第197号/2006.2
■産業プラント操業における土壌汚染リスクのマネジメント・エンジニアリング調査研究第2回委員会報告
■ 「土壌環境汚染計測モニタリング機械システムに関するフィージビリティスタディ」−北九州エコタウン〜九州大学出張報告−
今年も恒例の当協会の新年賀詞交歓会が、1月5日(木)午後3時30分より、東京全日空ホテル「プロミネンス」において、官庁、大学、賛助会員企業の役員の方々等800名を越えるご出席を頂いて盛大に開催されました。
開会にあたり、エンジニアリング振興協会を代表して増田 信行会長(三菱重工業椛樺k役)より次のような挨拶がありました。
「昨年の日本景気を振り返ると、総じて堅調な設備投資、個人消費に支えられ企業業績も前年に引き続いて増収増益を記録しました。全体としてみれば引続き景気の回復基調が続き、今年10月には昭和40年代の"いざなぎ景気"に並ぶとのことで、戦後最長となるのではないかと威勢の良い話も聞こえて参ります。対外経済面においては中国経済の成長は目覚しく、一昨年、アメリカを抜いて日本の最大貿易国になってからも引き続き製造業の中国への生産シフトが進んでいます。北京オリンピック、上海万博と大きなイベントを控え、高い成長が続くと予想される反面、中国が風邪をひくと日本経済が失速するということもあり、日中関係の今後の進展には無関心ではいられない状況となってきています。
一方エンジニアリング業界に目を向けますと、昨年11月に当協会が発表いたしました「エンジニアリング産業の実態と動向(エンジニアリング産業白書)」によれば、16年度に記録した11兆7千億円に達した大幅な受注増加に引続き、17年度は、伸び率は落ちるものの見通しでは、前年度比0.6%増、海外については2.7%増との明るい見通しを得ております。昨年は、エンジニアリング業界にとって関心の深いトピックがありました。その一つは、原油価格高騰によってLNG開発がブームとなって製造プラントの発注が相次いだこと。また、京都議定書が2月に発効したことにより、今後は、環境分野へのビジネスチャンスが期待できるものとなったことです。ところで、最近BRICsという言葉を良く聞きます。ブラジル、ロシア、インド、中国の国内総生産GDPの合計は、2039年には、先進6ヶ国GDPを上回ると予想されるそうです。
であるならば、将来に向けた日本の課題は唯一の資源である「人材」と「技術」に磨きをかけることであり、これらによって他の国々との差別化を計っていくことに他なりません。日本経済の持続的発展のためには、「知」と「技」の集積であるエンジニアリング、我々の業界の役割が従来にも増して、益々重要性を帯びてくると思われます。
内外環境の著しい変化と将来展望の中で、「エンジニアリング振興協会」も時代のニーズに対応した的確な事業を遂行する必要があります。本年は、産学人材交流の推進など新しい事業に着手するのをはじめ協会改革の具現化に向けて活動していく所存ですのでより一層のご支援・ご協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。」
また、来賓を代表して平工 奉文 経済産業省製造産業局次長より、次のようなご挨拶を頂きました。
「我が国の景気動向は、大変好調のようで企業収益の好調がようやく家計に波及しつつあり、引続き民間需要中心の景気回復が期待されるところです。昨年公表された政府経済見通しによれば、2005年度の経済成長率は2.7%で、2006年度は1.9%とまずまず堅調な成長率が見込まれています。エンジニアリング業界の方も好調で、昨年12月に公表された海外のプラントエンジニアリング成約実績は、2005年上半期に135億ドル(前年同期比81%増)となって極めて高い伸びを示しています。カタールのLNGプラント、マレーシアの石炭火力、アラブ首長国連邦の新交通システムなど10億ドルを超える大型プロジェクトがあり、極めて堅調で推移しております。この背景には、中東やアジアにおいて、旺盛なインフラ需要があり、中国においては、1990年にGDPが1兆ドルでしたが、2004年には、1兆9千億ドルとなりイタリアを追い抜き世界6位となりました。今後10年〜15年の間に日本が射程に入るような急成長を示しています。また、世界のエネルギーシフトは、天然ガスの需要とあいまって益々国際競争が厳しくなっています。エンジニアリング産業は、業種を越えた総合力が競争力の決め手となる極めて高度な産業です。エンジニアリング振興協会の会員は、プラントメーカーやゼネコン・商社など様々な業種が会員となっています。まさにそうした皆様の総力を結集していただき、エンジニアリング産業が益々の発展することを祈念しています。
