第9号/1990.5

■マスタープラン専門委員会、研究企画委員会

■「大深度地下空間開発技術」プロジェクトの動向

■市ケ谷駐屯地地下壕見学報告

■センター英文名称の決定

■地下の最近の話題−新聞記事から−

■会員の皆様へお知らせ


■マスタープラン専門委員会■

平成2年5月10日開催されたマスタープラン専門委員会において、平成元年度の中間報告として幹事会および各部会の活動状況が、それぞれ幹事長および各部会の部会長より報告された。また、席上以下の意見が出された。

○日米構造問題協議において取り上げられた大深度を利用したインフラ整備の法制度面などの検討に、マスタープラン専門委員会の協力が必要である。
○地下利用については、国の基本計画(例えば四全総)をもとに考えるべきである。
○地下利用を推進するために官庁が主導し、問題提起することが必要である。

なお、「マスタープラン」とは地下開発マスタープランであり、課題等を整理したものを地下センターの活動指針とすることが確認された。

■研究企画委員会■

去る5月25日に、平成2年第1回研究企画委員会が開催され、以下に示す項目の審議ならびに報告があった。

1.平成元年度事業報告(案)及び決算(案)について
2.寄付行為の改正について
3.平成2年度研究開発(分科会)テーマについて
4.その他 −英文名称について
−海外調査について
−国内見学会について
5.報告事項 −ワーキンググループ設置について
−その他

*1.、2.は本委員会の上部機構であるセンター運営会議(5月28日開催予定)の審議を経て理事会(5月31日開催)に付議される。平成2年度研究開発(分科会)テーマについては、新たに28テーマの追加提案があり、平成元年度提案テーマ(99−実施4=95)と合わせて絞り込んだ。本企画委員会では、平成元年度から継続4テーマ、新規2テーマを選定した。新規テーマについては、現在、委員長、事務局で最終調整中であり、次号で紹介する予定である。
また、センター設立当初からの懸案事項であった、英文名称については、研究企画委員会の下に広報ワーキンググループを設置し、ここで検討が進められ、本研究企画委員会での審議により最終決定した。関連記事を本号に別途記載した。
次に、平成2年度における事業の1つとして、行事ワーキンググループにて海外調査を企画し、本研究企画委員会で承認された(下記参照)。会員各位からの参加募集を開始し、詳細の案内を会員各位に発送した。さらに、国内見学会の企画(下記参照)も承認を得、近く募集案内を発送する予定にしている。

(海外調査)
調査目的: ストックホルム、ヘルシンキで開催される国際会議「都市における地下利用計画」他
欧州方面の地下利用現状調査
調査期間(予定): 14日間(平成2年9月9日(日)〜22日(土))
調査方面(予定): 北欧、中欧方面
ストックホルム地下施設、国際会議参加(ストックホルム、ヘルシンキにて、見学会も含まれる)、オスロ地下施設、西独CAES利用発電所、仏地下原子力発電所、英国戦略地下指令部、パリ地下街などを予定しています。
参加費用: 100万円以内を予定しています。(参加の多少により変更の可能性あり)
募集定員: 30名程度を予定しています(先着順)。

(国内見学会)
期間(予定): 2泊3日 平成2年秋頃
地域(予定): 中国、四国方面
日本鉱業叶島製油所
LPG地下備蓄実証プラント
住友金属鉱山
佐々連鉱山、別子銅山
日本地下石油備蓄
菊間地下石油備蓄基地
定員: 40名程度予定しています。



■「大深度地下空間開発技術」プロジェクトの動向■

去る4月26日、第2回大深度地下空間開発委員会が開催され、平成2年度研究開発実施計画(案)が承認された。
平成2年度からは、会員企業からの研究員で構成される研究会組織の他に一部委託を行い推進することになるが、部会、研究会等の研究開発体制についても承認された。
本プロジェクトは、平成7年度迄の長期に亘るものであるが、平成2年度の作業と平行して、現在、平成3年度の予算申請のための事前検討にも着手している。



■市ケ谷駐屯地地下壕見学報告■

最近、市ケ谷駐屯地の“地下壕”が東京の新名所になりつつある。地下の利用ならばと、センター事務局では見学を申し込み、指定された5月23日午後に、6名が大挙して出かけた。

(1) 市ケ谷台の歴史
江戸時代尾張藩の上屋敷であった市ケ谷台は、明治になって陸軍士官学校として生れかわる。その後、関東大震災で大部分が倒壊したこともあったが、士官学校が移転し、昭和16年には大本営が当地に設置され、昭和20年終戦まで戦略上の中核となる。終戦後においては、極東国際軍事裁判所が開催されるなど、米軍・国連軍の総司令部時代を経て、昭和35年から自衛隊の市ケ谷駐屯地として現在に至っている。この間、三島由紀夫事件などは有名な出来事として我々の記憶に残っている。
このような歴史があり、東京ドーム5つ分の敷地をもつ市ケ谷台も新しく生れ変わろうとしている。


(2) 地下壕について
地下壕は、極東国際軍事裁判所が開催された、大講堂のある本館前庭地下14mに位置しており、本館地下1階売店前の鉄扉から、地下への階段、地下通路により導かれる。
昭和16〜17年に、近衛工兵および民間の奉仕隊によって、露天掘り+埋め戻し(オープンカット)方式によって、建造された。7000m上空から投下された1トン爆弾にも耐え得る構造とするため、鉄筋により補強されたコンクリート構造(厚さ4mともいう)設計になっている。地下壕の平面、断面図は下記スケッチの通りであるが、この中に、戦時中は作戦本部として常時200名程度が業務に就いていたが、これが空襲時には3000名が退避したともいわれる。したがって、強制換気装置(入気および排気)が設備されているが、地上における取入れ口が通風燈籠となってカモフラージュされているのが興味深かった。

