各タスクの平成11年度の成果概要


8. タスク8 水素製造技術の開発

8.1 研究開発目標
 本研究は、平成5年度から実施されている「水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術(WE-NET)」において、従来の水素製造法に比べ、高効率・低コスト化が期待できる固体高分子電解質水電解法による水素製造技術の確立を目指すものである。

 平成11年度は、水素製造法2方式(無電解メッキ法、ホットプレス法)による大型セル積層化(電極面積 2,500cm2、10セル)の開発を実施すると共に、タスク7と連携し水素ステ−ション用のセル(電極面積 1,000 cm2)の開発にも着手した。また、昨年に引き続き水素製造法の実用規模における最適条件、概念設計を実施し、水素製造コストに与える影響を検討した。耐高温固体高分子電解質の研究では、数種類の高分子電解質を合成し、その特性評価を実施した。更に、水電解に関する最新の文献の調査を行った。

8.2 平成11年度の研究開発成果

8.2.1 無電解メッキ法による水素製造技術の開発

8.2.1.1平成11年度研究目標

(1) 長期耐久性の向上研究
(2) セル構造最適化技術の開発
(3) 大面積セル積層化技術の開発
(4) 水素供給ステーション用スタックの開発

8.2.1.2 長期耐久性の向上研究
 
加圧下での長期耐久性試験を行うために既存評価装置の改造を行い、50cm2膜電極接合体の電解性能、ガス純度の経時変化試験を実施した。

(1) 電解試験条件

 平成10年度の条件に対し、以下の2点を変更した。

・セル構成において耐久性向上の観点から電解質厚みを178μmと厚くした。

・電解圧力を常圧から0.4MPaと高圧化した。

<耐久試験条件>

・セル  :1,000cm2膜電極接合体より切り出した50cm2膜電極接合体。
・電流密度:1A/cm2
・電解圧力:0.4MPa
・電解温度:セルA:120℃、セルB:100℃

(2) 初期電解性能

 電解温度を変化させた場合の、初期電解性能評価結果を図8.2.1-1に示す。電解温度120℃の場合には、エネルギー効率93%以上を示しており、ナフィオン117膜(膜厚178μm)を用いてもエネルギー効率90%以上を達成できることを確認した。      

(3) 耐久性試験状況

 耐久性試験状況を図8.2.1-2に示した。

 約500時間まで、エネルギー効率は93%で安定した性能を示している。

(4) 1,000cm2膜電極接合体用耐久性試験装置の製作

 1,000cm2膜電極接合体用の耐久性評価装置を新規製作した。

 装置の基本仕様は以下の通りとした。

・電解温度;〜130℃
・電流密度;Max 2.0A/cm2
・電解圧力;〜0.98MPa
・セル数 ;1

8.2.1.3 大面積セル積層化技術の開発

(1) 給電体表面性状の改良

 陽極給電体であるチタン繊維焼結体の接触性を改良するため、各種の方式を検討した。この結果を表8.2.1-1に示した。いずれの処理においても効果が認められた。特に、高温真空処理が最も表面粗さの低減効果が見られた。今後、電解性能評価を進め最適処理条件などを検討していく予定である。

8.2.1.4 セル構造最適化技術の開発

(1) 無電解メッキ法の改良

 従来のメッキセルを恒温水槽に浸漬し外部よりメッキセル内部のメッキ液を加温する方法では、メッキ液の加温に長時間を要していた。このため、1,000cm2用メッキセルに関しては、メッキ液中にヒータを直接挿入する方法に改善し、作業効率の向上を図るとともに、良好なメッキが得られることを確認した。

