第114号/1999.3

■平成10年度日帰り見学会報告

■平成10年度地下センター調査研究組織

■地下利用推進第三部会活動状況報告

■線状施設回避型地下水保全・
   浄化システム分科会活動状況報告

■会員の皆様へのお知らせ


■平成10年度日帰り見学会報告■

 当センター恒例の「日帰り見学会」が、2月24日(水)に行われました。東京周辺の地下関連施設として、今回は、東京ガス鞄aの扇島工場LNG地下タンク新設工事現場と鰍ンなと都市整備公社殿の麻布十番公共駐車場建設工事現場を見学させていただきました(参加人数25名)。
 以下に、見学先の概要をご紹介します。
◯東京ガス叶島工場
  扇島工場は、東京ガスの袖ヶ浦・根岸に続く第三のLNG基地として1998年10月にスタートしました。特徴としては、@世界最大(20万kl)の完全埋設式地下タンク形式、A日本初のシーバース形式の桟橋とシールドトンネル、BLNG冷熱を利用した再液化装置等の最新技術の採用があげられます。
  今回の見学ではバスで工場内を廻らせていただきました。1号タンクは現在稼動中で、上部は平坦に盛土され芝生で緑化されていました。また、内部でメンブレンの取付け準備中の2号タンクでは、タンク底部まで降ろしていただきましたが、深度49m,内径72mにおよぶ地下空間のスケールに、見るもの皆、圧倒されました。
  本完全埋設式地下タンク形式は、安全性(耐震性)、周辺環境との調和性、土地の有効利用性において優れており、今後の地下空間利用にとって貴重な事例になると思われました。
◯麻布十番公共駐車場
  本駐車場は都道環状3号線の下に現在構築中で、隣接する形で、都営地下鉄(12号線)と営団地下鉄(7号線)の建設も進められています。
  麻布十番周辺は将来、人・車の流れが大きくなると予想され、このため、本駐車場は不法駐車による交通渋滞を防止し、さらに街路景観の保全による地域の発展を目的としています。
  本駐車場の特徴としては、総駐車台数347台の多くを、コンピューター制御での機械式システムによって入・出庫管理することがあげられます。
  駐車場は延長125m,幅25〜33m,深さ25mで、地下3層構造となっています。見学時点では、構造躯体工事がほぼ終了し、主に機械設備工事が進行中でした。地下空間の中に立体駐車場の構造フレームや車両用台車、トレイ等が整然と配置され、地下空間の有効利用を実感することができました。

  最後に、今回の見学会にご協力いただきました関係各所の方々に紙面を借りてお礼を申しあげます。

   (技術開発第二部 近藤次郎 記)



■平成10年度地下開発利用研究センター調査研究組織■

 平成10年度の部会、分科会等の調査研究組織ならびに受託事業活動等は、以下のようになりました。それぞれ、報告書等の取りまとめを行い、計画した調査研究を順調に終了する予定です。



受託事業活動その他
  • 石油ガス国家備蓄基地基本計画調査業務(倉敷計画地点)
  • 石油ガス地下岩盤備蓄基地の水収支調査業務(波方計画地点)
  • LPG水封式地下岩盤備蓄計画の技術的支援システム検討業務(波方計画地点)
  • エネルギー使用合理化鉱山システム等開発システム技術開発
  • エネルギー使用合理化鉱山システム等開発未利用エネルギー活用技術調査業務
  • ミニドーム再冠水原位置試験研究
  • 地下水流動調査(堆積岩制御ボーリングおよび孔内計測・採水技術調査)
  • スーパーサーベイ(次世代地下探査技術)調査研究
  • 地下揚水発電技術調査に係わる文献調査業務
  • 下水処理場等から発生する未利用ガスを利用するガスタービン用低NOx燃焼器開発
  • 山岳地下式清掃工場の実現可能性調査
  • エコエネ都市プロジェクト等NSS技術の具体的適用性研究
  • 広域熱供給事業の導入課題調査研究
  • 蓄熱技術専門委員会
  • 冷熱利用技術専門委員会




