第72号/1995.9

■水没自動掘削機・ライニング機見学報告

■山岳横坑式清掃工場システムに関する調査研究分科会発足

■地下空間を利用した減圧トレーニングセンターに関する調査研究委員会発足

■地下多目的人工地盤に関する調査研究分科会発足


■水没自動掘削機・ライニング機見学報告■

工業技術院産業科学技術研究開発制度の下、平成元年度より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託している「大深度地下空間開発技術の研究開発」プロジェクトで開発を進めてまいりました地下空間構築用機械群の内、水没自動掘削機および水没自動ライニング機の実証機につき、阪神大震災で延期しておりました見学会が7月13日(木)〜14日(金)に行われましたのでその概要を紹介します。

見学会は三菱重工業叶_戸造船所および川崎重工業株d磨工場で行われ、13日は構築部会と総合施工研究会、14日は開発委員会と技術専門委員会の関係者で総勢46名の参加がありました。
両工場の担当者より機械の概要説明の後、現場で実物とその作動状況を見学しました。両機械共、重量約50トンという大型機にもかかわらず精緻な動きが出来、予定通りの開発がなされているとの評価で平成8年度に予定されている実証実験が楽しみです。

両機械の特徴は水中施工を行うことにより、大空間の安定性を確保し、地下水等の周辺環境への影響を防止するべく、泥水中で遠隔操作による無人自動化運転できることです。共通の技術として自己位置検出および地山形状読取り技術があり、個々には高効率掘削機構、連続土砂搬出機構および水中ライニング機構等があります。おわりに、見学会の準備、当日の説明、案内をしていただきました三菱重工業および川崎重工業の関係者の皆さまに紙上を借りてお礼申し上げます。




■山岳横坑式清掃工場システムに関する調査研究分科会発足■

本年度の社会開発システム策定事業の一つとして、学識経験者と関係官庁の協力を得て「山岳横坑式清掃工場システムに関する調査研究分科会」が発足し、7月31日に第1回分科会が行われました。 本調査研究の概要を以下に紹介します。

1.背景および目的
一般に清掃工場は、臭気・騒音、ごみ収集車による交通渋滞、周辺景観等、近隣住民からは迷惑施設として扱われ、新規に立地する場合、市街地での用地の確保は困難な状況にある。 本調査研究で実施する「山岳横坑式清掃工場システム」は、現状のごみ問題を踏まえ、山岳地の地中空間を有効利用し、トンネル内に一般廃棄物清掃工場を設置するものである。 その特徴は、

@用地の確保が容易である、
A周辺環境に影響が少ない、
B景観にマッチした環境調和型の清掃工場が可能である、
C清掃工場の上部活用が可能、

等々の利点を有している。

2.調査研究の内容
本調査研究は、平成7年度〜8年度の2年間で実施することを前提とし、本年度は、山岳地の地中空間に立地する「山岳横坑式清掃工場システム」の実現のため、当該施設の基本概念の構築を行い、以下の項目を検討する。

@ 立地上、構造上、防災上、その他関連法規(準拠法規)の確認
A 法規上の制約やアクセス動線を考慮した施設レイアウトの全体計画等、システム上の検討
B 機器設備類の検討(低放熱の炉方式、システム等の選定)
C システムに適合した山岳横坑の形状等、土木構造の検討
D 余熱利用計画 
E 今後の課題の抽出

3.分科会メンバー(敬称略・順不同)

分科会長 平山 直道 千葉工業大学 工学部機械工学科 教授
委  員 井上 勝徳 建設省 住宅局 建築指導課 課長補佐
委  員 三本木 徹 厚生省 生活衛生局 水道環境部 環境整備課 課長
委  員 中村 義富 自治省 消防庁 特殊災害室 理事官
委  員 内藤 剛行 渇`原製作所 環境プラント事業部 技術部長
委  員 満田 紀元 鹿島建設梶@土木技術本部 技術部長
委  員 中川 幹雄 鹿島建設梶@土木技術本部 技術部 次長
委  員 小林 嗣夫 日特建設梶@技術本部 副本部長
委  員 高田 修作 能美防災梶@営業サポート室 室長
委  員 掛田 健二 日立造船梶@環境事業本部 統括部 技術情報部 部長
委  員 宮川 彰彦 (財)エンジニアリング振興協会
 地下開発利用研究センター 研究理事
オブザーバー 尾崎 孝良 通商産業省 機械情報産業局 産業機械課 課長補佐
オブザーバー 坂入  隆 通商産業省 環境立地局 産業施設課 課長補佐
オブザーバー 福井 一男 東京ガス梶@首都圏部 部長
事 務 局 伊藤 恭義 (財)エンジニアリング振興協会 地下開発利用研究センター 主任研究員
事 務 局 藤村 久夫 鹿島建設梶@土木技術本部 技術部 次長



■地下空間を利用した減圧トレーニングセンターに関する調査研究委員会発足■

本年度のプロジェクト計画策定事業の一つとして、「地下空間を利用した減圧トレーニングセンターに関する調査研究委員会」が発足しましたので概要を以下に紹介します。なお、本委員会は平成6年度からの継続事業で今年が2年目となります。

1.背景・目的
運動選手の運動能力向上ならびに一般利用者の健康増進に減圧環境の効果が注目されており、平成6年度は減圧トレーニングセンターの基本構想を構築し、プール・トラック・直線走路の3種類の施設モデルをそれぞれ都市部と山岳部に建設した場合の基礎スタディーを行った。この結果を踏まえて、今年度は、都市部の既存地上施設の地下空間利用モデルとして都市部大型競技場を、また山岳部における既存未利用空間の活用モデルとして既設鉱山施設をそれぞれ設定し、地上空間と地下空間を一体的に開発する総合トレーニングセンターのフィージビリティスタディーを行う。

