第25号/1991.9
■大型プロジェクト現況
■副々都心中心街再生計画研究会発足
■平成3年度都市部における効率的地下駐車場システムに関する調査研究分科会
■東京電力蛇尾川揚水発電所調査報告
■新聞記事から
■会員の皆様へのお知らせ
■大型プロジェクト現況■
平成3年度大プロ・「大深度地下空間開発技術」の研究開発については、昨年度に引き続き、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との間に委託契約を締結し、鋭意研究開発を進めているところであるが、本年度は特に要素技術実験を主体として、基本設計を取りまとめることになるが、本年度上期の終了も間近となるので中間報告の取りまとめに着手する時期に来ている。
また、新エネルギー財団(NEF)との間には、「平成3年度新型負荷平準化電源開発環境影響評価技術調査(地下構造・地下水関連)」についての委託契約を締結し圧縮空気地下貯蔵施設周辺の環境影響評価として、ボーリング調査、弾性波、電磁波および比抵抗の核トモグラフィ技術について、それぞれの測定システム構成機器の製作、及びそれら機器の基礎試験等を実施することで進めている。
研究開発の進め方については、昨年度と同様、センター内に組織した研究会を中心に推進すると共に、特定項目については会員企業に対して再委託契約、又は請負契約を締結して推進するが、既に契約締結を完了し、それぞれの関連企業において、作業が進められている。
本年度は、実証ドームを構築する実証実験場所の選定を行う必要があり、現在その候補地探しを行っているので、会員企業からの情報提供を期待し、ご一報頂ければ幸いに存じます。
一方、平成4年度研究開発費概算要求に対する作業についても、平成3年度の研究開発業務と同時並行的に進めているが、既に全体を取りまとめ工技院に提出した。
なお、平成4年度研究開発費概算要求として、一般会計、石特会計、及び電特会計を含め、合計約19億2千7百万円となっている。
■副々都心中心街再生計画研究会発足■
9月6日、副々都心中心街再生計画研究会(研究会長、法政大学教授 渡部与四郎氏)の第1回委員会が開催された。本研究は地下センター発足後はじめて実施するプロジェクト推進事業の1テーマである。研究内容は分科会テーマ「地下空間を活用した地区再開発システム」を引継ぎ、東京近郊の副々都心の1つをサンプリングし、その駅前地区を対象として、ニューフロンティアとしての地下空間活用の手法等を導入し、具体的な再開発事業計画についての提案を行うことを目的とする。また、従来のハード指向の街づくりシステムに代わる新たなソフト指向システムも研究する。来年の4月まで研究活動を行い成果をとりまとめる予定である。
■平成3年度都市部における効率的地下駐車場システムに関する調査研究分科会■
本分科会は平成2年度を初年度とする2ヶ年の継続研究であり、平成2年度の研究成果についてはGECニュース8月号に記載されている通りである。
本年度は中野区の協力を得て、中野駅北口広場を具体的なケーススタディの対象として取り上げることになり、新委員として東京都の古川課長、中野区の石神課長、山岸課長、東大の中村助手および日立造船(株)の各委員に参加していただき、2年度に増して研究体制を充実させて発足した。
8月6日に第1回分科会を開催し、9月2日には中野駅周辺の現地調査を含めた第1回作業部会を開催した。
分科会の研究体制、研究内容等は次の通りである。
1.研究の目的
本年度は立地条件に対応した最適な地下駐車場システムを検討する。さらにケーススタディを通して検討した地下駐車場システムについて検証し、その実現の方策を提言する。
2.研究内容
(1)平成2年度の試設計における問題点整理と解決策
@平成2年度試設計の詳細分析と問題点の抽出
A問題点に対する解決策
(2)ケーススタディ
@ケーススタディ対象地区の現状把握と整理
A効率的な地下駐車場の概略設計(対象:中野区駅北口広場)
B地下駐車場ネットワーク検討(対象:中野区駅周辺地区)
Cケーススタディの評価
(3)まとめ
@ケーススタディ成果の一般地区への適用検討 等
3.研究体制
(1)分科会の構成
分科会委員名簿参照。
(2)作業部会の構成
作業部会は次の3つのワーキングで構成。
@第1ワーキング:問題解決策検討ワーキング(仮称)
A第2ワーキング:民官協力方策検討ワーキング(仮称)
B第3ワーキング:ネットワーク検討ワーキング(仮称)
平成3年度都市部における効率的地下駐車場システムに関する調査研究分科会名簿
分科会長
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太田 勝敏
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東京大学工学部都市工学科 教授
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委員
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中村 文彦
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東京大学工学部都市工学科 助手
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委員
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古川 公毅
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東京都都市計画局施設計画部 交通企画課長
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委員
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石神 正義
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中野区中野駅周辺地区整備部 推進課長
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委員
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山岸 隆一
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中野区都市計画部計画課 課長
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委員