経済産業省もトップセールスやファイナンスマネジメントなど、そういった分野を通じて一丸となって皆様のご支援をして参る所存です。」
引続き、関 誠夫理事長(千代田化工建設椛纒\取締役社長)の乾杯の音頭により、懇親会が始まり、多くの方々の談笑の輪が広がり懇親を深めつつ時が流れ、盛会のうちに午後5時に閉会となりました。
来賓挨拶 平工次長
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交 歓 会
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■産業プラント操業における土壌汚染リスクのマネジメント・エンジニアリング調査研究■
□ 第2回委員会 報告□
平成17年度、第2回「産業プラント操業における土壌汚染リスクのマネジメント・エンジニアリング調査研究」委員会(委員長:佐藤雄也、中央大学大学院公共政策研究科教授、同理工学部教授)が12月13日(火)に開催され、国内の5つの業界をそれぞれ代表する計5社の協力を得て実施された土壌汚染に関するリスクマネジメントの概要や実例の調査結果の検討と今後の進め方について活発な議論が行われました。
本研究は、産業プラントの操業において、事業の意思決定の際に重要となっている事業体の環境格付、資産価値の把握、土地の再利用・改変など土壌汚染リスクに関するマネジメント手法の確立が目的で、プラント操業事業における漏洩事故等の汚染、及びその対応策の現状と課題を研究し、土壌汚染等に関する未然防止策などリスクマネジメントのあり方を検討し、マネジメント導入に関するプラント操業リスクの低減のあり方を取りまとめるものです。
初年度である今年度の活動内容は、国内を代表する企業への聞き取り調査および現地調査を実施し、得られた情報をもとに、適用可能な対処方法やリスクマネジメント方法を整理することであります。次年度については、今年度の調査研究で抽出された課題について、再度各企業への聞き取り調査および現地調査を行い、ソフト面、ハード面を考慮した統合的なリスクマネジメントのあり方を検討し、将来的なマネジメントシステム導入に関する提言を行うことを目指しています。
■「土壌環境汚染計測モニタリング機械システムに関するフィージビリティスタディ」■
□−北九州エコタウン〜九州大学 出張報告−□
地下センターでは、再委託先の鹿島建設鰍ニともに昨年度よりレーザープラズマ分光分析法を利用した汚染土壌のオンライン・リアルタイム計測の基礎研究を行っています。その一環として、昨年12月26、27日に情報収集、意見交換を目的として次の施設、大学などを訪問しました。 @北九州エコタウン 北九州市が、若松区響灘の埋立地で着手しているエコタウン事業。現在、22のリサイクル事業や18の実証研究などが行われています。今回は以下の3施設について調査を行いました。 ・福岡大学 資源循環・環境制御システム研究所 この研究所は、文部科学省の支援を受け設立され、国内最大規模の大型埋立実験槽の施設による最終処分場安定化促進技術、環境汚染物質の無害化および、廃棄物の再資源化技術などの研究を行っています。 産業廃棄物に起因した汚染土壌の現況に関して、詳しいご説明をいただき、より深い新しい知見を得ることができました。 ・葛き缶リサイクルステーション スチール缶から上蓋のアルミ素材を分離する新しいリサイクルを行っている。従来とは違い高純度、高品位のスチール原料としての再生が可能です。 ・潟Gコウッド 廃棄物と廃プラスチックを100%原料とした再生建材を製造。水や湿気に強く、細菌による腐食やシロアリによる食害がないなどの利点があります。 A九州大学 応用力学研究所 佐藤浩之助 教授 レーザー生成プラズマ、衝撃波プラズマ、核反応プラズマ計測などがご専門で、今回の訪問では、今年度の室内実験データを確認して頂いた後、主に測定原理について有益なアドバイスを頂きました。また、先生のご好意により、核融合炉開発を目指して実験・研究中のTRIAM計画についても研究施設を見学させて頂きました。 B九州大学院 農学研究院 和田信一郎 助教授 環境、土壌鉱物、汚染除去などを主な研究テーマとされている。土壌に含まれる重金属の化学形態について詳しく講義頂くとともに、模擬汚染試料作成に関して貴重なご意見を頂きました。 |
