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 国内の油田地帯には数多くの廃止坑井が放置されている実態が明らかになっており、これらの廃止坑井の中には、廃止時にケーシングパイプが抜かれ、地表から坑口位置が確認できない坑井も多数あります。その中には適切な封鎖処置がなされていない坑井があり、漏油等の鉱害問題が発生している地域があります。このような問題を解決するためには、坑井位置を特定し、坑井を封鎖する必要があります。
 本事業は、経済産業省からの委託事業として、平成15年度から平成17年度までの3年間にわたって、既存の地下探査技術を応用し、坑井位置の特定に重点を置き、安価でかつ効果的な坑井位置確認手法を確立することを目的として調査を実施し、成果を収めることができました。

 調査を開始するに当たり、既存の地下探査技術での探査が可能か、廃止坑井の状況を考えて活用可能と思われる手法を検討し、その結果、地面を振動させてその波動を使う弾性波探査、電気信号を使う電磁探査、電気探査、及び地中レーダー探査を採用しました。
 調査地の選択に当たっては地表から坑井位置が不明確で、その坑井からの漏油があると推定される地域を選定しました。平成15年度は、北海道稚内市のアスファルト舗装に覆われている市体育館駐車場の中で、漏油個所にコンクリートセパレーターを設置して、漏油を処理している稚内鉱山、次に、水田の中に廃止坑井からの漏油があり、そこにヒューム管を設置し、拡散を抑えている秋田県由利本荘市の内道川鉱山(調査時は岩城町)で調査を実施しました。平成16年度は、鳥海山の中腹に位置し、数箇所から坑水・ガスと共に漏油がある山形県酒田市の鳥海山鉱山(調査時は八幡町)、そして、新潟県柏崎市の水田の中で坑水・ガスと共に漏油があり、鋼板製矢板のピットに溜めて処理している(仮称)安田鉱山で調査を実施しました。
 平成17年度は、(仮称)安田鉱山おいて平成16年度に実施した坑井位置確認調査の検証のため、坑口確認作業を実施し、元坑井「安田R-1号井」を確認しました。
また、3年間の各探査結果を基に、物理探査の廃止坑井位置確認調査への有効性をまとめた技術資料を作成しました。
調査結果についてまとめると、稚内鉱山、内道川鉱山では、廃止坑井をイメージできる地下に鉛直にのびる異常帯が確認できました。鳥海山鉱山、(仮称)安田鉱山においては探査の異常値が集約された箇所があり、その場所を開削、ボーリングで検証したところ、廃止坑井が確認できました。その後、鳥海山鉱山では自治体により、(仮称)安田鉱山では企業により坑井封鎖がなされ、更地になりました。
 今回の調査では、石油探査及び土木の地質調査に使われている各種の物理探査手法を試用して、調査地域の地表状況、想定される坑内状況等により、適用する探査技術手法を選択する際の考慮点などが整理できました。
 この調査の成果を広く普及させる目的で、啓蒙普及用に「地表から坑口位置を確認できない廃止坑井の位置を特定するための物理探査手法の活用の考え方について」の小冊子を作成して、関連する北海道、秋田県、山形県、新潟県等の関係自治体に配布しました。今後この調査の成果が、関係自治体、事業者等に広く活用され、廃止坑井からの漏油による環境問題の解決の一助となるとともに、今後の廃止坑井確認事業を実施する関係者の皆様から、更なる廃止坑井確認技術の向上改善に向けての、多数のご提言をいただけることを期待しています。


(仮称)安田鉱山坑口確認作業


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