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石田 恭久
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石川島播磨重工業梶@パーキングシステム事業部 技師長
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主査
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東浦 信光
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椛蝸ム組 土木技術本部設計第四部 部長
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委員
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友石 研二
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椛蝸ム組 土木技術本部技術第一部 課長
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委員
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竹内 秀司
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川崎重工業葛Z術開発本部GFプロジェクト室 室長
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委員
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吉成 寿男
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佐藤工業梶@技術本部技術開発部 課長
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委員
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今城 英樹
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住友海上火災保険梶@官公営業第二部 企画開発チーム 課長
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委員
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石岡 英明
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セコム梶@SI事業部 企画管理室長
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委員
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加藤 高敏
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鞄月ナ 公共システム事業部 都市システム推進担当課長
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委員
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椋木 淳二
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西松建設梶@機械部機械課 副課長
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委員
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村形 晋二
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能美防災梶@NSS推進室 参与
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委員
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五十嵐勝正
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滑ヤ組 技術本部土木技術開発部 新交通開発室 課長
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委員
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岡崎 茂敏
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日立造船梶@プラント事業部 立体駐車場事業部 エンジニア
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委員
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宮川 彰彦
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(財)エンジニアリング振興協会地下開発利用研究センター 研究理事
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委員
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岡村 周良
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(財)エンジニアリング振興協会地下開発利用研究センター
技術開発第一部長
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幹事
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菊池 國祐
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椛蝸ム組 土木技術本部技術第一部 課長代理
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■東京電力蛇尾川揚水発電所調査報告■