(2) ロールプレス機の改造

 表面多孔質スラリー層と電解質膜の接合に用いるロールプレス機に関し、接合性向上の為に以下の検討を行った。

・ロール駆動モータトルクの増強。
・加圧力をアップするため、上部ロールの材質を金属ロールに変更。

(3) スクリーン印刷条件の見直し

 スクリーン印刷の成形性を改良するために、組成の最適化を行った。結果を表8.2.1-2に示す。

8.2.1.5 水素供給ステーション用スタックの開発

(1) 試験装置

 本試験装置は平成10年度に実施した2,500cm2膜電極接合体評価試験に用いた試験装置の流用である。試験装置は主に純水循環装置、直流電源、供試体から構成される。

(2) 供試体

 昨年度および本年度使用のセパレータ形状は以下の通りとした。

 昨年度電解面積 2,500cm2=幅25cm×長さ100cm
 本年度電解面積 1,000cm2=幅25cm×長さ40cm

(3) 試験条件及び試験結果

 試験条件を表8.2.1-3に、電流密度とエネルギ−効率の関係を図8.2.1-3に、電解温度と電流密度・エネルギー効率の関係を図8.2.1-4に示す。表8.2.1-4の試験結果に示した通り、圧力0.5MPa、120℃の条件下において、エネルギー効率92.4%が得られ、目標の90%を上回る結果となった。

8.2.1.6 まとめ

(a) 50cm2膜電極接合体にて、電解圧力0.4MPa、電解温度120℃の条件下で、約500時間の運転において、エネルギー効率93%以上の安定した電解試験評価結果を得た。

(b) 無電解メッキ法の改良、ロールプレス機の改造、及びスクリーン印刷条件の見直しを行い、膜電極接合体製作の作業効率の向上を図るとともに、品質の向上を図った。

(c) 陽極給電体であるチタン繊維焼結体の表面粗度を小さくし、膜電極接合体、セパレータとの接触性の改善を図った。

(d) 1,000cm2膜電極接合体を試作し、電解圧力0.5MPa、電解温度120℃の条件下でエネルギー効率92%の評価結果が得られ、本年度目標とするエネルギー効率90%以上を達成した。

8.2.2 ホットプレス法による水素製造技術の開発
 固体高分子水電解法の大型積層電解槽の製作技術に係る確立を目的とした大型セルの特性向上の研究、大型積層技術の研究、高温高圧運転技術の研究、コスト低減化技術の研究及び耐久性の研究が実施され、次の成果が得られた。

8.2.2.1 大型セルの特性向上の研究

(1) 膜電極接合体の特性向上の研究

 触媒の担持量が均一にでき電解特性に優れた大面積の電極の製作を可能とする二酸化イリジュウムの粒径の調整方法について検討を行った。

 乳鉢で粉砕した後スクリ−ンを用いて25μm以下、20μm以下、10μm以下とした及び気流粉砕機を用いて0.3μm以下とした4種類の粒径の二酸化イリジュウムが陽極である膜電極接合体の電解特性を調べた。表8.2.2-1に結果を示すが、10μm以下の粒径に調整した二酸化イリジュウムの場合に96.2%の最も高いエネルギ−効率が得られた。またこの触媒分散液の沈降特性を調べたところPTFEシ−ト上への触媒の分散液の供給を作製後30秒以内に行えば沈降の影響がなくせ担持量が均一な電極が製作できることが明らかとなった。

 この方法により製作した面積が2,500cm2の膜電極接合体より切り出した50cm2セル用の試料の電解電圧は1.531〜1.547Vであり均一性が優れていることが確認された。

(2) 給電体の特性向上の検討

 金属製の加圧板の間で押しつぶす平面プレス法についてチタン及びステンレス繊維焼結板を試料として給電体の厚さの均一性と表面の平滑性が向上できるかを明らかにするため効果の確認実験を行った。 この結果、80MPa以下の加圧条件下で幅250mm、長さ270mm、厚さ1mmの寸法の厚さ精度が優れた給電体を製作することができた。例えば、厚さ精度はチタン繊維焼結板では22〜32mステンレス繊維焼結板では24〜40μmであった。また、200MPa以上の加圧条件下においては表面の平滑性が優れた給電体を製作することができた。例えば、500MPaの加圧では、チタン繊維焼結板の表面粗さは、Rmax 37μm、Ra4.9μmであった。