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TRIAM−1M(炉心理工学亜研究センターHPより)
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□ 第284回サロン・ド・エナ開催のご案内
日 時:平成18年2月15日(水)17:30〜20:00(於:当協会6階C,D,E会議室)
講 師:高橋 正征 殿 高知大学大学院 黒潮圏海洋科学研究科 教授
テーマ :「海洋資源を活用した新産業の創造を目指して」
− 地球環境に配慮した21世紀型海洋産業への挑戦 −
講演要旨: 海洋国家として21世紀型海洋産業を確立するうえで、長期的な視野に立った積極的な技術
開発が必要とされております。このような情勢の下、日本では第三期科学技術基本計画が纏められようとしており、重点的に取り組むべき研究課題が検討されております。
このため、昨年8月に東京大学を中心とした産学官連携の海洋開発フォーラムが、「海洋立国へ向けて」を提言し、海洋分野での重要技術開発課題の検討及び基本計画に提言を反映して頂くための働きかけが行われております。また、昨年11月には、日本経団連は、「海洋開発推進のための重要課題について」を提言し、食料資源およびエネルギー資源としての海洋の活用、世界最先端の技術を活用した海洋産業の国際競争力の強化などが重要課題として取り上げられております。今後、新たな環境変化に対応した海洋資源の活用、新海洋産業創造が期待されておりますが、解決すべき課題も多々存在しております。今回は、@海洋分野での重要技術開発課題、A今後期待される新産業分野についての大胆な展望、Bそれを実現するための課題と施策についてお話をお伺いすることとしております。
(講演終了後、懇親立食パーティがあります。)
会 費 :3,000円(非会員5,000円)(当日受付にて申し受けます。)
申込要領:申込多数の場合は、先着順で締め切らせていただきます。
地下センターのホームページ(http://www.enaa.or.jp/GEC/)から直接申込みができます。
□ 日帰り見学会のお知らせ (速報ですので事情により一部変更される場合があります。)
※日 時 :平成18年3月9日(木) 8時30分 新橋駅付近 集合
※行き先 :
@東京電力・東西連携ガス導管新設工事 富津側立坑〜
A首都高速中央環状線SJ22工区(2-1)富ヶ谷出入口トンネル
※申込締切:平成18年2月20日(月) (先着順 定員35名)
※会 費:5,000円/人
舌句雑感:BMI(Brain Machine Interface)ってご存知ですか?耳慣れない言葉ですが、科学最先端の技術の一つで人間の脳とコンピューターが融合すると言う意味です。この技術は、ロボットが単独の知能を持つマシンに対して、人間の脳がコンピューターと連携してロボット化しネットワーク化を実現させるものです。筑波大学 山海嘉之教授が身体装着型ロボットHAL-5号を開発し、昨年11月、The World Technology Network(WTN)からThe 2005 World Technology Award(IT-Hardware部門)を授賞して世界中を驚かせ脚光を浴びています。脳からの動作信号をコンピューターが受けて、機械を動かしスムーズに脳と同調して動作が可能になります。人間の力が10倍にも増幅し、四肢の不自由な人が使えば、歩けない人が歩けるようになり、手の不自由な人が卵も割れるようになります。まさにバリヤフリー!すごい時代が近づいて来たものです。でも、用途を間違えたら、ぞっとする怖さも潜んでいます。災害復旧や医療に役立つ平和利用に限って、広まって欲しいものです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(GECニュース編集者) |