外務省邦人テロ対策室からのお知らせ-海外安全対策便り(第12号)-

カテゴリー:安全対策支援室 更新日:2023.04.03

新年度おめでとうございます。令和5年度も、皆さんの安全対策に役立つ情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。
今回は、在留邦人の方と接することの多い「領事」の方へインタビューをしましたので、現地の声をお届けいたします!

■領事へのインタビュー
■ゴルゴ13からの伝言
■海外安全対策フライヤー・ポスター完成!

領事へのインタビュー

海外にある大使館や総領事館などの在外公館で邦人保護の最前線にいるのが「領事」です。今回は、邦人テロ対策室員が現役の領事の方へインタビューをし、領事の仕事・支援内容、情報収集の方法や在留邦人の方との関わりなどについてお届けします。
 なお、以下のインタビューは、あくまで領事個人としての経験及び知見に基づくものであり、必ずしも外務省としての公式な見解ではありません。

領事の仕事とは?
A室員:まず、領事のお仕事についてお聞かせください。

N領事:領事の仕事は、海外での日本人の方々の事件事故への対応の他、日本国内の役所が担う様々な業務を在外公館の窓口で行っています。例えば、パスポートに関しては都道府県のパスポートセンター、戸籍に関しては市役所・区役所のような役割を果たします。また、来日する外国人へのビザの発給も行います。在外公館の規模によって領事の人数も異なり、大きいところでは業務ごとに担当が分かれていたりします。ちなみに、私が現在勤務している在外公館では、領事はひとりです。

A室員:ひとりだと、様々な種類の業務があり、大変そうですね。

N領事:大変さは規模以外にも、国・地域でも変わってきます。医療体制や社会保障制度が整っている国・地域であれば、日本人の方にはその制度を利用いただき、在外公館はその側面支援を行うことになります。しかし、必ずしも制度が整っていない国・地域の場合には、日本人に何かあれば現地当局から日本の在外公館の関与を強く求められることがあります。こうなると、現地の法律や様々な規制の中で、在外公館としてできることを探すことになるので、対応が難しくなります。

現地の治安情勢等の情報収集の方法
A室員:安全対策には治安情勢等の現地の状況把握が欠かせないと思いますが、どのように情報収集をすることが効果的だと思いますか。

N領事:現地の治安情勢を知る方法として、現地の治安機関とコミュニケーションをとることがあげられます。ただし、治安機関の信頼度や組織文化は国・地域によって様々なので、現地情勢に詳しい人にも相談しつつ、治安機関とは適切な距離感を維持することが重要だと思います。着任した時に挨拶をしておくのは一案かもしれません。
また、現地日本人会や日系企業団体などの日本人コミュニティの中で情報共有・収集をすることも効果的だと思います。

在留邦人の方との関わり
A室員:業務の中で、日本企業関係者の方や在留邦人の方とはどのような関わりがありますか。

N領事:何か困ったことがあった時に連絡をいただくことが多いですね。それ以外では、治安情勢のブリーフを依頼されて、各企業や団体にお伺いすることもあります。そのほか、在外公館では、現地日系団体の方などを始め、在留邦人の方と治安情勢や安全対策について意見交換する安全対策連絡協議会を開催しています。

駐在員の命を守るポイント
A室員:海外生活する上で、治安上の安全対策以外に大切だと思うことはありますか。

N領事:海外生活といえば、犯罪などに気をつけなければいけないと思う方が多いと思いますが、海外に滞在されている日本人の方の生命を守るには、メンタルヘルスのケアも非常に大事です。海外での仕事や生活が合わずにストレスを溜めてしまった結果、生命に直接関係してしまうような事態になることもあります。
これまで勤務した複数の在外公館で、日系企業の方から「社員と急に連絡が取れなくなり、どこに行ったかわからない」と相談を受けたことがありました。ある国では、行方不明になった社員を現地警察と連携して捜したこともありますし、別の国では、自宅で自殺されて発見されるケースもありました。海外赴任では、仕事以外にもストレスのかかる場面が多くあるということも十分認識しておくことが大切だと思います。

事件やトラブルの際に支援できること・できないこと
A室員:実際に事件やトラブルなど、困ったことが起きた際、領事や在外公館にできることや、反対にできないことについて教えてください。

N領事:これまで様々な日本人の方と海外で出会う中で「大使館や総領事館はすごい力を持っていて、トラブルは何でも解決してくれる」と思われたこともありますが、何でも解決できるわけではありません。各国・地域にはそれぞれ法律や制度があり、トラブルに巻き込まれた場合にはその国・地域の行政・司法手続によって問題を解決していく必要があります。
一方、在外公館は、現地制度に関する知識や、過去に日本人の方から同じような相談を受けた経験から、どのように解決を図っていくかを一緒に考えて、道筋を付けることのお手伝いはできると思います。

在留邦人の方に伝えたいこと
A室員:最後に、在留邦人の方にメッセージをお願いいたします。

N領事:「何か困ったことがあれば、在外公館に相談してみてください」ということをお伝えしたいと思います。外務省や在外公館はとかく敷居が高いと思わられがちですが、最初に言ったように在外公館は、日本の様々な役所がまとまったようなところで、様々なノウハウや経験がありますので、「こんなことを相談しても・・・」とひとり悩まずに、まずはご相談いただければと思います。

ゴルゴ13からの伝言

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海外展開は社員の安全確保から・・・詳細はこちら
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/episode9.pdf (漫画版)
https://www.youtube.com/watch?v=S2T_WYQYcgE (動画版)

海外安全対策フライヤー・ポスター完成!

この度、海外に渡航される皆様に向けて、安全対策の基本に関するフライヤーおよびポスターを作成いたしました!

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《ポスターイメージ》

一目見て、ドキッとされた方もいらっしゃるかもしれません。本フライヤーおよびポスターは、海外での安全対策の必要性について感じていただきやすいようにデザインし、フライヤーの裏面では、外務省が提供している海外安全対策のためのツールを一枚にわかりやすくまとめております。
ご要望があれば企業や団体の皆さまに紙媒体を送付することも可能ですので、ぜひご活用いただければ幸いです。詳細は以下のリンクからご確認ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/kaigai_safety_flyerposter.html

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《フライヤーイメージ》

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