第161号/2003.2
今年も恒例の当協会の新年賀詞交歓会が、1月7日(火)午後3時30分より、東京全日空ホテル「プロミネンス」において、官庁、大学、賛助会員企業の役員の方々等約800名のご出席を頂いて盛大に開催されました。
開会にあたり、エンジニアリング振興協会を代表して増田会長(三菱重工業椛纒\取締役会長)より次のような挨拶がありました。
「今年も景気低迷で活路を輸出に見出さなければならない。アメリカの景気後退が加速する見通しにあるが、反面東南アジアや中国が発展中である。又ベトナムやカンボジアでは、プロジェクトの計画段階から日本が貢献できることも多い。
取り巻く環境は厳しいが、競争力を強化して環 境やエネルギー等の分野でがんばっていきたい」
また来賓を代表して今井康夫経済産業省製造産業局長より、次のようなご挨拶を頂きました。
「グローバリゼーションとインターネットの同時普及で世界中が競争相手になり、国内的にはデフレ経済による厳しい不況、アジアでは中国の著しい台頭があるが、縦横のアライアンスを進め、技術開発に全力をあげて日本の強い製造業を発展させてほしい」
引続いて重久理事長(日揮椛纒\取締役会長)の乾杯の音頭により懇親会が始まりました。多くの方々の談笑の輪がいたるところで見られ、盛会のうちに午後5時に閉会となりました。
今井経済産業省製造産業局長の来賓挨拶 交換風景
□テーマ名:都市のエネルギー効率の向上に関する基本構造課題と解決に関する調査研究
当委員会は日本自転車振興会の補助を受け、山地委員長(東大教授)の下に平成13年度から2年間にわたる活動を実施しています。
昨年の1月の委員会発足直後に、GECニュース148号で、調査の目的、研究内容等について紹介いたしました。
この号では、その後の1年間の活動報告をさせていただきます。
平成13年度は、まず都市のエネルギー需給構造の現状と今後の動向について調査を行いました。更に、今後のさまざまな検討における基礎的データの整備を目的として、東京都、北欧、欧州、北米における主要都市でのエネルギー需給実態についての調査を行いました。又、これらの調査結果をもとに、@分散型電源のコジェネレーション利用、A既存電力供給網との系統連系による協調運転、BDEMSによるエネルギー需給管理を基本条件とした都市のイメージをベースとして、都市のエネルギー効率を評価・検討するシナリオを設定し、モデルシステムの評価方法について検討しました。
14年度は、昨年度の調査・検討結果をもとに、既存の具体的な都市域として「東京臨海副都心地区」をケーススタディーの対象として、そこに導入される分散型エネルギーシステムや新エネルギ
ーを、熱電併給システムを中心としたエネルギーネットワークシステムに取り込み、そのエネルギー利用効率を検討し、これによりエネルギー利用効率を向上させるための技術開発課題を探ることを最終目的としています。
その方法は、以下のステップに従って、建設コストとエネルギー消費量の概略計算を行い、トータルコスト、エネルギー消費量、二酸化炭素排出量などに関する評価軸で検討するものです。
(1)「東京臨海副都心」地域熱供給施設の現状把握
(2)各種エネルギー供給技術の導入効果の検討
・熱回生技術導入による効果検討
・各種分散型電源の導入効果検討
・DEMSの導入効果検討
(3)まとめ
・各種エネルギー供給技術導入にあたっての問題点・課題の洗い出し
・都市のエネルギー効率を向上させるための技術開発課題の提案
・都市のエネルギー効率を向上させるための社会的・法制的課題と解決策の提案
・技術開発課題に対する開発計画の策定
熱電変換システム、いわゆる"熱電発電"は、古くは1940年初めのソ連では、独ソ戦線で焚き火を熱源とする無線通信用電源として用いられ、「パルチザンの飯盒」と呼ばれました。近年では、旧ソビエト連邦の人工衛星や、米国NASAが打ち上げたボイジャー等の惑星探査船の電源や、ロシア等でのガス・石油のパイプラインに使用されています。パイプラインでは防食用の電源として使われている他、監視装置や無線中継基地にも使われています。
