第53号/1994.1

■年頭所感

■新年賀詞交歓会開催

■地下開発利用研究センター名簿

■富津火力発電所/TEPCO新エネルギーパーク見学

■ここにも地下利用施設

■サロン・ド・エナ


■年頭所感■

地下開発利用研究センター
運営会議委員長  藤 原 俊 朗
(新日本製鐵梶@常務取締役技術本部長)

平成6年の新春を迎えるに当たり、謹んでご挨拶を申し上げますとともに、一言所感を述べさせていただきます。 昨年来、バブル経済崩壊で低迷を続ける我が国経済が、急激な円の独歩高の進行によってさらに深刻な状況を呈してきました。政府は、長期化する景気低迷の対処策として、これまでに三回、総額30兆円に及ぶ総合経済対策を実施しましたが、さらなる景気浮揚策として土地の流動化策、所得税減税、規制緩和、公共投資の前倒し等の諸施策が議論されています。細川首相は年頭に当たり、中長期的な「21世紀ビジョン(細川私案)」を発表し、その具体策として、2010年までに三大都市の通勤1時間圏に1000万戸の住宅建設等が揚げられています。

現在、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県)は、全国の3.6%の面積に全人口の約25%に相当する3200万人が集中し、また各種産業の中枢が立地していることから、住宅難、交通渋滞等の社会資本整備の不足に起因する問題が多くなっています。 ところで、快適で文化的な国民生活を支える社会資本の整備ニーズも多様化していますが、従来型の公共投資計画(約430兆円)に加えて、最近著しく変化している社会・生活環境や産業環境の下で、新規の社会型投資(約100兆円)を含めた新社会資本整備が検討されています。それらを高齢化社会が到来する以前の、経済余力がある現時点で前倒し施行が必要であると言われています。 特に、東京圏での社会資本整備は、地下空間の利用が不可欠であり、それらを的確に実行していくためには、適切な地下利用計画の策定が重要です。浅深度地下利用はかなり進みつつありますが、次のステップとして「大深度地下利用法」の制定も重要な課題と考えます。これによって東京圏に地下空間を利用した社会資本の整備が可能になり、都心部と周辺部の連絡機能が大きく向上し、都市の住民生活の快適化が図れると考えます。

地下開発利用研究センターは、新社会資本整備に対応した地下開発利用に関連する研究開発をマスタープラン専門委員会で実行し、平成5年度には地下利用計画のマニュアルとなるガイドブックも完成する予定です。また、「大深度地下空間開発の研究」では、昨年実施された中間評価において、「小型地下ドームの開発等による総合実験」の段階に進むことが適当であると評価されました。その後、関係各位のご協力、ご支援を頂き、実証実験の実施に向けて詳細検討を進めています。 地下空間開発に関しては、多くの課題が残されており、本年もこれらの課題の検討に積極的に対応し、輝かしい21世紀への新たなチャレンジの年としたいものです。 皆様のご指導、ご協力に深く感謝の意を表しますとともに、今後のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ、私の年頭の御挨拶とさせていただきます。



■新年賀詞交歓会開催■

財団法人エンジニアリング振興協会の新年賀詞交歓会が1月6日(木)14時30分から東京プリンスホテルプロビデンスホールに約800名が参加して開催されました。 当日は、斎藤会長の挨拶に引き続き、来賓として通商産業省機械情報産業局渡辺局長殿からご挨拶を賜り、上床理事長による乾杯のあと、不況を吹き飛ばす熱気のこもった交歓会となりました。


■地下開発利用研究センター名簿■

新年あけましておめでとうございます。

本年も所員一同、チャレンジ精神とバイタリティを発揮して地下開発利用の促進に向けて全力を尽くす覚悟でありますので皆様方のご指導ご鞭撻を宜しくお願い致します。

(H6/1/1現在)
〔管理部〕
所  長 山口 健
研究理事 宮川 彰彦
部長 鈴木 昭夫
課長 桜井 軍治
課長 代理 渡部 芳恵
中村 裕己
鈴木 五郎
〔技術開発第一部〕
部 長 田村  章
主任研究員 木谷 勝一
村上 光正 
田口 精亮 
三原 浩 
小西 伸一 
小林 正明
〔技術開発第二部〕
部 長   恵木 一昭
主任研究員 大西 徹
平木 晶治
鈴木 巧
蓑 由起夫
〔臨時 職員〕 周東 和子
松丸 記子

 



■富津火力発電所/TEPCO新エネルギーパーク見学報告■

この度、東京電力兜x津火力発電所及びTEPCO新エネルギーパークを見学することが出来ましたのでその概要を以下に紹介します。

@富津火力発電所
富津火力発電所は昭和63年に完成した新鋭の発電所であり、LNGを使ったガスタービンと蒸気タービンのコンバインドサイクル発電方式を採用しており、2系列合計14基の発電設備により200万KWの発電を行っています。
本方式は、熱効率が高く、機動性に優れており、電力の需要に即応した運転が可能とのことです。
当所は「自然環境に調和した発電所」として、緑地確保にも努めており、緑の多さや環境対策への熱心な取り組みに感心しました。
発電設備の他に、所内で発生する汚泥をLNGの冷熱で凍結・改質して再利用する設備や取水路のフジツボ等の付着防止設備や排水中の泡を消す装置などについても見学することができました。
(пF0439−87−3121)

ATEPCO新エネルギーパーク
富津火力発電所の構内に平成5年7月にオープンした公園型展示施設であり、太陽電池(9KW)(単結晶型、多結晶型、アモルファス型の3種類)、風力発電(300KW)、燃料電池(50KWりん酸型)の実物が展示・稼働しており余分の電力は富津火力発電所に送電しています。
本施設は入場無料であり、君津駅及び青堀駅からの無料送迎バスも有りますので上記発電の実物を調査・見学するために便利です。
(пF0439−87−9191)

今回の見学に当たり、大変お世話になりました富津火力発電所総務部の皆様に誌上を借りまして改めてお礼申しあげます。

(三原 記)



■ここにも地下利用施設■

―――――熊本県立装飾古墳館―――――

熊本県は、全国で484例発見されている装飾古墳(古墳の石室に彩色や彫刻をほどこしたもの)のうち186例を有する装飾古墳王国であり、山鹿市の中心部から車で10分程度のところの岩原古墳群の脇に県立装飾古墳館があります。
この施設は細川知事(現総理大臣)が推進した「くまもとアートポリス構想」に基づいて、建築家安藤忠雄氏の設計により平成4年4月に完成した半地下式のモダンな建物であり、館内には県内で発掘された12ヶ所の石室や副葬品が展示されています。 九州で最も美しいと言われる前方後円墳の双子塚と現代の建築家の作品が1500年の時を隔てて向き合った構図となっており、古墳時代と現在を自由に往復できるタイムマシンに乗った気分が味わえるスポットです。



■第155回サロン・ド・エナご案内■

日 時: 平成6年2月16日(水)17:30〜20:00
場 所: 当協会 AB会議室
会 費: 3,000円(非会員5,000円)(当日受付にて申し受けます。)
テーマ: 「生活者重視の社会資本整備」
講 師: 金子 彰 殿 (経済企画庁 総合計画局 計画官)