第28号/1991.12

■地下式下水処理施設調査報告

■GEOTECH’92

■LPG地下備蓄技術海外調査

■Harris氏講演

■新聞記事から

■会員の皆様へのお知らせ


■地下式下水処理施設調査報告■

平成3年度分科会テーマとして「地下式下水処理施設」の調査研究を行っている(分科会長 東京大学教授 松尾友矩氏)。これは首都圏等の大都市において下水処理施設を地下に縦型に設置することによって、土地の高度利用を図ると共に、下水処理水や熱エネルギーを周辺地域へ供給する都市型下水処理施設の建設を目指すものである。本年度は要素技術、法規制等の現状調査を行い、全体システムを構築すべく研究活動を続けている。

この現状調査の一環として、この度東京都下水道局のご好意により落合処理場および中野処理場の調査を行うことができたので、以下に報告する。
落合処理場は高田馬場から西武新宿線で1つ目、下落合駅から徒歩5分の所にある。住宅密集地に立地しているため施設の一部を二階層式にしたり、全施設を覆蓋し、さらに上部空間利用の先駆けとして日本で初めて処理施設上部の公園化を実施した。
ここでは約44万t/日(60万人)の下水を処理しているが、その全量を砂濾過にて高度処理し、そのうち、8,000t/日を場内で雑用水として使用し、3,000t/日は新都庁舎を始めとする新宿副都心の高層ビル街にトイレ洗浄水として供給している。また残りの処理水は神田川へ放流し、河川の浄化に役立てている。
下水処理水の水温は気温に比べ真夏は6〜8℃低く、逆に真冬は2〜4℃高い。ここではこの温度差を利用してヒートポンプを使って熱を回収し、管理棟の冷暖房に利用している。
昼食もそこそこに同じ沿線の3つ先の沼袋駅に近い中野処理場へ向かった。
ここは人口の増加により先の落合処理場で不足する14万t/日を処理するものである。ここも周辺が閑静な住宅地であることから、最初の計画段階から施設を地下に設置し、上部は隣接する公園と合わせて防災公園にすることにしている。
そのため、建設現場は現地盤から約15mの根切り深さとなっており、上から覗くとかなり深い。しかし我々はさらに深く、GL−50m程度の施設を考えており、その分、敷地面積を小さくすることを狙っている。ここでも処理水をさらに砂濾過により高度処理する計画になっている。

今回の視察で、都市部では処理場の敷地は貴重な空間であり、今後さらに高度な利用が求められること、これからの処理施設は人の目に触れない配慮が必須であること、下水から得られる高度処理水や熱エネルギーは大都市に暮らす我々にとって貴重な財産であり、これらの利用は地球規模のエネルギー問題や地球環境問題の解決にも繋がること等を痛感し、本テーマの重要性を再認する貴重な調査であった。
(滑ヤ組 関根記)



■GEOTECH’92■

昨年4月に行われた国際地下開発エンジニアリング展が来年9月に再び行われることが決まりましたのでお知らせします。なお当協会は協賛という立場で参加しております。

名  称 GEOTECH’92
(第2回国際地下開発エンジニアリング展)
テーマ 地下開発が開く、明日への都市づくり
会  期 1992年9月16日(水)〜19日(土)
会  場 東京国際見本市会場・晴海
展示規模 約160社/600小間
併催行事 GEOTECH‘92国際シンポジウム
9月16日(水)〜19日(土)
ホテル マリナーズコート東京(東京 晴海)
主  催 社団法人 東京国際見本市協会
運営協力 株式会社 ワールド・インポート・マート




■平成3年度LPG備蓄技術海外調査■

1.調査の目的と概要

当協会では石油公団からLPGの備蓄技術調査の委託を昭和61年度より受けている。調査の一環として日本で実績のない地下備蓄の技術的検討に資する資料を得るため海外調査を実施している。過去5回の海外調査では運転管理、品質管理、在庫管理等に主眼を置くとともに、関連する法律、基準関係の情報収集を行った。
今回は今までの基礎的な調査を踏まえ、次の調査をアメリカ、カナダ、韓国で行った。

(1)安全対策に関する調査
(2)運転、品質管理等に関する補足調査
(3)国家備蓄実施の韓国の備蓄基地の概要と操業状況

2.調査団メンバー

調査団は清滝昌三郎氏(石油公団理事)を団長とし、団員としてLPG備蓄技術委員会委員と保安行政関係者さらに(財)エルピーガス振興センター、当協会及びそれぞれのWGの構成員が参加した総勢31名であった。
なお、当協会の宮川研究理事が副団長として参加した。

