
第125号/2000.2
■新年賀詞交歓会開催
■「廃棄物の地下保管及びその再資源化に関する調査研究」委員会の活動状況報告
■平成11年度受託事業
■「地下深部の地質・地盤特性に関する調査研究」委員会の活動状況報告
■GECホームページ「会員企業の技術紹介」
■会員の皆様へのお知らせ
■新聞記事からの紹介
■新年賀詞交歓会開催■
今年も、当協会の新年賀詞交歓会が、1月6日(木)15:30より、東京全日空ホテル(赤坂)「鳳の間」において、官庁、大学、賛助会員企業の役員の方々等、約800名のご出席をいただいて盛大に開催されました。
開会にあたり、エンジニアリング振興協会を代表して園田理事長より挨拶があり、次に来賓を代表して通商産業省の太田信一郎機械情報産業局長よりご挨拶を戴き、引き続いて渡辺前理事長(日揮椛纒\取締役会長)の乾杯の音頭によりパーティーが始まりました。
多くの方々の歓談が活発に行われ、盛大のうち17:00に閉会となりましたが、その後も残られる方が多く会場には明るさとともに活気も広がっていました。
エンジニアリング振興協会 理事長 園田 保男
挨拶要旨
エンジニアリング産業は知識集約型産業で、高度情報化やサービス経済化という時代の流れに沿った業種であることから、体質改革の方向さえ正確にとらえる限り必ずや生き残っていける。エンジニアリング振興協会としても、業界の体質強化、新規事業分野の開拓や社会ニーズの発掘について何をなすべきかを真剣に検討しており、近々その方向性をお示しできるものと考えています。今年を「サバイバル元年」と位置付け、明るい二十一世紀への橋渡しをするとともに、干支のごとく昇り龍の勢いのある年にしていきたい。
通商産業省 機械情報産業局長 太田 信一郎 氏
来賓挨拶要旨
情報通信や環境等の分野にもエンジニアリング業界の役割がますます広がっており、選択と集中を柱に事業の再構築を強力に推し進めてもらいたい。政府としても産業活力再生特別措置法等の法律的な整備等を通じて皆様方の取り組みを全面的に支援していきたい。
人材育成こそ企業・産業の発展と競争力に決定的に重要な要素と考えており、エンジニアリング振興協会ではプロジェクトマネジメントシステム手法の開発と普及に大変な努力をされていますので、通商産業省でもそのようなプロジェクトをぜひ支援していきたい。
 
■「廃棄物の地下保管及びその再資源化に関する調査研究」
委員会の活動状況報告■
「社会開発システム策定事業」の一つとして、昨年度より2ヵ年の計画でスタートいたしました。現在、国内の最終処分場の残余年数は一般廃棄物で全国平均8.7年、産業廃棄物で2.6年と厳しい状況にあり、また世界的に見ると、将来資源供給の逼迫が避けられない状況が来るものと予測されます。
本委員会は、地下の優位性を生かして廃棄物の保管システム、将来再資源化を図るシステムを構築し、地下保管の有利性を実証することを目的としています。
1年目では@廃棄物の現況調査、A廃棄物再資源化に関する調査研究、B法規制の調査研究を行いました。
本年度の第1回委員会は7月に開催され、委員長の福岡大学花嶋教授を中心に、活発な意見交換がなされました。その結果、本年度は昨年度の廃棄物の現状と再資源化についての成果を踏まえて対象廃棄物(廃家電、シュレッダーダスト、電池、焼却残さ、プリント基板)を絞り込んで問題点の抽出とその対策、地下保管の具体的方法について調査・研究を行い、地下空間における保管及びその再資源化システムを構築するという観点より、次の項目について調査研究を行うことになりました。
@廃棄物の地下保管システムの調査研究
A環境問題の調査研究
B法規制に対する検討
Cフィージビリティスタディ
第2回委員会は、神岡鉱業鞄aのご好意により11月16日、17日岐阜県吉城郡神岡町において開催されました。この神岡鉱山は、茂住、円山、栃洞の3つの鉱山からなり、選鉱・製錬所を有する銀・鉛・亜鉛の一大生産拠点であります。委員会の研修として、栃洞の採鉱箇所、茂住のスーパーカミオカンデ等坑内の特徴を活かした地下利用施設及びバッテリーリサイクルの鉛製錬を見学させていただき、特に廃棄物再資源化の一例として廃バッテリーのリサイクルは強く印象に残りました。その鉛精錬事業を紹介します。
(操業):95年2月から蓄電池工業会の各社とタイアップした廃バッテリーのリサイクル事業に転換。金、銀を含有するIC基板スクラップ、亜鉛製錬の鉛銀残さ等もフィードし、副産物を得る。
