第99号/1997.12

■センター運営会議報告

■エンジニアリングシンポジウム’97報告

■投資環境視察ミッション海外調査報告

■地下利用推進部会活動状況報告

■情報データベース化準備グループ活動報告

■会員の皆様へのお知らせ


■センター運営会議報告■

平成9年度、第2回センター運営会議が10月28日(火)午前10時30分から、通商産業省環境立地局 産業施設課 神谷技官殿のご出席をいただき、当協会の6階会議室において開催されました。
協会を代表し、山口専務理事より「大深度地下空間開発技術の研究開発」の終了報告と最近の地下センターの新しい動きを含めて挨拶があり、新委員の紹介の後、委員長の選出が行われ、服部委員(新日本製鐵梶jが新委員長に選任されました。服部委員長からのご挨拶、ならびに通産省の神谷技官のご紹介の後、議題の審議と報告が行われました。
今回は平成10年度の補助金要望と活動テーマの選定の審議、平成9年度上期事業の進捗状況報告が中心となりました。議題と議事内容の概略は、次のとおりです。

議題1)平成10年度補助金要望について
審議の結果、財団本部と併せた平成10年度の要望額(前年度並み)が、承認された。

議題2)平成9年度事業について
社会開発システムの策定(分科会),社会開発プロジェクト等の計画策定および推進(プロジェクト計画策定)および地下利用推進部会の進捗状況が報告された。また、プロジェクト計画策定について、下期にもう1テーマ実施する予定であることが報告され、了承された。次いで、受託事業4件について活動状況の報告があり、いずれも了承された。

議題3)平成10年度活動テーマについて
会員各社と企画ワーキンググループから提案された平成10年度新規テーマ候補に関し、研究企画委員会での意見の紹介および取り組み優先順位等の検討結果について説明があり、審議の結果承認された。

議題4)その他
その他の報告事項として、情報データベース化準備グループの活動状況報告があり、準備活動を進めて行くことで了承された。また、GEC行事としてサロン・ド・エナと成果発表会の報告、ならびに国内見学会,平成9年度エンジニアリング功労者表彰,エンジニアリングシンポジウム’97の紹介があり、共に了承された。

なお、新任の委員は次の方々です。

委員長 服部 正幸 新日本製鐵梶@常務取締役
委員 遠藤 彰三  大阪ガス梶@専務取締役
委員 伊藤 俊一  関西電力梶@常務取締役
委員 瓜生喜久雄  清水建設梶@常務取締役
委員 永末 千尋  滑ヤ組   常務取締役
委員 谷越 敏彦  日立造船梶@取締役副社長
(敬称略・順不同)



■エンジニアリングシンポジウム’97開催報告■

当協会の恒例の事業としてエンジニアリングシンポジウム’97が、10月30日(木)、31日(金)の両日にわたり東京国際フォーラムにおいて盛大に開催されました。
21世紀を目前として、驚異的なスピードで進行する情報技術の発展や世界が大きな転換期にあることを背景に、今年は「変革の時代へのフロントランナーをめざして」を統一テーマとして掲げ、各方面で時代をリードする多彩な方々より示唆に富んだ貴重なお話をいただきました。また、両日にわたって多数の方々のご参加を得て、活気あるシンポジウムとなりました。 概要は、以下のとおりです。

1.招待講演
「技術における独創と未来〜求められる発想の転換〜」をテーマに、西澤 潤一氏(前東北大学総長)より、文化に貢献するための科学技術のあり方についてご講演いただきました。

2.メインセッション
藤田 太寅氏(NHK解説委員)をコーディネーターとして、またパネリストとして小宮山 宏氏(東京大学教授),栗原 史郎氏(一橋大学教授),宮下 永氏(新日本製鐵葛Z術開発本部熱流・環境プロセス研究センター所長)をお迎えし、「テクノフロンティアとエンジニアリング」をテーマに科学技術の進展や経済社会の変化に伴うエンジニアリング産業の今後のあり方について討論していただきました。

3.特別講演T
「橋本行革と経営革命」をテーマに諸井 虔氏(秩父小野田且謦役相談役)より、日本の新しい構造改革についてご講演いただきました。

4.A−1セッション
田坂 広志氏(鞄本総合研究所取締役事業企画部長)をお迎えし、「“複雑系”時代に求められるミドル・マネジメント〜発想の転換と社内企業家の育成〜」をテーマに、これからのミドルに求められる人間的能力についてお話いただきました。