■地域プロジェクト育成専門部会(地下利用推進第三部会) 活動状況報告 ■

 当地域プロジェクト育成専門部会のキーワードである「多目的地下空間」「防災」「都市郊外」の三つの視点から現地調査を行い、今後の活動に生かすことを目的として、平成11年2月5日(金)に視察調査を実施しました。
(参加者12名)
  視察調査地は、岐阜県高山市にある轄nRランド殿の高山祭りミュージアムで、地域プロジェクトとして地方中核都市で運営稼働している施設です。当日は、この冬一番の寒波の後で穏やかな日和となり、高山ランド殿担当者のご案内で、地下空間に展示された平成の屋台・展示物の見学と地下空間ドームの管理状況および防災避難施設等の視察調査を行いました。
  高山祭りミュージアムは、展示ホールとそのアプローチ通路から成っています。展示ホールは、直径40m,高さ20mの半円球の地下大空間で、ロックアンカーおよびロックボルトと吹き付けコンクリート仕上げで空間が保持されています。アプローチ通路は、幅13m,高さ8.6mの馬蹄形で、その両側を隔壁で仕切り、2方向避難を確保した形状となっています。
  展示されている祭り屋台では、からくり屋台の実演があり家族連れでも十分に楽しめる施設となっています。これら屋台等展示物の豪華さには目を見はるものがありました。
  展示施設としては、恒温・恒湿、紫外線が入らない等の地下の特性が利用でき展示物の管理がし易いこと、地下空間による音響的効果(祭りのざわめきの迫力)が出るとのことでした。また、雨期には多少の漏水はあるが、天幕で対処できる程度との説明がありました。昨年は約60万人の入場者があったとのことで、地方中核都市の地域プロジェクトの例として、今後の当部会の活動に大いに参考となり、貴重な視察となりました。

 



■線状施設回避型地下水保全・浄化システム調査研究分科会 活動状況報告 ■

 本分科会は、「社会開発システム策定事業」の一つとして、本年度より2ヶ年の計画でスタートいたしました。近年、地下における地下鉄、道路、地下河川や半地下式の道路等の構造物が活発に建設されています。この様な構造物と地下水の関わりの中では、かつては主に周辺環境における地盤沈下について、構造物においては漏水や耐久性といった観点からの検討がなされてきました。一方、最近の環境共生に対する認識の高まりの中では、より広域的な環境保全といった観点から、地下水障害や水質保全等についても注目されるようになってきています。しかし、具体的に線状構造物において地下水を中心とした環境共生・創出を具体化した例は極めて少なく、その考え方や技術的方法、環境の予測や設計手法についても未だ有用なものはありません。この様な背景から本研究においては、線状構造物を構築する際に、広域的な地下水環境を保全する方策やより積極的な浄化、植生の再生等を考慮した対策について調査研究することを目的としています。
 1年目である本年度は、環境との共生を念頭に置いたときの問題点や技術的課題を抽出し、その対策等について調査研究を行いました。
  具体的には次の4つの項目について、作業部会員によるワーキング・グループを編成し、調査・検討を行いました。

(1) 対象線状構造物の調査
(2) 地下水通水路構築法の検討
(3) 地下水取水、涵養方法の検討
(4) 水質保全、浄化方法の検討
  これらの調査・検討結果をまとめた報告書を現在最終編集中で、来年度には今年度の調査研究に加えて、線状構造物周辺植生の再生・創出技術、長期的な維持管理方法、および総合的な環境影響評価の検討等を行い、線状回避型の地下水保全・浄化システムの構築を行っていく予定です。
 



■会員の皆様へのお知らせ■

○第211回サロン・ド・エナ開催のご案内

日 時 :  平成11年 3月17日(水)17:30〜
場 所 :  当協会6階CDE会議室
講 師 :  筑紫 みずえ 氏 (株式会社 グッド バンカー 代表取締役)
テ-マ :  「環境問題への対応が企業価値を創造する
  −エコファンドの意義とその社会的インパクト−」

○ENAA連絡担当者会議開催のご案内

 既にご案内申しあげておりますが、財団本部、地下開発利用研究センター、石油開発環境安全センターの賛助会員連絡担当者の方々にお集まりいただき、協会の実情を説明させていただくとともに、ご意見ご要望を伺わせていただくための「ENAA連絡担当者会議」を下記により開催いたします。
  会議終了後のパーティでは、会員企業間および事務局との情報交換・交流が行われますので、この機会に是非ご出席ください。
 
日  時 :  平成11年 3月26日(金)16:30〜17:30(17:30〜パーティ)
場  所 :  東海大学校友会館「望星の間」(パーティは「富士の間」)
問合先 :   当協会 業務部 小倉/松下
    TEL:03-3502-4441/FAX:03-3502-5500