場合の課題について検討を行う。既設建築物に近接して立体駐車場を設ける方法、車両の平面方向移動技術および大量かつ高速入出庫が可能な地下駐車場システムの研究を行い、効率的な地下駐車場の概念を作る。



■地下の最近の話題−新聞記事から−■

○地下は研究所・オフィス、地上はイベント広場(東京都内)。地下は鋳造工場、地上はマンション(埼玉県川口市)。 (日刊工業新聞 6月1日付)
不動産のリブラン(東京都板橋区、社長鈴木静雄氏)は東武東上線成増駅近くに、地下4階の「人間・住環境研究所」を建設、児童図書館、レストラン、国際会議室なども設置する。
地上にはエレベーターホール以外の建物は建てず、イベント広場として一般に公開する。着工は9月。平成4年7月完成予定。 長谷川鋳工所(東京都千代田区、社長長谷川哲司氏)は川口工場とその周辺地域を地権者の協力を得て再開発し、地下1、2階に鋳造工場を設置した29階建ての超高層マンションを建設する。 安全対策は人工地盤等で万全。

○新しい潜地型ロボットを提案(日刊建設工業新聞 6月6日)
日本産業用ロボット工業会は潜地型地下空間作業自動化システム策定報告書をまとめる。
@地質調査ロボットA立坑掘削ロボットB子供ロボットC掘削・覆工ロボットの各システムで構成する新しい潜地型ロボットを提案。

○極限作業ロボット開発の成果を公開、床から壁へ自在に移動(日刊建設工業新聞 6月7日)
工業技術院機械技術研究所は厳しい作業環境のもとで、人に代わって働く極限作業ロボット開発の成果を公開。 地下空間や宇宙などの環境でも利用できるロボットの出現が目前となってきた。

○地下埋設型で食糧備蓄基地建設(日経 6月8日)
釧路食糧備蓄基地研究会は備蓄基地を釧路港西港の後背地に地下埋設型で建設することに利点があるという研究成果をまとめた。利点として寒冷地で備蓄コストが安くなることなどをあげている。

○鉄道のトンネル内を利用した広告媒体装置登場(日本工業新聞 6月19日)
アイ・アンド・エス(東京都中央区、社長鈴木真人氏)の「タイムスリット」。目の残像を利用したもので、電車の通過速度をセンサーが捕らえて動いている電車の中から壁面に設置した静止画像や動画が見えるシステム。第1号として青函トンネルに設置。

○「環三」地下に300台駐車場(読売新聞 6月13日)
港区は路上駐車対策の一つとして、平成8年開業予定の地下鉄12号線麻布十番駅(仮称、地下駅)の上部に地下駐車場を建築する方針を固め、調査費約1億5千万円を計上。平成4年度に着工、同9年オープンの予定。

○地下室の設置基準、安全性や衛生に考慮して形態別に厳しい条件(日本経済新聞 6月25日)
住宅を建築する時に地下室もつくるケースが増えている。ところが地下室に対しても建築規制が及び、自治体の建築指導も厳しくなってきており、十分な注意が必要。



■会員の皆様へのお知らせ■

●サロン・ド・エナ(第116回)のお知らせ

1.日  時  7月18日(水)17:30〜20:00
2.場  所  麻布グリーン会館
3.講演題名  「地球開発−現在・過去・未来」
  講  師  星  健孝 殿 (日本開発銀行 企画部副長)
4.会  費  3,000円(非会員 5,000円)
5.申込み   地下センター 中村まで

●サロン・ド・エナのテーマ及び講師のご提案について

平成2年9月開催分より約3ヶ月に1回の割合で本会のテーマ及び講師の選定を地下センターが担当することとなりました。 担当分に関しましては、会員各位のご意見をなるべく直接反映した運営により、会を盛り上げたいと考えております。
つきましては、下記の要領で本会のテーマ及び講師のご提案を承りたくご協力方お願い申し上げます。

(1) 地下の開発利用に何らかの形で関係するテーマをお願いします。
(2) 採用させていただいた場合は、粗品を進呈いたします。
(3) 平成2年12月開催分より採用させていただきます。
(4) 申込み 地下センター 中村まで。