5.A−2セッション
「産業の情報化に対するソリューションの提供〜戦略経営におけるERPの位置付け〜」を共通テーマとして、下土居 隆氏(アンダーセンコンサルティング パートナー)より「グローバル社会における戦略経営のための企業情報ネットワークのあり方」,中根 滋氏(SAP北東アジアグループ最高経営責任者/SAPジャパン椛纒\取締役社長)より「エンジニアリング業界のERPソリューション」,坂 和磨氏(三菱電機叶カ産システム本部理事)より「ERPの導入例」について、それぞれご講演いただきました。

6.B−1セッション
「企業提携の最前線〜現場からの経営論と人材育成〜」をテーマとして、後藤 光男氏(野村企業情報椛樺k役/産能大学客員教授)よりM&Aにおける事例を参考に、企業経営の課題についてお話をいただきました。

7.B−2セッション
「電気事業における規制緩和が及ぼす影響と課題〜新たなビジネスチャンスの創出に向けて〜」を共通のテーマとして、河野 光雄氏(内外情報研究会会長)より「電力における規制緩和の動向とその背景」,井川 正克氏(東京電力且謦役電力契約部長)より「入札制度の現状と展望」,菊池 謙一氏(東京ガス蒲搦磨@都市再開発プロジェクト部長)より「特定電気事業の概要」について、それぞれご講演いただきました。

8.特別講演U
坂本 春生氏(叶シ武百貨店代表取締役副社長/セゾン美術館会長)をお迎えし、「主役交代〜個が主役〜の時代」をテーマに、これからの社会の成長・発展のエネルギーを生み出すための主役についてお話をいただきました。



■投資環境視察ミッション海外調査報告■

この度地下センターは、国際機関アセアンセンターが主催する「投資環境視察ミッション:ブルネイ・ダルサラーム」に参加し、主にブルネイ・ダルサラーム国における新しい事業・産業の発掘調査および視察を11月3日〜7日にかけて実施いたました。
同国は、ボルネオ島の北西部・南シナ海に面し、面積は千葉県より少し大きい程度で、人口は30万人強のイスラム教・王制国家です。以下に主要訪問・視察先の概要をご報告します。 (国際機関アセアンセンター投資部 島倉 克尚氏を団長として、計12名が参加)

1.第一次資源産業省(MIPR)訪問
同省の主な部局は、官房(産業振興部,貿易振興部,観光振興部等),農・林・漁業局および産業開発局から成り、運輸,通信,開発関係を除くほとんどの産業を管理・監督する立場にある省庁とのことです。担当官から、ブルネイの現在の産業の状況および今後の事業計画等の説明がありました。同国は豊富な石油,天然ガスの生産(輸出の93%)により、安定した経済,高い所得水準,高福祉を維持しており、また多額の海外資産を保有していること等が説明されました。特に、エネルギー資源への過度の依存から脱却すべく、数次に亘る「国家開発5カ年計画」により経済の多様化を目指して、東アセアン成長地域(BIMP−EAGA)構想で、ブルネイを中心としたEAGA域内における貿易と観光のサービス・ハブを構築していきたいとのことでした。
また、日本との関係では日本のエネルギー資源の重要な安定供給国(日本の輸入量の内、原油1.2%,LNG13%を占める)であり、ブルネイにとっては最大の貿易相手国(ブルネイ輸出総額の56%)になっているとの説明がありました。

2.日系企業との懇談会
 日本大使館の参事官を交えて、商社,ゼネコン,日・ブルネイ合併企業数社との懇談会が開催され、ブルネイ在住の日本人から見た現状、何をブルネイが日本に期待しているか等について、忌憚のない意見が交わされ、東南アジアの中でブルネイの国情が非常に安定・安全であること、圧倒的な資金力があることに感心させられました。 また、立法評議会制を取っているものの84年以降は、国王(首相)の勅令により法律・予算・条約等を制定・公布しているとのことで、自由主義諸国の中では特異な国だと感じました。

3.ブルネイLNGプラント基地視察
ブルネイシェル・カンパニーは、政府50%,シェル50%出資の合併会社でその主な輸出先は、日本(東電67%,東京ガス21%,大阪ガス12%)と韓国であり、その90%弱が日本向けで1993年からの20年契約になっているとのことでした。

