当協会は、1978年に「財団法人エンジニアリング振興協会」(賛助会員数:49社)として発足した後、2011年4月には、一般財団法人となり、名称も「一般財団法人エンジニアリング協会」(賛助会員数:137社)となりました。その後、10年間を経過する中で、着実に会員数を増加させ、地方公共団体などで構成する協力会員を加えると、2倍増の276社(2021年7月現在)となりました。このように会員数が増加したのも、日頃の協会の活動が、エンジニアリング業界の皆様にご理解いただけた賜物と、自負しているところです。

 ところで、昨今の状況を振り返りますと、新型コロナウイルスの感染拡大については、未だ収束の目途がつかず、人や物の移動に制限が加えられていることから、世界経済の回復には、更に時間がかかるものと思われます

 また、地球温暖化問題は、「人類全体で取り組むべき喫緊の課題」との認識が、国際的なコンセンサスとなり、企業経営においても、「脱炭素化」抜きでは立ち行かない状況となっています。

 更に、ここ数年来、社会全般でのデジタル化が進展しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が、この進展を加速させることとなりました。デジタル化は、新たなビジネスチャンスを見出すきっかけとなりえますが、この変化に乗り遅れれば、衰退の道を歩むこととなります。

以上のような状況認識のもと、以下の3点に重点を置いて、協会運営を図ってまいりたいと考えております。

 第1は、「脱炭素化社会」実現への貢献とデジタル化への対応です。日本政府の目指す「2050年カーボンニュートラル」実現のためには、新技術開発だけでなく、できあがった様々な技術を組み合わせ、できる限り迅速かつ低コストで、社会実装していく必要があります。こうした社会実装の知識と経験は、我々エンジニアリング業界にこそ蓄積されているもの、と考えております。当協会では、既にCCUSや浮体式洋上風力発電、地熱発電など、脱炭素に必要な技術に関する研究開発や人材育成事業を実施しております。今後、更にこうした努力を加速させてまいります。また、デジタル化に関しても、現在、「次世代型スマート工場」の研究を実施しているところですが、更に新たな課題を発掘して、研究活動を実施してまいります。

 第2は、当協会からの情報発信の促進です。当協会では、コロナ禍以前は、協会内の事務局で、講演会やプロジェクトマネジメント研修(PM研修)を実施してまいりましたが、コロナウイルス感染防止のため、これができなくなりました。このため、オンラインによる講演会やPM研修を実施したところ、例えば、講演会では、東京在住以外の方を含め、従来の約2倍の方に参加いただけるようになりました。新型コロナウイルスの感染が落ち着いた後も、皆様の便宜を考え、オンラインの講演会やPM研修を継続してまいります。また、関係省庁等に対し、エンジニアリング産業の重要性を喧伝し、業界の抱えている課題への対処を求める活動を行うとともに、政府系機関や在日大使館との連携強化も図ってまいります。

 第3は、会員企業間のビジネスマッチングの推進です。最近、新規会員企業の中で、既存の会員企業との交流を求めているところが多いことを実感しております。当協会としては、個々のご要望を受けて取次ぎを行っているほか、「会員企業トップインタビュー」を実施し、広く企業活動の状況などをお知らせしております。加えて、2022年5月には、「エンジニアリング技術交流展」の開催も予定しております。

 以上のほか、協会活動のやり方に関しても、テレビ会議の活用や事務局職員のリモートワークの推進を実施してまいります。
 会員企業の皆様には、今後とも、協会活動をご支援賜りますよう、お願い申し上げます。

 

2021年7月
一般財団法人エンジニアリング協会 理事長

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