マスタープラン専門委員会の地盤調査技術部会では、部会のメンバーにも参加頂いている東京電力鞄aのご好意により、蛇尾川揚水発電所の建設状況の見学を実施し、貴重な研究活動とすることができた。以下その概要を報告する。
晩夏というよりは、秋間近の涼風と小雨の中、那須塩原に集合した一行25名(欠席3名)は、まず総建設所で全体説明を受け、地下発電所、下ダム、上ダムの順で見学をさせていただいた。
東京電力蛇尾川揚水発電所は、昭和61年10月上ダム工事を着工して以来、平成6年7月の1号機(30万kW)、平成7年7月の2・3号機(30万kW×2)の運転開始を目指し、現在全体進捗率62%(内土木68%)とのことで現場全体が活気に満ちていた。
地下発電所は高さ51.4m幅29.0m長さ165.0mの巨大空洞が完成し、直立する側壁、その側壁に打たれた沢山のアンカー、約1700個にも及び計器による観測システム等、“創造”の感動がひしひしとせまって来るものであった。
下ダム(コンクリート重力ダム、H=104m、V=1050万m3)でRCD工法による堤体のコンクリート打設工事を見学の後、上ダム(表面しゃ水型ロックフィルダム、H=90.5m、V=1190万m3)のしゃ水アスファルト打設状況を見学した。上ダムは盛立てが完了し、現在3層目のアスファルトフェーシング中で、約30,000m3の漆黒の面の所々から立ち登る湯気と、山霧が風に流れている様子は正に圧巻であった。全体に亀裂の多い岩盤で土木工事には多くの苦労と工夫が伴ったことと推定された。ご説明とご案内をして頂いた竹下技術課長に深く感謝して見学会を終了した。そのまま那須高原中腹の宿舎に入り、夕食後WG1、WG2に分かれてミーティングを実施しましたが、最後は、ほぼ全員が一室に集まって、研究活動の反省やら、高尚(?)な技術談義が深更にまでおよびました。
翌日午前中のWG及び全体部会で研究報告書の原稿をほぼ90%完了させ、当部会の約半年にわたる研究活動の実質的活動を透きとおった高原の空気の中で有意に終了させました。
(潟_イヤコンサルタント 田村記)
■新聞記事から■
○菊間地下石油備蓄基地、岩盤地下タンクの掘削完了(日刊建設工業新聞 8月20日)
菊間地下石油備蓄基地(愛媛県越智郡菊間町)の岩盤地下タンクの掘削工事が完了、地下に出現した巨大な地下空間を利用して、このほどメモリアルイベントが開かれた。「石油の貯蔵が始まったら二度と中には入れない。工事にご理解とご協力をいただいた周辺地元住民の方々に感謝の気持ちを込めて何か記念行事を行いたかった」という5社JVの発案による催し。「ファンタジア・音と光のページェント」と題し、岩盤地下タンクの中で工事記録ビデオの映写やレーザー光線を使ったライティングショー、シンセサイザー演奏などが繰り広げられた。地元住民、工事関係者ら800人が参加、特に夏休み中の子供たちは、地下空洞での幻想的な演出と大型建機を目の当たりにし目を輝かせていた。
○MM21に4500トンの地下貯水槽(日本経済新聞8月23日)
横浜市はみなとみらい(MM)21地区内に4500トン分の循環式地下貯水槽を設置する。21世紀には19万人の就業人口を抱えるため、震災時に備え50万人の3日分の飲料水を確保する。総事業費は20億7000万円。貯水槽はMM地区内に4カ所程度に分散させる。完成は2000年の予定。
○新橋駅西口を基礎調査、地下ネットワークを形成(日刊建設工業新聞 8月23日)
東京港区は、新橋地区土地利用基礎調査の結果を明らかにした。同調査は、将来の新橋駅西口の整備誘導を図るメニューを示した報告書となっており、駐車場や商店街を含む地下ネットワークの形成、駅前広場空間の拡大などを盛り込んだ。区は今後、同調査をたたき台に地元組織「新しい新橋を考える委員会」と協議を重ね具体化をめざす。
○下水道事業団予算要求18%増の3044億円終末処理場建設410カ所に(日刊工業新聞 8月28日)
日本下水道事業団は、日米合意に基づき下水道普及率を今年度から5か年計画で10%アップするのに伴い、来年度予算に今年度当初比18%増の3044億円を要求することをきめた。自治体からの受託建設事業も大幅に増やし、とくに終末処理場の建設工事を今年度の360カ所から、410カ所に、実施設計も300カ所330カ所に増やす計画。
○新エネルギー財団 圧縮空気貯蔵ガスタービン試験プラント事務所を開設
(日刊建設工業新聞 8月29日)
(財)新エネルギー財団(NEF橋本利一会長)は通産省・資源エネルギー庁の委託を受け、圧縮空気貯蔵ガスタービン(CAES−G/T)発電システムの環境影響評価技術調査を実施しているが、このほどパイロットプラントを設置する北海道空地郡上砂川町の三井石炭鉱業砂川事業所敷地内に砂川事務所を開設、プラント設置サイトの地質調査、岩盤試験の準備に入った。本調査は平成2年度から10年度までの9年間計画で、総事業費は約150億円。北海道電力、電源開発、電力中央研究所、エンジニアリング振興協会に再委託している。
○東京都、土木研究センターと民間18社で構成する自由断面シールド工法研究会は縦榾円シールドの実証実験終了。来春、国際会議で発表(日刊建設工業新聞 8月30日)
■会員の皆様へのお知らせ■
○スターリング氏来訪
米国科学財団の研究プロジェクト「日米における地下建設技術」の一助とするため訪日中のミネソタ大学助教授スターリング氏が8月29日当センターを訪問された。同氏は約10日間日本に滞在されその間大手建設会社、諸官庁、研究機関を訪問されている。当センターではセンターの概要・調査研究活動について説明し、意見交換を行った。また同氏が興味をもたれた報告書を数部差し上げることとなった。
○サロン・ド・エナ(第129回)開催案内
1.日時 |
10月16日(水) 17:30〜20:00 |
2.場所 |
当協会AB会議室(4階) |
3.テーマ |
「地下空間の利用−六甲シンフォニーホールを中心として」 |
講師 |
桜井 春輔 (神戸大学工学部土木工学科教授) |
○新規入会<8月5日>
日本鋼管工事梶i代表取締役社長 大高 洋氏)
〒230 横浜市鶴見区小野町88番地
п@045−503−8073
連絡担当者:技術部土木技術室 岩下 文彦氏
8月1日現在128社(うち、特別会員2社)となりました。
○エンジニアリングシンポジウム’91開催案内
1.日時 |
10月31日(木)10:00〜19:30
11月1日 (金) 10:00〜17:15 |
2.場所 |
東京商工会議所ビル(丸の内) |
3.テーマ |
「21世紀に向けて−豊かな地球未来のために今」 |
4.参加費 |
(消費税込み)
シンポジウム 20,600円
親睦パーティ 10,300円 |
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