まえがき

 我が国は化石燃料の枯渇と地球環境に対する不安から、ここ20年間程の間に新エネルギ ーの開発を精力的に進めてきた。
 その中で通商産業省工業技術院は、平成4年にニューサンシャイン計画の一環として水 素利用国際クリーンエネルギーシステム技術(WE-NET)計画を提案した。
 本プロジェクトは世界的に遍在する再生可能エネルギーを利用して水から水素を製造し 、これを輸送可能な媒体に変換して輸送し、エネルギー多消費地域に供給することにより 、世界的な規模でエネルギーの有効利用を図ろうとするものである。
 本プロジェクトは2020年までの28年間に及ぶ計画であり、これを3期に区分し研究開発 を行い、ハード面での水素エネルギー技術ばかりでなく、ソフト面からも世界的な規模で 導入を可能としうる技術の確立を目指している。
 WE−NET計画が実現し、世界的に普及されれば世界の炭酸ガスの発生量が低減され ると共に、国際的なエネルギー需給が緩和され、さらに再生可能エネルギー保有国に新た なエネルギー生産、輸出産業の育成を促すことにもなる。
 21世紀に於ける世界規模での問題である地球温暖化などの環境問題とエネルギー問題の 克服に資するためにも、本プロジェクトを地球規模で鋭意推進していくことは重要な課題 であり、本プロジェクトを通じて広くクリーンエネルギーの政策及び研究・開発について 活発に討論が行われることを期待する。

平成8年3月

新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)


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