(プロセス):破砕→分離→溶融還元(溶鉱炉)→BF粗鉛→アノード→鉛電解→溶解鋳造(精鉛炉)→EMK鉛
(生産量):EMK鉛(99.99%、30千t/年)、電気銀(44t/年)の他、ビスマス、粗金等も生産。
■平成11年度受託事業■
受 託 事 業 名
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・高炉スラグ有効利用による最終処分場遮水システムの開発
・地中地盤蓄熱システム技術先導研究開発・石油ガス地下岩盤備蓄基地の水収支調査(波方・倉敷計画地点)
・LPG水封式地下岩盤備蓄計画の技術的支援システムに係る検討業務(その2)
・石油ガス国家備蓄基地〈波方・倉敷計画地点〉の周辺環境に配慮した施工管理方法の検討業務
・エネルギー使用合理化鉱山システム/ペースト充填技術
・比較的深い浅地中処分に係わる基準策定等に関する研究/物理探査解析の確認試験(ミニドーム)
・堆積岩における制御ボーリング及び孔内計測・採水技術調査
・地下揚水発電技術調査/地下深部地質調査のうち日本の花崗岩に関する文献調査 |
■「地下深部の地質・地盤特性に関する調査研究」
委員会の活動状況報告■
当地下センター(地圏空間研究所へ委託)と会員企業11社との共同研究である「地下深部の地質・地盤特性に関する調査研究」委員会では、平成11年度の活動の一環として、12月10日(金)の委員会において、講演会を開催しました。当日は、神奈川県環境部温泉地学研究所の横山尚秀博士をお迎えし、「地下水長期モニタリングのケーススタディ」と題して、地下水の水収支(地域開発と地下水位の変化、温泉開発と地下水位・水質)、地震予知研究について、御講演いただきました。以下にその概要を紹介いたします。
1.地下水の水収支について
神奈川県内の地下水位観測井の長期変動(30年間)を見ると、地域の開発に伴い地下水利用が増大し、地下水位が減少する傾向が認められる。昭和48年の地下水揚水規制により地下水位は年々回復する傾向に転じ、観測を始めた頃の水位程度まで回復している。また、足柄地域では河川上流にダムを建設したことにより、河川流量が安定し地下水位の上昇も観測されている。
箱根・湯河原地域では、温泉資源の保全のため地下水位(泉源)、水質等の長期観測を行っている。近年の温泉開発に伴い温泉水量を確保するための過剰な揚湯により水位・水温の低下、水質の悪化が観測されている。
水温・水質の変化については、地表水の流入が影響しているものと考えられるが、詳細については把握されていない。また、温泉の泉源となる地下水の水温は、火山性の群発地震の発生に伴い上昇することが観測されており、温泉水と火山活動の密接な関係を示唆する証拠が得られている。
2.地震予知研究について
地震発生前後では、地下水位の異常変化が認められることが、「なまずの会」の過去約20年間の観測で経験的に認められている。地下水位の異常変化が地震の前兆現象として捉らえられれば、地震予知に役立つと考えられる。そこで地震予知研究専用の観測井戸を設置した。観測された地下水位の変化は、主に気圧、地球潮汐、降雨などによるものであり、これらの要因と水位の変化は良い相関関係がある。地下水位解析により気圧、地球潮汐等の要因を補正する事により、地下水位の異常を検出することが可能となる。M=5以上の地震において観測された地下水位の異常は、約1cm程度の地下水位の上昇として捉えられた。現段階では、地震と地下水位変化の関係を示す事例が少なく、前兆現象として判断できる精度ではない。地下水位の変化と地殻変動の関連についても、今後検討する必要性がある。
■GECホームページ「会員企業の技術紹介」■
会員企業各位をはじめ広く一般の方々にもご利用いただいております当センターのホームページに、地下開発・利用に係る技術交換の場として、新たに「会員企業の技術紹介」を追加することになりました。
つきましては、下記の要領により、貴社の技術情報をお寄せいただきたくお願い申し上げます。
詳細作成要領につきましては、賛助会員連絡担当者殿へ送付致しました寄稿依頼状にてご確認願います。
1.紹介内容;地下(半地下、盛土地下を含む)の開発・利用に係る技術紹介
2.寄稿期限;先着順で順次掲載させていただきます。
