1月1日、石川県能登地方において、震度7の揺れを観測する地震が発生しました。被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

それでは、2024年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、新年は、まだコロナの影響を受けていましたが、春先以降、コロナ禍の終息、そして侍ジャパンのワールド・ベースボール・クラシック制覇等で我が国は一気に明るさを取り戻したように思います。その後も、外国人観光客によるインバウンド需要の回復、半導体関連の大型投資等で日本社会に活気を実感する日々でありました。
一方、世界情勢は、ウクライナ戦争の長期化や大変憂慮されるパレスチナ情勢、そして米中対立の激化等、混迷が深まりました。また、日本を含め世界各地で激甚な自然災害が多発し、気候変動問題への対処が急務であることを改めて痛感致しました。

そうした中、昨年は、当協会にとりまして設立45周年にあたる記念すべき年でした。7月のエンジニアリング功労者等表彰式では、例年のグループ表彰・個人表彰に加え、5年毎の節目として協会功労者17名の表彰を行いました。45周年記念誌も現在編集中であり、もう間もなく、皆様のお手元にお届けできるかと思います。会員数も、この1年で7社増えた結果、261社になりました。当協会がここまで発展できておりますのも、ひとえに、経済産業省をはじめ政府関係機関、関係諸団体、会員企業各位のおかげであると、あらためて感謝を申し上げる次第です。

さて、迎えた2024年、世界情勢は引き続き混沌する中、秋には注目の米国大統領選挙もあります。また、国内においては、いよいよ4月に働き方改革法が建設業、運輸業へも全面適用され、既に多くの産業を悩ませている人手不足が更に深刻化することが懸念されます。このように、我々を取り巻くビジネス環境の先行きには不安もありますが、取り組むべき社会課題、特に脱炭素化・低炭素化技術の社会実装やレジリエントな社会インフラ整備は待ったなしであります。昨年のエンジニアリングシンポジウムでも採り上げましたように、我々エンジニアリング産業の使命・責任は、こうした社会課題に正面から取り組み、時代を切り開いていくことであります。当産業への周囲からの期待も日に日に高まっていることを、皆様も感じておられることと存じます。

もちろん、これらの課題解決は簡単なものではありませんが、山は高いほど登った時の景色は素晴らしいと言います。ここにいらっしゃる産官学それぞれを代表する企業・団体の皆様が、その幅広い知を結集・統合していけば、必ず答えが見つかるものと考えます。当協会は、そのハブとしての役割をしっかり果たしてまいる所存です。また、現在進められています北海道苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/液化CO2船舶輸送実証事業のように、当協会が会員の皆様と共に自らで課題に取り組むことも増やしていきたいと考える次第です。

ところで、当産業が未来を切り開いていくためには、今後も志が高く、優秀な若者たちが集ってくれることが不可欠であることは言うまでもありません。しかしながら、大変心配なデータがあります。エンジニアリング業ではなく、建設業についてのデータですが、今年の大卒者の就職希望者が大きく減り、求人倍率が13.7倍と、全産業平均の1.71倍と比べて突出して高くなってしまっているということであります。

我々としては、このような状況を放置する訳にはいきません。エンジニアリング産業の社会的な使命、やりがい、そして楽しさを若い世代の方々に理解していただく努力が急務です。それぞれの会員企業も努力をされておられますが、当協会としても取り組みを、部会や委員会等で皆様のお知恵を借りながら考え、進めていきたいと思います。

以上雑駁なことを申し上げましたが、最後に今年一年の会員企業の皆様のますますののご隆盛とご多幸を祈念して、私の年頭挨拶とさせていただきます。

2024年1月
一般財団法人エンジニアリング協会理事長

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