3.日程

平成3年10月5日から10月19日までの15日間に次の5基地を調査した。

(1)10月7日 Washington Gas Light社
Ravensworth基地(写真1参照)
アメリカ、バージニア州
(2)10月9日 Amoco Canada Petrole−um社
Sarnia基地(写真2参照)
カナダ、オンタリオ州
(3)10月11日 Warren Petroleum社
Mont Belvieu基地
アメリカ、テキサス州
(4)10月15日 韓国石油開発公社
Pyeontaeg(平澤)基地
韓国、京畿道、平澤郡
(5)10月18日 油公ガス社
Ulsan(蔚山)基地
韓国、京尚南道、蔚山市

4.感想

LPG備蓄技術委員会委員の次の発言が印象に残った。 「今回の海外5基地の調査でLPG地下備蓄は十分完成された技術であることが実感できた。」



■Harris講演会■

通商産業省工業技術院・大型プロジェクト海外研究者招聘制度の一環として、資源環境技術総合研究所の招きにより来日された米国テキサス州システム・セーフティ・コンサルタント社のR.Emerson Harris氏を招いて、11月19日午前10時より当協会AB会議室にて講演会が開催された。(参加者約65名)
テーマは「システム・セーフティの概要と地下への適用」で、アメリカにおけるシステム・セーフティの歴史と現状についての概略とシステム・セーフティの構築についても例を挙げて説明された。説明の後、活発に質疑応答も行われ盛況のうちに終了した。




■新聞記事から■

○下水道記念館を建設(11月1日)

東京都小平市は公共下水道普及率が今年3月に100%に達した記念に、地下の下水道管きょの中が見学できる国内発の下水道記念館(仮称)を市内に建設する。地下5階・地上2階建ての施設で、地下5階部分を下水道の管きょにつなげ、内部に突き出した形で見学用ステージを設ける。92年度に着工、94年秋に完成。

○高架やめ地下に(日本経済新聞 11月6日)

東京都は豊島区高松と目黒区青葉台を結ぶ都市高速道路「中央環状新宿線」の北端にあたる豊島区高松−南長崎間を地下化する事業などの都市計画案をまとめた。騒音や排気ガスなど公害を懸念する地元から反発が強く、当初計画の高架から変更した。

○ロンドン地下鉄プロジェクト、日本の建設各社応札(日刊工業新聞 11月7日)

英国で90年代最大規模といわれるロンドン地下鉄・輸送車両新増設計画「ジュビリーライン延長プロジェクト」(約3000億円)の発注企業選定作業が始まったが、これに日本の建設会社が現地企業と共同で応札した。同工事はテムズ川南岸の極めて地盤の悪い地域で行われるため、英国側も日本の技術に強い期待を寄せている。

○地下利用ガイドプラン(日刊建設工業新聞 11月22日)

平成元年の建設省通達を受け、各自治体において地下利用のガイドプランを策定する動きが活発化してきた。東京都が一部の地域についてモデル的にガイドプランを策定するとともに、神戸、千葉、大阪の各地域においてもガイドプランが固まりつつある。策定にあたっては、地下利用計画策定委員会を設置して原案をまとめ、都市計画地方審議会で承認を受ける必要がある。

○全国初、地下鉄と一体の駐車場(毎日新聞 11月25日)

東京都がまとめた都市再開発計画案によると、麻布十番駅(仮称)が、都営地下鉄12号線の96年度全線開通予定とともに開業。その駅上部の地下空間に350台収容の駐車場を作る。青写真では、地下駐車場は、0.69ヘクタールの面積に地下6階建て。地下3〜5階が駐車スペース。近辺の駐車場不足のため大規模な駐車場建設は地元の悲願になっていた。



■会員の皆様へのお知らせ■

○サロン・ド・エ(第132回)開催案内

1.日時 1月22日(水)17:30〜20:00
2.場所 当協会AB会議室(4階)
3.テーマ 「東京都地下利用ガイドプランについて」
講師 中野 伸彦氏 (東京都 都市計画局 施設計画部 都市企画課 課長補佐)

○お詫びと訂正

第27号/1991.11に下記のとおり誤りがありましたのでお詫びして訂正いたします。

  • 2ページ右の段、上から21行目
    免除(誤)→免税(正)

  • 3ページ下から4行目
    CGES(誤)→CAES(正)



  •