次世代スマート工場のエンジニアリング研究会(通称:スマート工場研究会)
Study Group on Next Generation Smart Factory Engineering

(更新 2022年11月)

「次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」の紹介

次世代のスマート工場とは

“スマート工場/スマート製造(smart manufacturing)” という用語について、ISO規格では「サイバー、フィジカルおよび人間空間のプロセスと資源を統合的かつ知的に使い、製品やサービスを作り出し、提供する性能を高めた製造業のこと」 等と定義しています。本研究会では、次世代スマート工場を、「局所的なデジタル化ではなく、中央管制の仕組みを備えた、工場レベルでのスマートさ、賢さを実現する工場」ととらえています。

製造業とエンジニアリング業との相互協力

日本の戦後産業史を振り返ると、まず製鉄・化学・発電等の大規模プラントが拡充され(1950-60年代)、それに続いて様々な製造業が勃興し日本経済を支えました(1970-80年代)。1980年代以降は、情報化(IT化)、グローバル化が継続し、2010年代以降は、Industry4.0 (第四次産業革命:ドイツ・EU)やソサエティ5.0(日本)といった産業構造の歴史的転換を促す動きが世界的に推進されています。
現在の製造業は製品エンジニアリング、工場エンジニアリング、およびサプライチェーンマネジメントという3つの異なる業務フローが会合する重要なプロセスであるとされています。
これらの歴史的背景や状況を踏まえ、製造業とエンジニアリング業(プラントエンジニアリング、総合建設、コンサルティング他)とが、今一度相互協力を深める必要があると考えられます。

ENAAスマート工場研究会の活動目的

2018年、ENAAは、会員企業のエンジニアとコンサルタントおよび慶應義塾大学 管理工学科 松川 弘明 教授から頂いた発意に基づき、次世代スマート工場のエンジニアリング研究会(通称:スマート工場研究会)を設置いたしました。※
 ENAAは、日本の高度経済成長が転換期を迎えつつあった1978年に、国内エンジニアリング業の振興を目的として設立されて以来40年以上にわたり、エネルギー供給と環境保全との両立、都市づくり、循環社会システムの構築、国際標準枠組みへの参画といった社会・技術課題に、複数の研究部会・専門部会が取り組んで参りました。
新たに設置された、スマート工場研究会では、製品/工場エンジニアリングとサプライチェーンマネジメントという異なる業務が交叉する場として「製造工場」をとらえ、多様な業種から構成される会員企業等から参画するエンジニア、コンサルタントの知見、創意を結集して、歴史的な転換を具現化することが求められている製造工場の構築・運営にかかる設計論を調査研究し、提言することを目的としています。

  • ※2017年7月、日揮・野村総研・平田機工・慶應義塾大学を中心とする大手製造業、IT企業など約20社から構成される「次世代スマート工場の設計論 研究会」が立ち上がり、経済産業省が取りまとめた2018年 ものづくり白書 コラム記事に取り上げられました。2018年9月からは、当協会の研究開発企画委員会が認める 「次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」となり活動を続けています。
  • ※経済産業省 ものづくり白書 2018年版 第1章第3節コラム記事 「「次世代スマート工場の設計論」研究会の取組」 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/pdf/honbun01_01_03.pdf
  • ※当協会Engineering誌 2020年1月号の研究会紹介記事 https://www.enaa.or.jp/?fname=eng154.pdf

ENAAスマート工場研究会の活動目標

スマート工場研究会が提唱している概念の一つにサプライチェーンを考慮した製造工場の「中央管制システム (Control Tower system)」があります。
これは、製造企業が有する複数の工場、事業部門を俯瞰するだけでなく、原材料供給企業、物流企業や消費者への販売企業などまでも俯瞰したサプライチェーン管制の仕組みを構築しようというものです。
DX、IoT、CPS(Cyber Physical System)のような情報技術だけでなく、SE(Systems Engineering)、IE(Industrial Engineering)、工場物理学(Factory Physics)等の管理技術も取り入れ、工場を純粋な中央制御型でもなく、独立分散型でもない、新しい自律分散型の『中央管制システム』とするべきで、これにより、自動化、情報化、知能化を融合し、環境の変化に柔軟に対処できる国際競争力のある工場とできます。


サプライチェーンを考慮した製造工場の「中央管制システム」イメージ

製造業が単なるモノ作りから社会にサービス提供も行えるようになること(製造業のサービタイゼーション)は、産業全体の活性化につながり、現下の新たな技術課題(脱炭素(GX)、デジタル変革(DX)など)や社会情勢の変化(経済安全保障の強化、製造業の国内回帰など)に対する一つの解ともなり得ます。

スマート工場研究会では、このような目標を見据え、これまでに次の調査研究やシンポジウム、セミナーを実施しています。

第2回MESシンポジウムのオンライン開催

また、「サプライチェーンサイエンス(Supply Chain Science)」に関する英文書籍の和訳版出版を2022年度中に予定しています。

ENAAスマート工場研究会の会員制度

スマート工場研究会では、ENAA賛助会員企業・団体等にご所属の方々で、研究会活動に参画頂ける方々をお待ちしております。会費は無料です。
入会ご希望の方は、活動の抱負、参画ご希望の分科会※、ご所属、ご連絡先を記載したメールを下記連絡先(幹事会)までお送り下さい。幹事会にて審議の後、入会承認と活動要領などをご案内します。
(お断り:2023年3月末をもって本研究会の設置期間がいったん満了となるため、現在4月以降の新たな運営体制を検討中です。従い、新たな委員募集は現在停止しており、4月以降に再開予定です。)

※現時点で、次の3つの分科会が活動しています。

  • 事例調査分科会:次世代スマート工場の姿を明らかにする上で参考になる内外の事例等を調査します
  • 技術開発分科会:次世代スマート工場の構築や運営のための技術を開発し、知識体系を整理します
  • 人材教育分科会:次世代スマート工場の運営に欠かせない人材育成体系を整理します

※現時点で、次の企業・団体から約50名の方々が研究会に参画されています。
(ENAA賛助会員企業・団体)
日揮ホールディングス、日揮、日本電気、平田機工、野村総研、横河ソリューションサービス、竹中工務店、千代田化工建設、アイ・ピー・エス、ロックウエルオートメーションジャパン、東洋エンジニアリング、テックプロジェクトサービス、大林組、日立製作所、ラック、名古屋工業大学、大成建設 
(非賛助会員企業・団体)
SUBARU、ゴールシステム・コンサルティング、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)、ケイプラス・ソリューションズ、ユビセンス・ジャパン、ヒロテック、日産自動車、ダッソー・システムズ、電通国際情報サービス、フレクシェ、トクヤマ

連絡先: ENAAスマート工場研究会 幹事会 sfactory-kanji@enaa.or.jp
ENAA 技術部 Tel 03-6441-2910 (代表)

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