外務省邦人テロ対策室からのお知らせ-海外安全対策便り(第16号)-

カテゴリー:安全対策支援室 更新日:2023.11.02

今回は、ある若手職員の失敗談とそこから得られた教訓についてご紹介します。

■若手職員の旅行中の失敗談
■大好評!テロ・誘拐対策実地訓練
■ゴルゴ13からの伝言

若手職員の旅行中の失敗談

○年×月△日夕刻、トルコ共和国イスタンブールのスルタンアフメット地区を1人で歩いていた私は、2人組の男性に声をかけられました。
「写真を撮ってくれないか。」
快く引き受けた私に対して、2人は話を続けます。会話が弾んだ後、2人は私にこう言いました。
「一緒にどこかに飲みに行かないか。」
ちょうど一緒に観光していた友人と別れたばかりで特に予定もなかったため、私は2つ返事で承諾してしまいました。
「どこに行くの?」と尋ねたところ、「すぐそこだよ」と言われ、タクシーに乗せられます。しばらく走って到着したのは、繁華街のイスティクラール通りにあるバー。
ビールで乾杯した途端、どこからともなくやってきた女性が隣に座って来ました。なんだか怪しげな雰囲気になってきます。内心では動揺しつつもそれを隠しながら、しばらく会話を続けた後、トイレに立ったタイミングで、2人組に「こんなところに来たくはなかった。早く出たい。」と頼みました。2人組には「もう帰るのか?」と言われつつも、押し切ってすぐに会計をしてもらいます。
請求額は・・・なんと3人で1500ドル。現金をほとんど持っていなかった私は、店の人に促されるままATMで500ドルを引き出します。すぐにその場から立ち去りたい一心ですでに冷静な判断ができなくなっていた私は、さっさと500ドルを渡し、その場を立ち去ります。
ホテルに戻り、ベッドに寝そべりながら、打ちひしがれた気分になる私。やってしまった・・・。
いや、ちょっと待てよ・・・あの2人もグルだったんじゃないか!!気付いたときには時すでに遅しでした。

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イスタンブールの繁華街(写真:筆者撮影)

さて、失敗談の顛末記はこの辺にしておいて、旅行先でこのような被害を防ぐにはどうすればよいか考えてみましょう。
まずは、当たり前のように思えるかもしれませんが、初対面の人を簡単に信用しないことです。特に、今回のように、旅行中は気持ちも緩みやすく、詐欺などの犯罪の標的になりやすいと考えられます。
また、同じ国や場所で、同様の手口の詐欺が頻発している場合があるので、旅行先で頻発している詐欺の手口を事前に把握しておくことも非常に重要です。実は、今回の手口は、外務省海外安全ホームページのトルコのページの「安全対策基礎データに掲載されています。もし私が海外安全ホームページを事前にしっかり読んで、手口を把握していれば、引っかかることはなかったでしょう(ちなみに、その職員は、翌日も同じような2人組に同じように声をかけられたようですが、もちろん無視したとのことです。)。

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イスタンブールの広場 (写真:筆者撮影)

皆様は、渡航予定・滞在予定先の「海外安全情報」はしっかりと読み込んでいますか?私がかつてそうだったように、特に短期旅行の際には、「危険情報」のマップを見ているだけの方も多いのではないでしょうか?
海外安全情報には、「危険情報」に加えて、「安全対策基礎データ」、「テロ・誘拐情勢」、「安全の手引」、「医療事情」といった情報も掲載されており、海外安全ホームページの各国のページ上部のタブからアクセスできます。
事前に情報収集をするだけで防げる脅威はいくつもあります。今回、私が金銭的被害だけで済んだのは不幸中の幸いでしたが、暴行や誘拐など、もっと重大な事件に巻き込まれていた可能性もあります。
本メルマガをお読みいただいた皆様におかれましても、私の教訓を活かして、今一度「安全対策は情報収集から」ということを心がけ、海外安全情報をご活用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

大好評!官民合同テロ・誘拐対策実地訓練

10月17日(火)、三田共用会議所にて第1回官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(簡易版)を実施しました。ありがたいことに定員を超える多くの方にご応募いただき、当日は日本企業・団体等から計71名の方にご参加いただきました。
訓練では、テロ・誘拐に関する講義のほか、爆発・銃撃遭遇時の安全姿勢のとり方、誘拐や刃物襲撃の実演・実技、止血法や負傷者の手当ての練習等が行われました。万が一の有事に役立つ実践的な内容に、参加者からは「実習が多くて良かった」、「体験の重要性を実感した」等、好評のお声を多くいただきました。

【訓練の様子】
①銃撃、爆撃に遭遇したら・・・まずは「伏せ」!
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②刃物襲撃を想定した訓練
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まだまだやります!官民合同テロ・誘拐対策実地訓練
官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(簡易版)の第2回は12月1日(金)、第3回は1月22日(月)を予定しています。第2回はおかげさまで多くの方よりご応募をいただいており、残席僅かとなっています。第3回についてもすでに募集を開始していますので、ご興味のある方は是非ご参加を検討してみてください。

ゴルゴ13からの伝言

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必要なことは、全て外務省海外安全情報に・・・詳細はこちら

https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/episode3.pdf

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