研究成果発表会実施
(本部と合同で7月17日〜19日)
また、平成3年度以降の地下センター活動の企画のために研究企画ワーキングを設置することが承認された。
■地下空間の安全性評価研究■
当センター内では@マスタープラン専門委員会 防災・環境技術部会A大深度地下環境制御・防災技術部会B地下清掃工場システム委員会 環境・防災部会が、地下空間の安全・防災の調査・研究という点ではすでに発足しており、本研究はこれらに次ぐ4番目の研究である。
本研究は、(財)エンジニアリング振興協会が(社)日本損害保険協会から委託を受けたものである。
本研究では、地下利用リスクに関する現状を調査したのち地下空間に係わる安全・防災対策の評価方法をとりまとめる。地下に係わる問題を広範囲に取り上げ地下施設も地下街からエネルギー施設まであらゆる地下施設を対象とする。
最後に地下施設の複合化・大規模化・深層化に伴う安全・防災対策の重要度の変化をとりまとめる。期間は平成3年1月1日から9月30日まで。
(社)日本損害保険協会としては、この委託事業の成果を基に顧客に対する防災アドバイスなどを通じて社会に貢献することをめざしている。
■Sterling博士講演会■
通商産業省工業技術院・大型プロジェクト海外研究者招聘制度の一環により、公害資源研究所の招きにより来日された米国ミネソタ大学地下空間センター所長Raymond Sterling博士を招いて、1月17日午後3時より約2時間にわたり、当協会AB会議室にて講演会が開催された。
講演会のテーマは「地下空間利用の現状と将来計画」と題して、世界各地における地下空間利用の現状をOHPを使って紹介すると共に、地下利用の将来計画についての幾つかの問題提起をされた。東京のような地価の高い都市での地下利用は、資本投下面から見ても有利であること、又、開発(地下に限らず)には、デモ用プロジェクトも必要であるなど、現実面での対応の重要さも強調された。
Sterling博士は、一昨年、米国で開催された地下空間利用日米ジョイントセミナーで講演されるなど、また、来日も数回されていることから、馴染みの多い方もおり、聴講には、工業技術院関係者をはじめ、当センター賛助会員各社のみならず、会員外からの聴講もあり総勢約100名が参加された。
講演会終了後、Sterling博士を囲んでの立食パーティーが催されたが、多くの方々の出席を得て盛況のうちに終了した。
当地下センターでは、今後共、このような講演会を開催して行く予定である。
■清掃工場見学記■
受託事業として推進中の「地下清掃工場システム」の検討に関連して、現在稼動中の清掃工場および最終処分場の見学を行ったので概要を紹介する。
見学は都内3ヵ所の清掃工場および東京湾の最終処分場1ヵ所を行い、合計71名の参加を得た。
施設概要
工場名 |
所在地 |
敷地面積 |
竣工 |
建設費 |
焼却能力 |
杉 並 |
杉並区高井戸 |
37,000u |
昭和57年12月 |
178億円 |
600トン/日 |
光が丘 |
練馬区光が丘 |
23,700u |
昭和58年9月 |
105億円 |
300トン/日 |
目 黒 |
目黒区三田 |
30,000u |
平成3年3月(予定) |
180億円 |
600トン/日 |
(注)建設費は用地費を除く
(1)杉並清掃工場
20年程前の「杉並ごみ戦争」の経緯を踏まえて特に公害防止設備等の環境保護の策が工夫されており、これらは住民との交渉の中で裁判の和解条項となっている。
@ 地盤を10m掘り下げ、工場建屋(45m)の見た目の高さが抑えられている。
A ごみ収集車の専用地下道(560m)を設けて、周辺の交通混雑等を抑制している。
B 発生した熱エネルギーを敷地内に隣接した区民センターや温水プールに給熱したり、蒸気による発電(6,000kW)を行っている。
(2)光が丘清掃工場(正式名称は練馬清掃工場光が丘分工場)