2.本年度調査研究内容
(1) 設定地の現状調査
都市部大型競技場について、現状の競技場の機能、構造及び周辺施設を調査する。また、鉱山施設については未利用空間活用の現状及び地上関連施設を調査する。
(2) 施設の機能及び構成計画
平成6年度の調査結果をもとに、具体的な立地点に応じた利用対象者等を調査し、減圧トレーニングセンター全体の機能と構成を検討すると共に、施設の利用方法についても詳細に検討する。
(3) 施設建設計画
 設定地2地点について、構造、防災、設備、室内環境の計画と事業性の検討を行う。また、実現に向けての技術的課題の抽出も行う。

3.委員会メンバー(敬称略)

委 員 長 大島 正光 健康科学研究所 所長
委 員   岩根 久夫 日本体力医学会 理事長
委 員   神谷 宏治 日本大学生産工学部 教授
委 員   橋本  勲 大妻女子大学 教授
委 員   福岡 孝純 国際余暇スポーツ施設 研究協会(IAKS)副会長
委 員   山口 政信 明治大学法学部 教授
委 員   宮川 彰彦 (財)エンジニアリング 振興協会 研究理事
委 員   白井 久昭 褐F谷組 エンジニアリング部 部長
委 員   竹村 友之 三井金属工業梶@資源開発部国内事業室 室長
委 員   千田 孝次 三機工業鞄結椁{店 設計第一部 部長
委 員   長尾 邦充 前田建設工業梶@土木設計本部 土木設計第三部 部長
委 員   山口  勲 松下電器産業梶@渉外本部業務部 部長
委 員   山田 弘道 樺|中工務店 
ニューフロンティアエンジニアリング本部 次長
オブザーバー 尾崎 孝良 通商産業省 機械情報産業局 産業機械課 課長補佐
オブザーバー 坂入  隆 通商産業省 環境立地局 産業施設課 課長補佐
協力委員  池上 三紀 (財)全日本スキー連盟 常任理事 競技本部長
協力委員  川原  貴 (財)日本オリンピック委員会 理事
協力委員  小林 寛道 (財)日本陸上競技連盟 科学委員会 委員長
協力委員  鈴木 英久 (財)日本体育施設協会 常務理事
協力委員  鈴木 陽二 (財)日本水泳連盟 競泳委員会 委員
協力委員  塚越 克己 (財)日本体育協会 スポーツ科学研究所 所長
事 務 局 斉藤 悟志 (財)エンジニアリング 振興協会 主任研究員
事 務 局 山下 栄司 褐F谷組 エンジニアリング部 エネルギー・環境グループ



■地下多目的人工地盤に関する調査研究分科会発足■

本年度の社会開発システム策定事業の一つとして、「地下多目的人工地盤に関する調査研究」の分科会が発足し、8月8日に第1回の会合が行われました。本調査研究の概要を、以下に紹介します。

1.調査研究の目的
新しい地下空間形成の考え方による市街地スケールの、地下開発に対応する空間モデルを構築し、その応用を検討する。具体的には、全体空間とエレメント空間の架構、さらに、空間インストラクチャーの構成と機能への転換を図る。

2.調査研究の内容
平成6年度は大都市都心部の地下活用状況を把握し、大規模な多目的地下人工地盤形成の狙いを明確にし、地下人工地盤の空間概念モデルを構築した。 本年度は、都心部の地下環境と大規模地下空間建設に関る建設手法を考察し、地下の不動産としての考え方を検討し、多目的人工地盤による地下市街地構成をスタディーする。さらに、将来の都市整備への活用の視点と問題点を明確にする。

3.分科会メンバー(敬称略・順不同)

分科会長 日端 康雄 慶應義塾大学大学院政策メディア研究科 教授
委  員 宮川 彰彦 (財)エンジニアリング振興協会 
地下開発利用研究センター 研究理事
委  員 寺澤 達夫 潟Gスシー・リサーチ・センター 所長
委  員 古見喜八郎 鰹ャ松製作所 経営企画室 技術総括部 主査
委  員 山口 隆志 新日本製鐵梶@建材開発技術部 
土木建材技術GR 部長代理
委  員 唐澤 弘至 西部建設梶@取締役技術部長
委  員 関口 佳司 西部建設梶@技術部 土木技術課 主任
委  員 藤川 富夫 東急建設梶@技術本部 土木技術部技術第二課 参事
委  員 大津賀久夫 東京ガス梶@営業企画部 
供給企画グループ マネージャー
委  員 吉村 和彦 滑ヤ組 技術本部・技術研究所 
技術研究部 第一研究室 室長
委  員 新貝 和照 富士電気梶@社会システム事業本部
 技術企画総括部 主席
委  員 米澤  勉 三菱地所梶@社会環境部 副長
委  員 石崎 秀武 清水建設梶@技術開発センター 生産技術開発部 部長
委  員 佐藤 道夫 清水建設梶@設計本部企画部 部長
オブザーバー 尾崎 孝良 通商産業省 機械情報産業局 産業機械課 課長補佐
オブザーバー 坂入  隆 通商産業省 環境立地局 産業施設課 課長補佐
幹  事 井染 信夫 清水建設梶@エンジニアリング本部 
建設施設エンジニアリング部 部長
事 務 局 小林 久恭 (財)エンジニアリング振興協会 
地下開発利用研究センター 主任研究員
事 務 局 山下 陽子 潟Gスシー・リサーチ・センター 研究員