事業報告Business Report

1.事業概要および目的
NEDO調査「クリーン・コール・テクノロジー推進事業 産業間連携に係る石炭ガス化を核とする発電・水素・CO2分離回収システムに関する調査」の平成16年度調査において、石炭エネルギーの高効率利用とCO2排出削減の実現のためには石炭ガス化技術を用いた電力と水素の併産及びCO2の分離回収・隔離システムが有望との結果が得られた。
平成17年度は、システムの最適化および課題抽出を目的としており、本業務では、このうち、CO2分離回収システムから供給されるCO2の仕様条件をもとに、隔離場所(帯水層)についてモデル地点を想定し、輸送・圧入・貯留システムモデルを設定した上で、仕様検討とコスト検討を行った。

2.検討結果
(1) CO2分離回収源の運転パターン
石炭エネルギーセンターより提示されたCO2分離回収条件に基づき、CO2処理量として以下の2ケースを検討した。

CO2回収率 最大処理量 年間処理量
ケース1 50% 109t/h 78.5万t-CO2/年
ケース2 90% 199t/h 143.3万t-CO2/年

(2)輸送・圧入設備の検討モデル
国内で地中貯留候補地となる帯水層の地質データが豊富に揃っており、かつ海域と陸域の貯留候補地が比較的近くにある場所を選定し、個別に具体的なデータを活用して検討を実施した。(図-1)


図-1 輸送・圧入の検討モデル

(3)輸送・圧入コスト
①輸送コストは輸送距離によって大きく異なり、下表の通りとなる。

表-1 輸送コスト(圧入用コンプレッサー含む)
  A地区 B地区
ケース1 ケース2 ケース1 ケース2
輸送設備
(億円)
9.9 10 62 67
圧入用コンプレッサー
(億円)
16 23 14 21
設備の保守点検費 設備費の約3% 設備費の約3% 設備費の約3% 設備費の約3%
変動費
(億円/年)
2.4
(1.9)
4.2
(3.4)
1.6
(1.3)
3.0
(2.5)
CO2処理コスト
(円/t-CO2)
730
(830)
590
(660)
1,470
(1,770)
1,000
(1,180)

②圧入コストには事前調査、設備建設および操業(モニタリング)が含まれており、下表の通りとなる。

表-2 圧入コスト
  ケース1 ケース2
事前調査
(億円)
A地区 19
B地区 (現有データ適用)
設備建設コスト
(億円)
A地区 56 84
B地区 29 46
操業コスト
(億円)
A地区 16 16
B地区 16 16

 なお、本検討の経済性評価は、電力と水素の併産システムを含めたものであることから、石炭エネルギーセンターの検討結果を参照されたい。

以上

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