(3) セパレ−タの特性向上の検討

 純水の供給、ガス排出穴部と電解室部のパッキンとが一体の構造のセパレ−タ−のシ−ル特性について評価を実施した。一体型では膜電極接合体の上・下両端部に僅かな隙間が形成され微小な漏れが確認された。この結果に基づいて、分離型のシ−ル構造のガスと水のシ−ルが良好に保つことができるセパレ−タ−を製作することができた。

8.2.2.2 大型積層技術の検討
 電解槽の大型化を図るには、電極面積の大きいセルの積層技術が重要である。このため、 図8.2.2-1に示す電極面積が2,500cm2のセルを10セル積層した複極式電解槽を試作し、試験評価設備を用いて特性の測定を行った。この電解槽はセル電圧が上昇する原因であるイオン性成分を取り除くための洗浄を十分にした膜電極接合体、陽・陰給電体及セパレ−タ−により組み立てられた。

 図8.2.2-2に、この電解特性の測定結果を示すが、目標値を上回る優れた電解特性が得られた。 例えば、厚さ50μmの電解質膜を用いた場合、80℃、1A/cm2の条件下で平均電圧1.556V、エネルギ−効率95.1%、ガス純度70〜80ppmの特性が得られた。

8.2.2.3 高温高圧運転技術の研究
 図8.2.2-3図8.2.2-4に示す陽・陰両電解室の圧力のバランスと陽・陰気水分離器の水位の制御に優れた高温高圧連続運転装置及び電極面積が1,000cm2のセルを5セル積層した電解槽を製作し電解特性実験を行った。この結果を図8.2.2-5に示すが120℃、5MPa,1A/cm2の条件下で平均電圧1.513V、電流効率100%、エネルギ−効率97.8%の優れた特性が得られた。

8.2.2.4 低コスト化技術の研究
 厚さ精度が高いチタン板の表面にハ−フエッチング法を用いて電極面積が200 cm2セル用のセパレ−タの試作を行った。この結果、幅2mm、ピッチ4mmと設定した場合に、深さ0.7mmの給水溝とパッキン溝を取付けることができた。この方法の適用によりチタン板の機械加工の必要個所が電解室部と給水穴及びガス排出穴部とを接続する溝、給水穴、ガス排出穴に減少 する効果が得られた。

8.2.2.5 耐久性の研究
 
膜厚さが100μmの膜電極接合体、白金メッキしたチタン繊維焼結板製陽極側給電体及び金メッキしたステンレス繊維焼結板製陰極側給電体とにより構成した電極面積が50cm2のセルについて、80℃、電流密度1A/cm2の電解条件の耐久性試験を実施した。平成10年度には21,850時間でエネルギ−効率が84.1%の結果となっていた。本年度の試験により 28,709時間まで電解を継続できたがエネルギ-効率は少しずつ低下し80.2%になった。

 このエネルギ-効率の低下は陽・陰両給電体の間に生じていた漏洩電流が増加したためであった。劣化によるトラブルが発生はなく、この時間まではこれらのセル部品の耐久性は確保されていたといえる。

8.2.3 水素製造プラントの経済性

8.2.3.1 概要
 WE-NET第U期では実用化を念頭においた研究開発が強調されている。概念設計においても、第T期に実施した規模(32,000Nm3/h)の10分の1規模(3,000Nm3/h)のプラントを想定、概念設計を行った。さらに、固体高分子電解質水電解法の特徴を明らかにし、実用化へ向けて具備すべき技術レベル、経済性等を明らかにすることを目的として、既存技術(アルカリ水電解)による水素製造の諸元を比較検討した。

8.2.3.2 3,000Nm3/h水素製造概念設計

(1) 概念設計の条件

 32,000Nm3/h水素製造プラントの感度分析結果から、電流密度は2.5 A/cm2に設定した(水素製造単価に関して最も経済的になる電流密度近傍)。これをベースに下記の条件を基本条件として概念設計を実施した。