日本国内では未利用熱エネルギーの回収再利用の最適な技術の一つして、ごみ焼却設備や輸送用車両・コジェネレーション用熱機関の排熱を利用しての熱電変換等、多くのチャレンジがなされています。
今後、熱電変換システムの実用化をより加速するためには、熱電変換モジュールの高効率化・耐久性向上と併せて、システムの最適化が必要とされています。当センター並びに会員企業等6社(GECニュース157号で紹介)では、平成14年度より経済産業省による補助事業「高効率熱電変換システムの開発事業」の5年間の技術開発を実施しています。本技術開発の対象熱電変換システムにおける省エネルギー効果は、2010年度において原油換算で約7.5万klを想定しています。
高効率の熱電変換システムの実用化に向け、当センターでは、熱電変換システム普及のため、将来有望な適用先の調査を実施しています。実施に際しては「熱電推進委員会(GECニュース159号で報告)」の下部組織である事業性・用途調査分科会(主査:東京商船大学 藤田教授)の審議・助言のもと、本年度はコジェネレーションシステムを中心とした排熱の実態調査として、アンケート調査及び文献調査を実施しています。
『中国新"ビジネス"セミナー/上海・無錫"製造・消費動向"視察ミッション』
〜変貌する「中国の真髄」を「自分の目」で確かめ、日本と中国で「真の中国通」に学ぶ〜
今回、平成14年11月26日〜29日、監査法人中央青山が主催する「中央青山PwCビジネススクール」の標記「上海・無錫"製造・消費動向"視察ミッション」に参加する機会を得ましたので、概要を報告いたします。
日中国交正常化30周年を迎え、日本企業の中国への進出が急速に拡大しています。WTO加盟、北京オリンピック、上海万国博覧会等、今後中国は引き続き高水準で経済成長するものと考えられます。
日本国内の製造業の空洞化が問題になっていますが、中国という経済成長性の高い市場に多くの日本企業が進出して約10年。その実情を視察し"中国"を正しく理解することが狙いです。
11月27日(水)
@ 無錫国家ハイテク産業開発区(WNDZ)
A 無錫華友工業園
B 無錫普洛菲斯電子有限公司
無錫は中国華東の上海から東へ130キロ、西は南
京まで180キロ、北は長江を背に、南は太湖に望んでいます。人口は約435万人(2001年末)。
@ 無錫国家ハイテク産業開発区(WNDZ)は 1992年に国務院の批准により開発が開始された工業団地で2200ha(羽田空港の約2.5倍)の面積を有し、道路・電力・ガス・通信・上下水・ファイバーケーブル(インターネット)などのインフラが完備されています。
又、高速道路・鉄道・運河などの輸送路も便利 な立地となっています。
すでに30ヶ国、470社が進出しており、投資額が比較的多いのは、日本30%、欧州25%、台湾25%、アメリカとカナダ15%、その他5%の順番で、産業種別では、電子情報産業45%、メカトロニクス及び精密機械20%、ファインケミカル15%、バイオテクノロジー及び製薬10%、新材料10%です。
進出企業には、税制面など種々の優遇策が取られ
ており、日系企業もソニー、シャープ、松下冷機などが進出しており、無錫日本人会の登録企業数は100社を超えています。
A 無錫華友工業園は@の無錫国家ハイテク産 業開発区(WNDZ)に隣接して新設された200haの工業団地で住友商事(株)が日本企業向けに誘致活動中で、インフラ・優遇策なども前述と同水準であり、1区画5000u〜20ha、50年の国有土地使用権で1.5万円/uです。
B 無錫普洛菲斯電子有限公司は日本の(株)デ ジタルが100%出資で(WNDZ)に進出したばかりの工場で、プログラマブル表示機及び関連周辺部品(TOUCH PANNEL)基板実装と販売を行っています。工場内を見学し、日本人マネージャーから、労務管理など種々の苦労話をお聴きしました。無錫地区の給与水準は、都市の上海に比べ70%程度だそうです。