3.作成要領;会社名、紹介する技術のタイトル、内容記事、写真(図)、連絡先をPDFファイル形式にて作成の上事務局までご送付下さい。
4.掲載件数;当面、1社当たり3件までとさせていただきます。
5.掲載機関;1年を目安とします。
6.その他 ;掲載費用は無料です。
7.問合先 ;地下開発利用研究センター 事務局 今村/安田 /中村 (TEL:03-3502-3671 FAX:03-3502-3265 E-mail:hiromi@enaa.or.jp)
8.GECホームページアドレス;http://www.enaa.or.jp/GEC/

■会員の皆様へのお知らせ■
○機関誌「Engineering」特集号発行
エンジニアリング振興協会が年4回発行している機関誌「Engineering」のNo.85号は、地下開発利用研究センターの設立10周年を記念し、この度特集号として編集されましたのでぜひご覧下さい。
なお、賛助会員企業の窓口担当の方々には既に送付させていただきましたが、当センターには本誌がまだ若干残っていますので、ご希望の方はご連絡下さい。
問合先: 地下開発利用研究センター 事務局 中村
(TEL:03-3502-3671/FAX:03-3502-3265)
○平成11年度日帰り見学会のご案内
当センター恒例の日帰り見学会を下記の要領にて開催致します。前号でお知らせした見学先が一部変更となりましたので再確認下さい。参加要領等詳細は、に各連絡担当者殿へご案内申し上げておりますので、この機会に是非ご参加下さい。なお、定員になり次第締め切らせていただきますので予めご了承願います。
開催日 :平成12年 2月24日(木)
定 員 :先着順30名程度
参加費 :5,000円程度を予定
見学先 :@神田川・環状7号線地下調節池 (神田川と善福寺川の洪水約54万m3貯留用)
A都営地下鉄12号線 麻布十番駅 (日本初地下鉄駅に防災備蓄倉庫併設)
B営団地下鉄南北線 白金高輪駅 (世界最大親子泥水シールド工法を採用)
問合先 : 地下開発利用研究センター 事務局 安宅/中村
(TEL:03-3502-3671/FAX:03-3502-3265)
○第220回サロン・ド・エナ開催のご案内
日 時 :平成12年 2月16日(水)17:30〜(於:当協会6階CDE会議室)
講 師 :廣瀬 輝 氏(建設省建設経済局建設業課 建設業技術企画官)
テーマ :「建設廃棄物リサイクルの現状と課題について」
講演要旨:建設産業は、資材の利用・廃棄の面で極めて大きな影響を有する。建設廃棄物の発生抑制、リサイク ルの徹底を図ることが、我が国における資源循環型社会を構築する上で強く求められている。
申込要領:FAXで事務局へお申し込み下さい。申込多数の場合は先着順で締め切らせていただきます。
地下開発利用研究センター 事務局 中村
(TEL:03-3502-3671/FAX:03-3502-3265)
■新聞記事からの紹介■
○汐留地下空間を立体利用 (2000.1.13日付け 日本工業新聞より)
地上には東京臨海新交通「ゆりかもめ」、三層構造の地下には歩行者や車路、都営地下鉄12号線…。二十一世紀の幕開けを告げるメトロポリス、汐留地区は、都心部の恵まれた立地に加えて、区画整理事業と再開発計画が同時に進められ、土地の高度利用と公共施設の整備が図られる。それを代表するのが、街区へのアクセスをスムーズにする地下空間の有効利用と空中に設けられるペデストリアンデッキだ。
地下一階はJR、地下鉄の新橋駅、地下鉄汐留駅と各街区の建物とを結ぶ歩行者道となる。この歩行者道は地下、地上、ペデストリアンデッキと立体的に整備され、ペデストリアンデッキは各街区とJR新橋、浜松町駅、新交通汐留駅とを結ぶ。その間にはサンクンガーデンが目を楽しませる。サンクンガーデンは地下一階レベルに広がる広場で、新橋駅から第四街区に至る交差点の第一、第二、第三街区コーナにそれぞれ設置する。
地下二階には都市計画道路、区画道路と各街区建物の地階駐車場とをつなぐ車路を建設。地下鉄汐留駅の改札フロアもここに設けられ、地下駐車場などが整備される。
また、地下三階には地下鉄12号線の線路が走り、共同溝という三層構造となる。こうした地下一体構造物の躯体はほぼ出来上がっており、「内装工事も五割方
終わっている。」(東京都建設局)
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