セル電圧: 1.705V(2.5 A/cm2,120℃,膜厚:120μm時)
運転温度: 120℃
運転圧力: 0.44 MPa(ゲージ圧力)
水素発生量: 3,000 Nm3/h
電極面積: 2,500 cm2
電流密度: 2.5 A/cm2
セル総数: 1,200セル
スタック構成: 100セル/スタック
スタック総数: 12スタック
トレイン構成: 2スタック
トレイン数: 6トレイン
変圧器+整流器: 3セット(2トレイン/セット)
酸素・水素ガス温度: 40℃

(2) 感度分析の変動因子と基準条件

 水素製造コストに係わる諸因子の影響度について、感度分析を実施した。その変動因子と基準条件は以下の通りである。

電解電流密度: 1〜4 A/cm2(基準:2.5 A/cm2

電解槽単価 : 72万円〜240万円 (セル、高分子電解質膜、触媒のコストを含めた値)
(基準:120万円/m2(=30万円/2,500cm2))

イオン交換膜寿命比指数: 0.2〜0.8(基準:0.5) 

電流密度1 A/cm2時:膜寿命8年,

電流密度I A/cm2時:膜寿命【(8/(I/1)n)】

電力料金: 2〜7.5円/kWh(基準:5円/kWh)

電解質膜・触媒単価比: 15〜60%(基準:30%)(膜・触媒コスト)/(セル単価))

電解電圧  : -10%〜+10% (基準:1.705V) 

電解温度  : 80℃〜120℃(基準:120℃)

(3) プラント建設費

 基準プラントの建設費は以下のように積算された。

機器類: 823百万円
建屋・土建: 226百万円
合計: 1,049百万円

 これまで実施した概念設計で得られたプラント建設費との比較を図8.2.3-1に示す。但し、300Nm3/hプラントの場合は建屋・土建費用が含まれていない。

(4) 水素製造プラント配置

 図8.2.3-2にプラント平面図を示す。所要敷地面積は約450m2であり、電解槽設置面積は138m2である。従って水素製造1Nm3/h当たり0.05m2必要と計算される。

(5)水素製造単価

 表8.2.3-1に基準条件でプラントを運転した場合の水素製造単価およびその内訳を示す。比較のために32,000Nm3/hプラントにおける水素製造単価(電流密度:2.5A/cm2, 電解槽単価:120万円, 運転温度:120℃ベース)を表8.2.3-2に示す。32,000Nm3/hプラントを基準に取ると、生産量が10分の1のプラントでは水素単価が約17%高くなる。

(6) 感度分析 

 感度分析結果を図8.2.3-3に示す。この結果は32,000Nm3/hプラント概念設計時の感度分析と殆ど変わらない結果となっている。電解用の電力費が水素単価に占める比率が高いことを反映して、影響因子の中で一番大きな感度を示している。ほぼ同程度の影響を与えるのが電解電圧で、セルの性能向上が水素製造コストの低減に大きく繋がることを示している。

8.2.3.3アルカリ水電解法との比較

(1) 調査方法

 アルカリ水電解装置を都内に設置するという前提で、

3,000Nm3/h水素製造プラントの機材の供給に関して見積仕様書を作成、以下の2社に発送し回答を求めた。

・Norsk Hydro Electrolysers 社(ノルウェー)
・Electrolyser Inc.(カナダ)

(2) 調査結果

 両社とも開示できる情報、できない情報があり、特に電解槽コスト、水素製造単価に関しては両社とも情報開示はなかった。従って、固体高分子電解質水電解法の具体的目標値を設定することができなかった。そこで、得られた情報を基に、水電解法の横並びの比較をおこなった。

(3) 水電解法の比較

 表8.2.3-3に水電解法諸元の比較一覧を示す。このうち、両者で大きく異なる点は以下の通りである。

・運転圧力がアルカリ水電解では常圧なのに対し、固体高分子電解質水電解では0.44MPaと高く、後段で水素ガスを昇圧する時には後者が有利である。

・アルカリ水電解では有効セル面積がバイポーラセル;1.655 m2およびユニポーラセル;40m2と大きい。

・固体高分子電解質水電解では電流密度がアルカリ水電解の10倍取れるので、電解槽室の所要面積は約20%で済む(バイポーラタイプの比較)。

 プラント寿命、特に電解槽寿命に関しては情報がないため(質問に対する回答なし)、どの程度の耐久性を有しているかが不明である。唯一、隔膜についての情報があり、N社では通常の使い方で10年以上の寿命が期待できるようである。