旧グランドハイツの跡地に建設された光が丘パークタウン(高層住宅12,000戸)の中に建設されている。発電(4,000kW)後の蒸気で温水をつくり、東京熱供給鰍ノ送って地域給湯暖房用の熱源水として使われている。
(3)目黒清掃工場
都の清掃工場としては最も新しく、現在竣工を目指して試運転中である。設備のコンピュータコントロールが取り入れられており、ごみバンカー、灰バンカーのクレーンの自動化や搬入車の自動車両管制等を行っている。そのため、運転に必要な人数が従来の半分の6名程度になる。
全体にコンパクトなレイアウトに工夫されており、敷地の約1/3は緑地になっている。熱利用設備として、11,000kWの発電と還元施設への高温水の供給を計画している。
(4)埋め立て処分場(東京湾中央防波堤)
すべてのごみ処理プロセスの最終段階が埋め立てであり、現在一日約8,300トンのごみを埋め立てている。処分されるものとしては、金属・ガラス等の不燃ごみやプラスチックなどの焼却不適ごみと焼却出来なかった可燃ごみがあり、近年の使い捨て文化の中でごみ量は急速に増加しており埋め立て地の寿命は計画以上に短期化している。東京湾中央防波堤では、内側の処分場106ha(約1,200万m3)が昭和62年3月に埋め立てを完了し現在外側を埋め立てている。計画では平成8年3月までの予定であったが、それも1年以上も短い期間で完了してしまうという予測もある。さらに沖合に500haの埋め立て地を計画しても10年しか持たないと言われている。子孫に大きなツケを残さないためにも、生活の再検討を資源のリサイクルおよび中間減量処理としての焼却能力等の向上が望まれている。
■地下の最近の話題−新聞記事から−■
○六甲くりぬき地中に音楽堂(日本経済新聞 1月5日)
神戸市は六甲山をくりぬいて地下ドーム型の音楽専用ホールを建設する「六甲シンフォニーホール構想」を発表。(収容人数は1,000人〜2,000人程度)平成3年度から岩盤の強度、防災対策などに関する事前調査を開始。建設費は500億円以内で今世紀中の完成が目標。
○石油公団、LPG(液化石油ガス)の地下備蓄実証プラントを2月着工。(日経産業新聞 1月22日)
日本鉱業・水島製油所内で工事を開始。タンク容量は約200トン。同タンクは地下約100メートルの地点、工事が本格化する91年度には約4億5千万円を投じ、92年度中に完成する。
○フセイン地下豪邸(日本経済新聞 1月23日)
フセイン大統領は地下18メートルから指揮(毎日新聞 1月22日)
ドイツの大衆紙ビルト・アムゾンタークはフセイン・イラク大統領が潜んでいるとみられる地下豪邸の詳細を紹介。地下18メートル、面積は約1,800平方メートル、工費は数億マルク。ドイツの複数の業者が数年かけて建設。
○1級河川に1,000台収容駐車場(毎日新聞 1月28日)
東京都江戸川区は駐車場不足解消のため、1級河川(新川)を約3キロにわたって干し、駐車場を造る構想を発表。駐車場の上にはボート遊びなどができる人工の川をつくり2階建てで有効利用をする。300億〜400億円の工事費を見込んでおり、93年度に着工、5年がかりで完成させる計画。
○地下無重力実験センター、今春総合実験を開始。地域活性化の起爆剤に。(日刊建設工業新聞 1月31日)
■会員の皆様へのお知らせ■
○サロン・ド・エナ(第123回)のお知らせ
1.日 時 |
3月20日(水) 17:30〜20:00 |
2.場 所 |
当協会AB会議室(4F) |
3.テーマ |
「都市いかにあるべきか」(仮題) |
講 師 |
田村 明殿(法政大学 法学部教授) |
4.会 費 |
3,000円(非会員5,000円) |
5.申込み |
地下センター中村まで
TEL:3502−3617
FAX:3502−3265
|
○「ヨーロッパにおける地下空間利用実態調査団」の報告書完成。
昨秋(平成2年9月)地下センターで実施した上記調査団の報告書ができあがりました。ご協力いただいた参加者の皆様、ありがとうございました。 希望者には実費にてお分けしますので、申込みは地下センター中村までお願いします。