4.スンガイリャン・フォレスト レクリエーションパーク視察
ブルネイ国は今後観光振興に力を入れる計画を立てており、自然森林の保存・保護を推進し、ボルネオ島一番の自然林として観光客(特に日本人)の誘致に努めるとのことでした。公園の一部を散策しましたが、高温多湿の気候で20分歩いただけで汗びっしょりとなり、蚊に刺されるなど大変な散策となりました。

5.ブルネイ国外務省訪問
最終日にブルネイ国外務省を訪問し、アジア局部長より同国の安全性,投資の有効性および観光振興の推進について、是非、日本で各団員の団体・企業・マスコミを通じて、ブルネイの宣伝をしてほしいとのメッセージがありました。

最後に、今回の視察ミッションを通じて、ブルネイ国は安全で、インフラ整備度が高く、国民は皆金持ちであるとの印象を受けました。 今回の視察に参加でき、ブルネイという国を少しでも理解出来たことは非常に有意義でありました。

(技術開発第一部 山路 俊文 記)




■地下利用推進部会活動状況報告■

○第4回幹事会開催報告

10月20日に第4回幹事会が開催され、各部会の活動状況について報告がありました。
新分野開発専門部会(第一部会)からは、防災・環境面での地下歩道ネットワークシステムにおける避難地下通路の容量・建設費等の算出,生活関連空間面でのモデル都市における理想的な住環境の構想,物流・輸送面での地中飛行機構想,極限・未利用空間面での砂漠地帯における水の確保や沿岸域における地下空間利用について、それぞれの取組状況の説明がありました。
都市開発・産業育成専門部会(第二部会)からは、地下の歴史やバブル崩壊前後の概観に基づく地下利用の考え方の変遷,エネルギー関連施設に関する既往調査の整理やエネルギー動向の調査,地下化の必要性評価のためのキーワードの分類・整理について、それぞれ状況説明がありました。
プロジェクト研究専門部会(第三部会)からは、地下利用の普及に役立つ活動としての地下利用に関するデータベースシステム構築,地方の課題調査のための西日本におけるモデルケースの設定,東日本での会津地区における酒類の貯蔵施設調査について状況説明がありました。
また、当部会の活動最終年度を迎え、次年度以降の活動について、見直し・検討が始まりました。



■情報データベース化準備グループ活動状況報告■

地下開発利用研究センターが設立されて9年目を迎え、皆様方の多大なご協力を得て、貴重な調査研究成果が蓄積されて参りました。
先の運営会議において「協会本来の活動目的の一つである情報の収集と提供を行うために情報のデータベース化を図る」ことが承認され、その準備Grがスタート致しました。「当準備Grでは地下センターの情報データベース化の考え方を検討し、
@データベース化の狙い
A収録データの範囲
Bデータベースの構造
C提供するサービス
Dデータベース化の推進体制
等について、今年度中に取りまとめ、答申を行う予定です。

情報データベース化準備グループ委員名簿

委員長 吉村 和彦 滑ヤ組 技術研究所技術研究部第1研究室長
委 員 長岡 義麿 鹿島建設梶@建設総事業本部土木技術本部技術部部長
 〃  傳田  篤 清水建設梶@技術本部技術開発センター基礎地盤技術開発部副部長
 〃  川人 健二 新日本製鐵梶@建材開発技術部建材技術企画グループマネージャ
 〃  関口 佳司 西武建設梶@技術部土木技術課主任
 〃  関根 啓二 日揮梶@プロジェクトシステム本部F1グループ2次長
 〃  田中  正 滑ヤ組 技術研究所技術研究部第1研究室
 〃  新貝 和照 富士電機梶@SIセンター主席
事務局 今村  靖 (財)エンジニアリング振興協会 地下センター技術開発第1部研究主幹
 〃  山路 俊文 (財)エンジニアリング振興協会 地下センター技術開発第1部主任研究員
(順不同・敬称略)



■会員の皆様へのお知らせ■

○新年賀詞交歓会開催のご案内
当協会の新年賀詞交歓会を下記の要領にて開催しますので、多数のご参加をお願い申しあげます。

日 時:平成10年1月6日(火)15:30〜17:00
場 所:東京プリンスホテル プロビデンスホール(2F)
(港区芝公園3−3−1 TEL:03−3432−1111)