一方、高台の下を流れる地下水は決して少量ではなく、地下水の処理についても排水溝、排水口が設置されているなど設計上の工夫が施されているが、この地下壕自体のレベルが敷地前方を走る靖国通りのレベルより高いこともあって、自然排水が可能となっていることも興味深いことである。壕内は地下水の影響もあって冷やりしており、自然のクーラーが利いているが、湿度が高い感じがした。
その他壕内施設として、食堂、風呂(電気を利用した)、便所(水洗式)などがあったという。
なお、市ケ谷駐屯地は当分の間、一般公開しており、会員各位も下記に申し込めば、期日指定の上見学が可能となっている。

申し込み先  市ケ谷駐屯地 広報班 03−268−3111(内5844)



■センター英文名称の決定■

Geo−space Engineering Center
(略称 GEC、ジェック)

応募総数 16社 81件の中から、ネイティブ・チェック、研究企画委員会広報ワーキンググループでの審議をふまえて、平成2年5月25日開催された研究企画委員会でセンター英文名称が、上記のとおり正式に決定されました。
賛助会員の皆様から多くの候補作をいただきありがとうございました。
英文名称も当センター同様皆様に可愛がっていただきたいと思います。



■地下の最近の話題−新聞記事から−■

○東京地下に物流トンネル、建設省検討会が構想。(日本経済新聞 5月13日付 朝刊)
建設省が設けている道路地下空間利用研究委員会の地下物流システム検討会は、東京23区内の地下に、地下鉄網を上回る大規模な物流網を張り巡らす構想の原案を固めた。総事業費約5兆円。このシステムで都内の貨物輸送量の約3割を代替し、交通渋滞の解消を図る。

○坑道を利用し無重力実験(日本経済新聞 5月14日付 朝刊)
北海道上砂川町で来年3月に三井砂川坑の坑道を利用して無重力実験が始まる。昨年3月、第3セクターの地下無重力実験センター(本社 札幌市)が発足。

○山をくり抜き大貯蔵庫、省エネ・地下利用の両得。(朝日新聞 5月16日付 夕刊)
岩盤が「断熱材」の役目で、熱湯、LNG、LPGなどの巨大な貯蔵庫に。 愛媛大学工学部の稲田善紀教授が今夏、アムステルダムで開かれる「応用地質に関する国際会議」で発表する。

○寝屋川流域の浸水対策「地下放水路」を建設。(日刊建設工業新聞 5月21日付)
寝屋川流域総合治水対策協議会は総合治水対策をより一層推進していくため、「地下放水路」の建設に着手することなどを柱とする第一期事業計画を決めた。同放水路は寝屋川南部と北部の2本で、全長24キロ、総事業費約3400億円。今年度から平成10年度までの第一期で約12キロを建設し、洪水調整池として利用する。

○大阪城地下にターミナル都市、大大阪圏の都市構造提案(日刊建設工業新聞 5月23日付)
大阪府建築士会は、「都市・建築整備技法検討委員会」を設置、大阪の都市基盤整備のあり方を検討し第一次報告書をとりまとめ、そのダイジェスト版「エグゼクティブ・レポート」を編集発行した。主な提案として「リニア・ターミナル大阪の提言」「北梅田公園都心構想」。

○長野・松代の「幻の大本営」跡、一般公開。(朝日新聞 5月26日付 夕刊)
「幻の大本営」の跡といわれる長野県松代町の大地下壕が今夏、部分的に一般公開されることになり、6月末から危険防止のための工事が始まる。地下壕は第2次世界大戦末期、本土決戦に備えて旧軍が極秘に造営、総延長は約13キロに及ぶ。戦後は、ごく一部が地震観測所などに利用されているが、大部分は放置されたままになっていた。当面の公開は500m余り。



■会員の皆様へのお知らせ■

●事務所開きに多数の会員の参集を戴いた
去る3月中旬より、センター事務所を財団本部のある高木ビル3Fから4Fに移転し、業務を開始しておりましたが、内装、調度品を整え、5月10日17:00より、会員ならびに関係各位約180名の関係者の参集を得て事務所開きを開催しました。
皆様には多数のお祝い等を戴き、紙面を借りて厚く御礼申し上げますと同時に、今後も折に触れてお気軽にお立寄り戴きたいと存じております。 参考までに、地下センター事務局の配置と主な業務内容を示しておきます。

主な業務内容

  • 管理部
    庶務および人事、予算および会計、会員に関すること、資金に関すること、施設、設備の管理、物品調達に関すること。
    −センター運営会議

  • 技術開発第1部
    地下空間開発利用に関する以下の事項
    −研究企画委員会、広報・行事ワーキング
    −マスタープラン専門委員会、部会
    −研究開発(分科会)テーマの実施
    −調査、資料・情報の収集または提供

  • 技術開発第2部
    大深度地下空間の開発技術(大型プロジェクト:委託研究)に関する以下の事項
    −研究開発
    −実証・試験


    ●サロン・ド・エナ(第115回)のお知らせ

    1.日  時  6月20日(水)17:30〜20:00
    2.場  所  当協会 AB会議室(4F)
    3.講演題名  「ハワイにおけるリゾート開発事例について」
      講  師   田沼 隆彦 殿(褐F谷組 海外事業本部海外営業部課長)
    4.会  費  3,000円(非会員 5,000円)
    5.申込み   地下センター 中村まで

    編集後記
    ・センター設立時点からの懸案事項でもあった英文名称も決まり、これを入れてのパンフレットづくりも順調に進んでいます。
    設立1周年の本年9月までには皆様にご披露できる予定です。ご期待下さい。
    K.K



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