8.2.4 耐高温高分子電解質の開発
 (財)SRIインターナショナルでは、高温電解槽用のNafion等のパーフルオリネイティッドハドロカーボンスルホン酸イオノマー代用物質として新しい高温高強度の高分子電解質を開発中である。本プロジェクトの目標は、既存の固体高分子電解質電解槽よりも効率良く水素を製造する固体状態の高分子電解槽の開発であり、電解槽の基本は、高温(200℃)で作用する固体高分子電解質である。これらの新しい高温高分子電解質の条件は、高いプロトン伝導度と熱安定性、酸化、還元の両状態において電気化学的、化学的な安定性、さらに良好な機械的性質を有することである。

 本年度は、新しい高温用スルホン化芳香族ポリマーを合成した。このポリマー溶液からのキャストにより、厚さを100μmから175μmまで変えられる面積約25cm2の高分子膜を調製することが可能となった。本高分子膜について、四極交流インピーダンス法を用い、温度の関数として相対湿度100%でプロトン伝導度の試験を行った。このプロトン伝導度は、図8.2.4-1に示すように150℃で0.1 S/cmを超える値を示した。

 この高分子膜の引張強さは、19,405 psi、引張係数は、522 ksiという良好な機械的強度を有することがわかった。また、空気中での本高分子膜の熱重量分析から、膜は300℃以上の高温まで熱的に安定であることも示された。

8.2.5 耐高温高分子電解質の評価
 
大阪工業技術研究所では、(財)SRIインターナショナルより供給された耐高温高分子電解質膜のサンプルについてイオン伝導率の評価を行った。図8.2.5-1に表したとおり、最も導電特性が良好だったサンプルでは40℃で0.025 S cm-1、80℃で0.040 S cm-1の値を示し、150℃付近では0.07 S cm-1程度に達すると考えられる。この結果は(財)SRIインターナショナルの測定値と較べ低温では高く高温では低くなる。この様に測定値が異なるのは、測定条件及び測定方法の違いに起因すると考えられる。(財)SRIインターナショナルでは、飽和水蒸気中で交流4端子法で測定しているのに対し、大阪工業技術研究所では、純水素中の水電解時または水蒸気飽和水素中での通電時の電流遮断特性から伝導率を測定しており、お互いに電解質膜の状態が異なっていると予測される。詳細な原因の究明及び測定要領の改善に関する検討は次年度の課題としている。膜の強度は昨年度に比べて大幅に改良されており、数日の評価には耐えうるが、依然作動中にクラックなどを生じやすい。現状のパーフルオロスルホン酸膜に比べるとまだ十分な特性とはいえず、イオン伝導率・機械的強度の両面でさらなる改善が必要と考えられる。

 また、今回は測定装置の仕様温度領域での計測を行ったが、今後は電解質膜の特性としての高温限界特性及び実用化を考慮した測定温度領域等を検討・設定して試験仕様を明確にする。

8.2.6 水電解に関する文献調査
  水電解は、アンモニア合成をはじめとする化学工業において必要不可欠な水素の製造を目的として古くから工業的に実施されてきた重要な工業プロセスであった。しかし、最近では石油や天然ガスなどの水蒸気改質による安価な水素製造法におされているが、クリーンな二次エネルギーとして注目されている水素を水から作り出す、唯一工業的に確立された方法として近年注目されており、これらの関連する研究状況を把握することは、非常に重要なことであると思われる。

 そこで、最近の学会誌等で報告されている水電解に関する文献調査を実施した。調査対象として、今回は1998年7月〜1999年6月の1年間に報告されたものとし、各論文の概要と主要な図あるいは表を示した。なお、ここでは研究の大きな流れの把握を主な目的としており、各論文についての詳しい内容は原報を参照していただきたい。

 



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