無錫からの帰途、南京路(上海繁華街)の「ユニ クロ」店内を視察。価格は日本の70%程度であるが、上海標準家庭月収7.5万円(夫婦共働き、子供1人)の水準では、高価格と考えられます。
11月28日(木)
C 上海京セラ電子有限公司
1995年進出、上海浦東新区の金橋輸出加工区の工 業団地内にあり、若年女子作業員を中心とする約4000人の従業員が三交代勤務で、半導体の部品を生産しています。工場内を見学し、実情を聞くことができました。
昼食を「カルフール」で取り、店内視察。食料 品は現地価格、輸入品は日本と同程度の価格。(ナイキのスポーツ用品、ブランド時計・貴金属など)
D 上海経貿山九物流有限公司
上海市外高橋保税区にあり、検品・検針を伴う輸 出作業、物流加工作業、保税・保管作業を行っています。保税地区を見学し、輸出入及び中国国内の物流状況を聞くことができました。
E 現地懇談会
永年中国と日本の経済交流に携わってこられた経験豊かな方々(在東京中国人弁護士、邦人銀行支店長、邦人証券系経済研究所代表)と、我々日本からの参加者7名で夕食を共にしながら、活発な意見交換を行ないました。中国通の話を聞き、自らの目で中国という市場を確かめることができ、有意義な視察であった。
(技術開発第一部 松尾宏秋記)
無錫普洛菲斯電子有限公司 工場前にて 上海 浦東新区 工業団地隣接住宅街
○第252回サロン・ド・エナ開催のご案内 *都合により開催日が火曜日です!
日 時 :平成15年2月18日(火)17:30〜(於:当協会6階CDE会議室)
講 師 :家田 仁 氏(東京大学大学院工学系研究科教授)
テーマ :「都市再生はどうあるべきか〜地球環境時代の都市と交通〜」
講演要旨:都市再生を図り、サスティナブルな都市を作る際に、交通が果たす役割は大きい。都市再生 交通学からの解答、サスティナブルな都市と交通をどうやって作るのか、の観点から、現在の都市に対する考え方の傾向と望ましい都市のあり方、理想的な都市再生の進め方、拠点鉄道駅をベースにした都市再生のやり方、幹線道路をベースにした都市再生のやり方等についてご紹介いただきます。(講演終了後懇親立食パーティ)
会 費:3000円(非会員5000円)(当日受付にて申し受けます)
申込要領:FAXで事務局へお申し込み下さい。申込多数の場合は先着順で締め切らせていただきます。
地下開発利用研究センター 事務局 中村 (TEL:03-3502-3671/FAX:03-3502-3265)
○土木学会「地下空間シンポジウム」終了
1月17日に早稲田大学国際会議場で開催された土木学会第8回地下空間シンポジウムは大塚正博シンポジウム実行委員長の司会、今田徹地下空間研究委員長の挨拶と委員会報告で開始されました。
パネルディスカッション「ストック&メンテナンス時代の地下空間利用」は下記の講師により、熱心な討議が進められました。(以下敬称略)
コーディネータ 岸井隆幸日本大学教授
パネリスト 矢島隆 財団法人計量計画研究所常顧問
高橋良文東京都下水道局事業調整課長
大西有三京都大学教授
中島正人国土交通大深度地下利用企画官
宮川彰彦当センター研究理事
また午後の論文発表では地下空間の計画評価、心理・防災・環境、維持再生などのテーマに亘って多くの成果が発表されました。
舌句雑感:"小学校の改築"同潤会青山アパート建替え、旧正田邸保存運動と昨今歴史的建物の保存運動が盛んになっている。東京ではなじみが薄いようだが、ボーリズ設計の名建築の滋賀県豊郷小学校の保存運動で住民と町が対立し、暴力沙汰になっている。新聞によると町長が改築を決めたことが騒動の発端になったとある。公共建築の場合、"改築"の意味は、まったく同じものを作ることで、マスコミも市民もその意味を知らずに騒いでいるのではないか。又、肝心の使用者である小学生の声がまったく報道されていない。筆者なら、まっさらの同じものができるなら大賛成するが。伊勢神宮も30年ごとに同じスタイルで建替えている(=改築)が、それに反対といったことは聞いたことがない。RCの汚い外壁では、使用しながら保存する意味がないと思うのだが、いかがでしょうか。 (GECニュース編集者) |