事業報告Business Report

調査研究の概要
 
本調査研究は、平成15年度から平成17年度までの3年間の計画で、代表者である三井石油開発(株)にペトロベトナム(ベトナム国営石油公社)と当センターが加わる形の共同研究組織により実施しています。
 平成11年11月「海洋石油開発に係る作業の安全と環境保全」をテーマにした国際会議に出席したペトロベトナム関係者から、ベトナム海域の環境保全のために、石油の探鉱開発に関連した海洋汚染が生物に及ぼす影響について、監視と評価、及び緊急時対応をテーマにした共同研究を行いたいとする要請が、当センターに寄せられました。これを受けて、当センターが構築した、海洋生物や社会資本に対しインパクトを与える油流出事故が発生した場合に、油の拡散予測とその結果をもとに除去資機材の迅速な調達をGIS(Geographic Information System)上で表示する機能を持つ緊急時対応支援ソフトウエア(MEGIS: Marine Environment Geographic Information System)をベトナム版(V-MEGISと命名)として、新たに構築しなおし、ペトロベトナムに導入しようというものです。
 このMEGISを用いて、油濁による海洋環境影響を定量的に評価するため、ベトナム海域における汚染被害を受けやすい地域の検討を行い、評価ツールとして有効なESマップ(環境センシティビティマップ)を構築しながらV-MEGISに統合を試みます。また、流出油拡散予測の機能を応用して、防除資機材の効果的な配置場所を予めデザインするスタディも行います。これらについて、ペトロベトナムのスタッフの教育と共にセットで技術移転を実施する計画です。
 日本側はMEGISの構築、マニュアルの整備、技術指導・訓練を行い、ベトナム側は南部沿岸域のESマップの作成を担当します。

成果の概要
 平成15年度の成果は以下のとおりです。
ソフトウエアの調整
   日本版MEGISをベトナム版のV-MEGISとして再構築するため、日本語版を英語版にバージョンアップし、日本語の作動環境を英語環境に調整できました。
データベースの整備
   V-MEGISに必要な油拡散予測、防除対応、ESマップなどのデータを収集し、データベーステーブルの構築と英語化を実施しました。
ESマップ作成に向けた準備
   ESマップ作成に必要な機能をV-MEGISへ追加、また、ベースマップとして、海岸線や行政界を作成しました。
防除用資機材の配置場所の最適化
   ケーススタディに必要なシナリオの設定に必要な油の流出地点、種類、流出量、気象・海象などの情報の収集・整理ができました。 

V-MEGISの運用概念図
V-MEGISの運用概念図
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