一般財団法人エンジニアリング協会

83年東北大学大学院医学研究科修了。米国ノースウエスタン大学博士研究員、東北大学医学部講師、筑波大学先端学際領域研究（TARA）センター教授、東北大学医学系研究科教授。2008年より同研究科研究科長、医学部長、東北大学副学長。2012年より、現職。環境ストレス応答の基礎研究と複合バイオバンク事業を実施中。前者の成果により、日本学士院賞、紫綬褒章、東レ科学技術賞、上原賞、高峰記念第一三共賞、日産科学賞、つくば賞、井上賞、北米毒性学会（SOT）基礎科学賞、日本腎臓財団賞などを受賞。

いわゆるありふれた「病気」のほとんどは、遺伝要因と環境要因（生活習慣など）が複雑に関わって発症します。こうした病気の原因の解明や治療法の開発には、コホート研究とバイオバンクの構築が必須です。コホート研究では、長い期間にわたって、多くの人々の生活習慣や病気への罹患の様子を調査します。東北メディカル・メガバンク計画では、2種類のコホート研究を戦略的に計画して実施しています。具体的には、一般の成人を対象とした調査研究と、妊婦の協力を得て、生まれてくる赤ちゃん及びその祖父母などの家族に協力いただく調査研究の２つです。それぞれ地域住民コホート、三世代コホートと呼んでいます。２つ合わせて総計15万人に及ぶ大規模なもので、参加者に提供いただいた血液などの試料は併設した解析センターでデータ化も行っています。こうした解析のデータを含む大規模データは、多くの研究者や企業から必要とされ、申請と審査に基づいて提供しています。また、協力された方々には、判明した病気の遺伝的リスクをお伝えする試みも始めています。本計画は、世界に類を見ない大規模なものです。未来型の個別化医療モデルの実現へとつながる見通し等についてお話を伺います。